EUにおける食品添加物の定義
EU法規制(EC)No 1333/2008(食品添加物法規)に基づき、食品添加物(food additive)とは、栄養価値の有無にかかわらず、それ自体が通常に食品として摂取されず、しかも食品の基本成分として使用されない物質を指します。この物質は、食品の製造、加工、調製、処理、包装、輸送、または貯蔵における技術的な必要性から意図的に食品に添加され、その物質またはその副生成物が直接的または間接的に食品の組成要素となるものです。
また、中国と異なり、EUにおける食品添加物の定義には、栄養強化剤、酵素製剤、食品用香料、および加工助剤は含まれません。
- 栄養強化剤法規:Regulation (EC) No 1925/2006
- 酵素製剤法規:Regulation (EC) No 1332/2008
- 食品用香料法規:Regulation (EC) No 1334/2008
申請が必要な原因
EUでは、食品添加物について「ポジティブリスト制度」で管理されています。リストに掲載された物質のみがEU市場で使用可能であり、このリストは新規物質の申請・承認状況に応じて随時更新されます。
申請者
EU法規(EC)No 1331/2008(EU食品添加物、食品酵素、食品調味料の承認手続きに関する法規)では、申請者を以下のように定義しています:法規に基づき欧州委員会に必要な資料を提出するEU加盟国または利害関係者。
申請流れ
食品添加物の申請は、欧州委員会(EC)が受理・承認を行い、欧州食品安全機関(EFSA)が安全性評価を実施します。EUの法規に基づき、申請手順は以下の通りです。
段階A:資料提出前
- 申請者は申請前意見照会を申請(任意)
- 申請者は試験の事前通知
段階B:資料提出&適格性審査
- 申請者はオンラインシステム(e-Submission)でECに申請提出
- ECはEFSAに申請の適格性を確認
- EFSAは申請内容を受け、申請の適格性を確認(30営業日)
- EFSAは申請の適格性を認める
段階C:安全性評価(最大9ヶ月、補正時間を除く)
- ECは申請を正式受理(validate)し、EFSAに安全性評価を引き継ぎ
- EFSAは申請書類についてパブリックコメント
- EFSAは安全性評価を行い
- EFSAの専門家チームは科学意見を合意
段階D:評価意見通過後
- EFSAは科学的意見を発表
- ECはEFSAの意見に基づき法規起草し、常設委員会に提出して決議通過。その後、ECは法規公布、正式承認
申請資料の要求
EU法規 (EU) No 234/2011(EU食品添加物、食品酵素、食品調味料の承認手続きに関する法規)に基づき、EU食品添加物の申請には以下の資料が必要です。
行政資料
- 申請者情報
- 製造業者情報
- 物質の基本情報
- EU以外の各国・地域における監督管理状況
- リスク評価データ
- 添加物の名称と特徴。例えば、品質規格と分析データなど
- 溶解度、粒度、などの物理化学特性
- 製造工程
- 不純物
- 食品中の安定性と作用原理
- 申請の用途と使用量(通常使用量と最大使用量)
- 食事ばく露評価
- 毒性学的データ:ADME試験、毒性試験
リスク管理データ
- 物質情報
- 申請の食品類別中使用量の機能と技術的必要性の説明
- 申請の使用量の使用効果研究
- 消費者使用利益
- 当添加物の使用が消費者の判断を歪めないことの説明
- 申請の通常使用量と最大使用量
- 食事ばく露評価
- 消費者が食品製品摂取場合の当添加物含有量
- 食品中当添加物またはその残留物の試験方法
CIRSのサービス
- EU新食品添加物申請のGAP分析
- EU新食品添加物申請の代行
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