EU 殺生物性製品規則(BPR)
Source: CIRS

背景

殺生物性製品(Biocidal Product、BPは、人と動物の健康にとって有害な生物の抑制と天然材や人造材料にダメージを与える生物の抑制のために必要とされています。その特性や使用のパターンによって、人や動物の健康及び環境に対しリスクをもたらす恐れがあるため、EUにおいて殺生物性製品の流通に関する規則(EU) No 528/2012(殺生物性製品規則、Biocidal Product Regulationが制定され、2013年9月1日から施行されました。

※ 殺生物性製品規則(EU) No 528/2012は、先行の殺生物性製品指令 (98/8/EC) に代わるものです。

基本的な概念

活性物質:有害生物に対する作用、もしくは反する作用を有する物質または微生物

既存活性物質:科学的あるいは製造プロセスの研究開発以外の目的のために、2000514日までに殺生物性製品用の活性物質としてEU市場に上市済みであった物質

新規活性物質:科学的あるいは製造プロセスの研究開発以外の目的のために、2000514日時点でまだ殺生物性製品用の活性物質としてEU市場に上市されていなかった物質

殺生物性製品:意図的に何らかの、単なる物理的あるいは機械的な作用以外の手段によって、ある有害な生物を駆除、抑制、無害化、活動の阻害、その他抑制効果を目的とするすべての物質あるいは混合物。例:防腐剤、殺虫剤、消毒剤、殺鼠剤、汚染防除製品等

処理された成形品:一つもしくはそれ以上の殺生物性製品を処理するかもしくは意図的に含有した物質、混合物及び成形品

製品タイプ(PTProduct Type、付属書Ⅴに規定される製品タイプ

殺生物性製品の製品タイプ

メイングループ1

消毒剤

ヒト用衛生製品(1)、公衆衛生用(2)、動物用(3)、食料や飼料の分野(4)、飲料水用(5

メイングループ2

保存(防腐)剤

缶詰用(6)、フィルム(被膜)用(7)、木材用(8)、繊維用(9)、建造材料用(10)、液体冷却用(11)、スライム防止剤用(12)、金属加工用液体用(13

メイングループ3

有害生物駆除剤

殺鼠剤(14)、鳥駆除剤(15)、軟体動物駆除剤(16)、殺魚剤(17)、殺虫剤(18)、忌避剤(19)、その他の脊椎動物の駆除剤(20

メイングループ4

その他の製品

汚染防除製品(21)、死体および剥製防腐のための液体(22

Article 95

95条の規定により、殺生物性製品をEU市場に販売している企業については、活性物質および殺生物性製品供給者の第95条リストに含められていない場合、201591日より、EU 市場に上市できません。また、EU域外企業は域内の代理人を通じて申請することができます。

活性物質の承認

活性物質の承認について、申請者は物質および当該製品タイプに関する申請ドシェをECHAに提出する必要があります。評価する所管当局は1年以内に申請内容を評価して、承認可否の決定をECHAに勧告します。ECHA270日以内に評価結果について意見を形成し、欧州委員会に提出します。欧州委員会が最終的に承認可否と承認の条件を決定します。

以下の物質が含まれる場合、除外基準に該当するため、原則として承認されません。

  • CMR(発がん性、変異原性、生殖毒性に分類される)1Aまたは1Bの物質
  • PBT(難分解性、生体蓄積性、毒性)またはvPvB(極めて難分解性で高い生体蓄積性)の物質
  • 内分泌かく乱物質

殺生物性製品の認可

加盟国による認可:製品を1つのEU加盟国で販売することを計画している企業は、当該加盟国に製品認可を申請する必要があります。

相互認可:その他の加盟国にも上市したい場合は、相互認可を申請できます。

EU による認可:新たに導入されたEUレベルでの認可制度であり、EU全域で殺生物性製品を上市したい場合、各加盟国の認可を申請することではなく、EUに一括で申請を行います。

簡易認可:環境および人と動物の健康にとって比較的低リスクの殺生物性製品の利用を促進することを目指しています。

簡易認可手続を申請するためには、下記の条件を満たしている必要があります。

Ÿ   殺生物性製品に含有されているすべての活性物質が付属書に記載されている

Ÿ   殺生物性製品に懸念物質またはナノマテリアルを含まない

Ÿ   殺生物性製品には十分な効果がある

Ÿ   殺生物性製品の運搬および使用には個人用保護具を必要としない

殺生物性製品の授権

Ÿ   製品名称および含有される活性物質の確認

Ÿ   情報参照権利書 (LoA)の費用分担

Ÿ   授権方案の確定

Ÿ   ドシェの準備と提出

処理された成形品のラベル表示

69条の規定により、認可取得者は、CLP規則に基づき、殺生物性製品の分類、包装およびラベル表示を行う必要があります。処理された成形品についてもラベル表示は要求されています。処理された成形品の殺生物性を訴求する場合と、物質の承認条件にラベル表示が要求されている場合は、国の公用語でラベル表示が必要となります。

Ÿ   処理された成形品が殺生物性製品を含有しているという記述

Ÿ   処理された成形品の殺生物特性

Ÿ   すべての活性物質及びナノマテリアルの名称

Ÿ   使用に関する説明および注意事項

 

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