「一帯一路」沿線各国のGHS導入状況

2015年3月、中国政府は「シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロードの共同建設推進のビジョンと行動」を発布した。「シルクロード経済ベルト」と「21世紀海上シルクロード」の共同建設を行い、アジア大陸を貫き、東アジア経済圏と欧州経済圏を連結し、沿線64カ国の繁栄と発展を促進する重要な紐帯となってきた。

中国と「一帯一路」沿線各国の貿易状況を分析し、ニーズと産業構造が異なるので、輸出入業の占める比率が差異がある。中に、化学品取引が一定の割合を占め、安定な状態を続けている。2016年、沿線各国から上海に輸入してきた化学品の総額が1.5億ドルを上回り、逆に、上海から沿線各国向け輸出した化学品の総額が7,000万ドルを上回り、沿線各国向けの化学品輸出入総額は化学品輸出入総額の1/4を占めるようになった。

一部の化学品は燃焼、爆発、有毒、催奇、発がん、水性環境有害などの性質を有し、人体健康および環境に潜在する危害がある。化学品の危険特性を理解し、適正な保護措置を取り、化学品の安全リスクをコントロールまたは減らし、環境事故を回避し、化学品貿易または流通における重要な一環となる。そのため、「一帯一路」沿線各国のGHS導入状況を紹介する。

GHSの概要

GHS(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)とは、「化学品の分類および表示に関する世界調和システム」というものである。最初が1992年に開催された国連環境開発会議(UNCED)で提出され、「アジェンダ21」第19章「安全データシートおよび容易に理解できるシンボルも含めた、世界的に調和された危険有害性に関する分類および表示システムを、可能であれば2000年までに利用できるすべきである」を採択された。

GHSの初版は、2002年12月の国連危険物輸送ならびに化学品の分類および表示に関する世界調和システムに関する専門家委員会の最初の会合で承認され、2003年に出版され、2 年ごとにその更新と改訂版の準備をしてきた。なお、表紙が紫色のため、「パープルブック」と呼ばれている。工業化学品、農用化学品および日常生活用化学品などが、GHSを順守する必要がある。化学廃棄物、ほかの法規制に制限されるまたは標準管理されている化学品、煙草、食品、薬品、化学品、特定形状の完成品および中間体など、GHSに適用しないとなる。

GHSには化学品の物理、健康、環境の危害分類および相応的な判断基準を提供している。企業として、その内容により、化学品の物理化学特性、健康、環境などに関する試験データまたは関連文献を参考し、化学品の危害性を判断し、製造、貯蔵、輸送、経営、使用などの段階で安全ラベル(以下、ラベルという)および安全技術説明書「Safety data sheet、SDSと略称」でその危険性を記載することとする。作業者、使用者および消費者などに危害情報を伝え、化学品の危険有害性を明確にして、事故時対応マニュアルが作成できる。

各国は状況に応じたGHSクラスおよびカテゴリーを選択的に実施してきた。2002年、国連危険物輸送ならびに化学品の分類および表示に関する世界調和システムに関する専門家委員会の下部組織である化学品の分類および表示に関する世界調和システムに関する専門家小委員会(GHS 小委員会)の正式メンバーになる後、中国はGHSを導入し、専門家委員会を設立し、国家標準として化学品の分類およびラベル規範を発布した。

2006年、中国は初めてGHSに準拠した26項の国家標準「化学品分類、警示ラベル及び警示性説明 安全規範」(GB20576~GB20602‐2006)を作成し、化学品の分類基準、SDSとラベルの作成に関する要求を明確にしてきた。2011年、「危険化学品安全条例」(国務院591号令)の発布に従い、危険化学品の分類および情報伝達に対する要求が規定された。2012年2月に発布した旧国家質量監督検験検疫総局第30号公告により、輸出入検査検疫は、ラベルとSDSなどを含む輸出入化学品、その包装を検査しなければいけない。

「一帯一路」沿線各国のGHS導入状況

2018年まで、「一帯一路」沿線64カ国の中に、中国、インドネシア、タイ、マレーシア、ベトナム、シンガポール、フィリピン、トルコ、ロシア、EUの一部の国家および地域はすでにGHSを導入してきた。

GHSを導入した前、EUは指令67/548/EECと指令1999/45/ECで調剤と混合物の分類、表示および包装を管理していた。2008年12月16日に発布した化学物質および混合物の分類、表示および包装に関する欧州議会・理事会規則(CLP規則 2008/1272号)は、REACH規則を参考し、化学品の分類、表示および包装の国際連合の世界調和システムを履行するため、2009年1月20日に施行され、2015年6月1日から旧指令が置き替わって完全適用された。2017年1月1日から、欧州の化学品製品はCLP規則を従ってラベルの作成が始まった。

シンガポールでは、職場安全衛生法により、GHS改訂第2版に基づく分類、表示制度が導入された。物質については、2012年2月1日まで移行期間が設けられることとされていますが、混合物質については、製造者、使用者共に2015年7月1日となっていた。具体的な要求はシンガポール標準SS 586による実施し、ラベル、SDSを作成することも明確となっていた。

2007年から2014年まで、GHSに関するロシア規格GOST 30333-2007、GOST 31340-2013、GOST 32419-2013を発布し、2014年8月1日から、GHSを導入し始めたが、2021年7月以後、GHSを義務化させ、正式に実施する予定となる。

トルコでは、物質および混合物に対する基準がEU CLP規則とほぼ一致していますが、環境都市計画省による発布した官報28848号として2013年12月11日に施行された。猶予期間は物質が2015年6月1日、混合物が2016年6月1日となっていた。

マレーシアでは、GHSに準拠したマレーシア標準である「労働安全衛生(化学物質の分類、表示および安全性データシート)規則2013」(通称、CLASS規則)が2013年に公布され、「化学物質の分類および有害性の伝達に関する産業行動規範(ICOP CHC)2014」が2014年に公表された。2015年4月17日から、CLASS規則を順守するSDSとラベルを要求されている。

タイでは、GHSに準拠した「有害物質管理法」および「有害物質の危害分類および危険有害性情報の伝達システム」が2012年に公布され、猶予期間は物質が2013年3月13日、混合物が2017年3月13日となっていた。

インドネシアでは、「GHSに関する工業大臣規則(87/M-IND/PER/9/2009)」が公布され、物質のSDSとラベルに対して、2010年3月24日から提供必要となっている。また、「GHSに関する工業大臣規則(23/M-IND/PER/4/2013)」で、混合物への適用期限が2016年12月31日まで規定される。

フィリピンでは、GHSに準拠した「職場におけるGHS実施命令」が公布され、GHS分類、ラベル表示、SDSについて規定され、2015年3月14日から実施となっている。2015年5月19日、「DENR Administrative Order 2015-09」が公布され、段階的に作業場での化学物質安全管理を進め、優先的に有害物質が適用される。

ベトナムでは、化学品法によりGHSが導入され、政令No.108/2008/ND-CPおよび通知No. 4/2012/TT-BCTが公布され、SDSとラベルの義務化は物質が2014年3月30日、2016年3月30日となっていた。

各国GHSの導入
GHS,導入

GHS導入のポイント

国際的に統一された基準として、GHSは化学品の危険有害性に関する各国または各地域の情報伝達を進め、重複試験を減少し、国際貿易を促進している。GHSの導入に従い、統一された化学品の分類およびラベルシステムが化学品の流通に役に立っている。

化学品の分類および情報伝達に対する要求は各国が違っているため、それぞれの規定に対応するSDSとラベルを作成しなければいけない。危険分類、言語、作成者に対する要求、書類の有効期限、緊急連絡情報など各国または各地域での法規制の適用を注意しなければいけない。

各国または各地域の所管当局は、国内の実情によりGHSを導入し、危険有害性の採用も選択できる。国連GHSで急性毒性は5つの有害性区分が分けられているが、EU、シンガポール、マレーシア、インドネシアで4つの有害性区分だけが判定基準と規定されている。また、EU CLP規則の付属書6とマレーシアICOPの第一部分のような、所管当局による公布された化学物質の分類リストも相違がある。同一化学物質は、異なる国家と地域での危害分類の相違により、SDSとラベルにおける内容に関する要求も一致しないとなる。

同一化学製品は多数の国に輸出する場合、現地の法規制に対応するSDSとラベルを作成すべきである。マレーシアのような多言語国家の場合、マレー語版、英語版のSDSとラベルを共に提出する必要がある。

多数の国家または地域では、SDSとラベルの作成者の資格に対する強制的な要求がなく、法規制および化学品の危険分類に関する十分な知識があるだけを求められている。例外的にトルコでは、専門試験を通じて資格証を獲得した作成者によってSDSを作成すると規定される。また、SDSには作成者の連絡先と資格証の番号の記載が要求される。

SDSには記載した危険有害情報に対して、国連GHSにより定期的に審査または修正を提案している。インドネシアおよびシンガポールでは、5年ごとに審査または修正することを規定される。

各国または各地域の要求の相違によって、SDSとラベルにおける緊急連絡電話番号の記載が異なっている。EUでは、勤務時間で接続できる電話番号が緊急連絡方式としての記載が許可される。中国およびマレーシアでは、24時間接続できる電話番号の記載が規定される。

なお、ラベルをデザインする際、サイズ、絵文字、書体、貼り方などに関する各国または各地域の法規制に対応することが重要である。


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