「新化学物質環境管理登記指南(意見募集稿)」におけるデータ要件の調整
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中国生態環境部は、2020年8月17日に、「新化学物質環境管理登記指南(意見募集稿)」(以下「指南」という)及び「新化学物質通常登記表及び記入説明」を起草し、9月6日までの意見募集を開始しました。「新化学物質環境管理登記弁法」(以下「弁法」という)に付属する規範性文書として、「指南」では新規化学物質の登記に関するデータ要件が明確化されます。

一、申請データの構成

  1. 申請データは必要な最低限のデータとその他のデータからなります。
  2. 通常登記及び簡易登記の申請者は、登記類型に基づき、必要な最低限のデータを提出しなければなりません(試験報告書から得られたデータ)。通常登記を行う新規化学物質の必要な最低限のデータは、新化学物質環境リスクに対して全面的な評価を行うことに不足している場合、その他のデータの提出が求められます(試験報告書から得られたデータを優先する)。
  3. 試験を行うことができない場合、QSAR、Read-across及び公開されている権威ある文献やデータベースにより得られた非試験データを申請に使用することができます(その理由、方法或はデータの出所、根拠などの説明が必要)。
  4. 毒性学及び生態毒性学の必要な最低限のデータは、基本データと特殊要求のデータに分けられます。基本データに基づいて、物質が難分解性(P)、生物蓄積性(B)を有するかどうかを判定し、特殊要求のデータの提出が必要です。
  5. 届出条件に合致する場合、データ要件はありません(ポリマーのGPC分析は除外)。

二、必要な最低限のデータ

通常登記(年間の生産量又は輸入量が 10 トン以上):物理化学特性、毒性、生態毒性に関する基本データの提出が必要です。物質が難分解性(P)、生物蓄積性(B)を有する場合、毒性、生態毒性に関する特殊要求のデータの提出が必要です。

簡易登記(年間の生産量又は輸入量が1トン以上 10トン未満):物理化学特性、難分解性、生物蓄積性、水性環境急性有害性に関する基本データの提出が必要です。物質が難分解性(P)、生物蓄積性(B)を有する場合、水性環境慢性有害性に関する特殊要求のデータの提出が必要です。

1. 物理化学特性(通常登記及び簡易登記)

通常登記及び簡易登記の申請者は、気温 20 ℃、気圧 101.3 kPa における物質の状態に基づいて、新規化学物質の物理化学的データを提出すべきです。

物理状態

登記類型

データ要件

固体物質

通常登記

クロマトグラフ、融点/凝固点、密度、水溶解度、n-オクタノール/水分配係数、粒径、有機溶媒安定性、分解産物の特性、解離定数、ヘンリー定数

簡易登記

クロマトグラフ、融点/凝固点、密度、水溶解度、n-オクタノール/水分配係数

液体物質

通常登記

クロマトグラフ、融点/凝固点、沸点、密度、蒸気圧、水溶解度、n-オクタノール/水分配係数、pH、表面張力、有機溶媒安定性、分解産物の特性、解離定数、ヘンリー定数

簡易登記

クロマトグラフ、融点/凝固点、沸点、密度、蒸気圧、水溶解度、n-オクタノール/水分配係数、pH

気体物質

通常登記

クロマトグラフ、水溶解度、臨界点、ヘンリー定数

簡易登記

2. 毒性学(通常登記のみ

通常登記(年間の生産量又は輸入量が 10 トン以上)を申請する場合、毒性データの提出が必要です。

3. 生態毒性学(通常登記及び簡易登記)

通常登記及び簡易登記を行う場合には、生態毒性データの提出が必要となります。簡易登記に要求される生態毒性データは以下の通りです。


通常登記に要求される生態毒性データは以下の通りです。

三、PBT、vPvB物質の選定

PBT、vPvB については、「難分解性、生物蓄積性と毒性物質、及び高難分解性、高蓄積性物質の判定方法」(GB/T24782)により判別するものとします。申請物質の環境及び健康分類は、「化学品分類及びラベル規範」(GB30000シリーズ)に照らして行われます。

この判定基準は、有機金属化合物を含む全ての有機化合物に適用します。

PBTvPvB物質の判定基準

P

分解しやすいの場合、難分解性(P)及び極難分解性(vP)なし

302B 7d分解率≥70%或は302C 14d分解率≥70%、難分解性(P)なし

光分解又は加水分解の場合、難分解性(P)なし

B

log Kow4.5、生物蓄積性(B)及び猛毒性(vB)なし

log Kow4.5、生物蓄積性(B)の可能性があり

log BCF2000、生物蓄積性(B)あり

log BCF5000、猛毒性(vB)あり

T

水生急性毒性EC50或はLC500.1mg/L、潜在的に毒性(T)があり

水生急性毒性EC50或はLC500.01mg/L、毒性(T)あり

水生慢性毒性NOEC或はEC100.01mg/L、毒性(T)あり

発がん性の区分1A或は1B、毒性(T)あり

変異原性の区分1A或は1B、毒性(T)あり

生殖毒性の区分1A1B或は2、毒性(T)の可能性があり

特定標的臓器毒性(反復ばく露)の区分1或は2、毒性(T)あり

四、データの免除条

2017年8月31日に公布された旧指南と比較すると、「指南」では、データの免除条件に関する主な変化は下記の通りです。

1. 自然発火温度、引火点、酸化性、燃焼性、爆発性の免除条項を削除する

2. 解離定数、底生生物慢性毒性の免除条件を追加する

データ

免除条件

解離定数

水中で不安定(加水分解半減期<12h)或は水中で酸化しやすい

底生生物慢性毒性

低い吸着性(例、logKoc<3

3. 中間体として使用される場合、慢性毒性データ提出の免除が可能となる

4. 魚類 14 日延長毒性試験の提出要求を取り消す

5. 陸生生物毒性について、ヒメミミズ繁殖試験或はミミズ繁殖試験を行い、土壌微生物影響試験の提出要求を取り消す

6. 水中溶解度>1mg/L或はlogKoc3.5の場合、ミミズ急性毒性試験データの提出が免除という条項を削除する

「指南」では、申請データ要件が大幅に調整されます。難分解性、生物蓄積性を有する物質について、特殊要求のデータの提出が必要となります。環境に悪影響を及ぼす可能性がある物質の登記について、物質の固有の性質により試験を合理的に手配するために、初期に申請物質の性質に対する分析評価に注意が必要です。



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