中国「水銀に関する水俣条約」が発効
Source: CIRS

中国の「水銀に関する水俣条約」が、中華人民共和国環境保護部、中華人民共和国外交部、国家質量監督検験検疫総局、中華人民共和国税関総署などの14部門と合同で2017年8月15日に公布されました。本条約は2017年8月16日から発効され、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs条約)に続いて、新しい国際条約になります。

「水銀に関する水俣条約」の発効に従い、化学工業、計測器、電池、照明、医療器械などの産業を影響し、その製品が制限されます。2021年1月1日から、次の水銀添加製品の製造、輸入又は輸出が禁止することになります。(附属書A)

1)電池

水銀含有量2%未満のボタン形亜鉛酸化銀電池及び水銀含有量2%未満のボタン形空気亜鉛電池を除く(酸化水銀旧電池および電池ユニット、亜鉛水銀電池、水銀含有量0.0001%以上の円筒形アルカリマンガン電池、水銀含有量0.0005%以上のボタン形アルカリマンガン電池が「産業構造調整指導目録(2011年版)(2013年修正版)」によって、要求される淘汰類)。

2)スイッチ及び継電器

極めて高い正確さの容量及び損失を測定するブリッジ並びに監視及び制御のための装置に用いる高周波無線周波数のスイッチ及び継電器であって、ブリッジ、スイッチ又は継電器当たりの水銀含有量が最大20ミリグラムのものを除く(「産業構造調整指導目録(2011年版)(2013年修正版)」によって、要求される淘汰類)。

3)発光管当たりの水銀含有量が5ミリグラムを超える30ワット以下の一般的な照明用のコンパクト蛍光ランプ(CFLs)
 

4)次のものに該当する一般的な照明用の直管蛍光ランプ(LFLs)

  • 電球当たりの水銀含有量が5ミリグラムを超える60ワット未満の三波長形蛍光体を使用したもの
  • 電球当たりの水銀含有量が10ミリグラムを超える40ワット以下のハロリン酸系蛍光体を使用したもの

5)一般的な照明用の高圧水銀蒸気ランプ(HPMV)

6)次のものに該当する電子ディスプレイ用の冷陰極蛍光ランプ(CCFL)及び外部電極蛍光ラン(EEFL)

  • 電球当たりの水銀含有量が3.5ミリグラムを超え、及び長さが500ミリメートル以下のもの
  • 電球当たりの水銀含有量が5ミリグラムを超え、及び長さが500ミリメートル超1500ミリメートル以下のもの
  • 電球当たりの水銀含有量が13ミリグラムを超え、及び長さが1500ミリメートル超のもの

7)化粧品(水銀含有量が一質量百万分率を超えるもの)

肌の美白用せっけん及びクリームを含むが、水銀を保存剤として使用する場合において効果的かつ安全な代替の保存剤が利用可能でないときは、眼の周囲の化粧品を含まない。

8)駆除剤、殺生物剤及び局所消毒剤

9)次の非電気式の計測器

  • 気圧計
  • 湿度計
  • 圧力計
  • 温度計
  • 血圧計

水銀を含まない適当な代替製品が利用可能でない場合において、大規模な装置に取り付けられたもの又は高精密度の測定に使用されるものを除く。2026年1月1日から、水銀を含む温度計と血圧計の製造が禁止される。

なお、クロルアルカリ製造、水銀又は水銀化合物を触媒として用いるアセトアルデヒド製造が水銀又は水銀化合物を使用する製造工程(附属書B第一部)として、その水銀又は水銀化合物の使用について、規定する段階的廃止期限の後、適当な措置をとることにより、許可しないものとします。

塩化ビニルモノマー製造、ナトリウム又はカリウムのメチラート又はエチラート、水銀を含む触媒を用いるポリウレタンの製造が水銀を使用する工程(附属書B第二部)として、その水銀又は水銀化合物の使用を制限する措置をとります。

附属書Aに、製造、輸入又は輸出が禁止される水銀添加製品と許可されなくなる期限が定められていますが、次の製品は適用除外です。

  • 市民の保護及び軍事的用途に不可欠な製品
  • 研究、計測器の校正及び参照の標準としての使用を目的とする製品
  • 水銀を含まない実現可能な代替製品によって交換することができない場合におけるスイッチ及び継電器、電子ディスプレイ用の冷陰極蛍光ランプ(CCFL)及び外部電極蛍光ランプ(EEFL)並びに計測器
  • 伝統的な慣行又は宗教上の実践において使用される製品
  • 保存剤としてのチメロサールを含むワクチン

2017年5月、EUとしても「水銀に関する水俣条約」を承認し、新しい「5月17日付水銀規則(EU)No 2017/8528)」を公布しました。水銀、水銀化合物および水銀添加製品の使用、貯蔵、貿易要求を規定され、水銀添加製品の製造、輸入又は輸出の制限を明確化されます。

「水銀に関する水俣条約」の発布に従い、水銀添加製品を製造する企業が、国家法規政策を深く理解する必要があります。水銀を替える新製品の開発なども必要となります。なお、製品試験を重視することにより、貿易リスクを回避できるようになります。