法規制の紹介
台湾地区の所管当局は台湾で生産または輸入する新規化学物質と既存化学物質に対して、化学物質登録管理制度を実施しています。
台湾環保署は2019年1月16日に最新改訂版の「毒性及び懸念化学物質管理法」(「Toxic and Concerned Chemical Substances Control Act」、以下「TCCSCA」という)を公表し、施行しました。以下に「TCCSCA」第30条第1項の内容を示します。「年間一定量の既存化学物質を生産または輸入する者は規定されている期限に従って台湾地区の所管当局に化学物質の資料登録を申請しなければならない。新規化学物質を生産または輸入する者は生産または輸入の90日以内に台湾地区の所管当局に化学物質の資料登録を申請しなければならない。前述の新規化学物質および既存化学物質の登録審査が承認された後、生産または輸入することができる。」
「新規化学物質及び既存化学物質資料登録弁法」(「Regulations of New and Existing Chemical Substances Registration」、以下「弁法」という)は、「TCCSCA」の下位法です。その最新改訂版は2021年11月23日に公表、実施されました。『弁法』は以下の内容を詳しいく規定しました:登録すべきの化学物質の種類、トン数帯、生産または輸入状況、物理、化学、毒性、ばく露および危害性評価などの資料;登録期限、標準登録、簡易登録、少量登録および共同登録の方式、審査のプロセス、許可または却下、登録の取り消しまたは廃止、禁止または制限運営の方式;登録後の化学物質資料の申告または増補、書類保存の方式、情報の公開、工商机密保持の方式及びその他に遵行すべきの事項。
台湾労働部もまた台湾地区で生産または輸入される新規化学物質を管理を行います。以下に労働部が公表した「職業安全衛生法」第13条第1項の内容を示します:「生産者または輸入者は、台湾地区の所管当局が公表した化学物質リスト以外の新規化学物質について、台湾地区所管当局に化学物質安全評価報告書を提出し、登録が承認されていない限り、新規化学物質を含む化学品を生産および輸入することはできない。」「職業安全衛生法」の下位法として、「新規化学物質登録管理弁法」は新規化学物質の登録、評価報告の内容、審査のプロセス、情報の公開及びその他遵行すべき事項についてより詳しくに規定しています。
台湾地区関連所管当局の協調の下で、台湾地区環保署と労働部は新規化学物質登録の受付窓口を統一しました。2015年8月19日から新規化学物質の生産者または輸入者は、台湾地区環保署が設立した化学物質登録プラットフォームを通じて、新規化学物質登録の申請をすることだけになります。登録申請が承認される後、登録者は前述の「新規化学物質及び既存化学物質資料登録弁法」と「新規化学物質登記管理弁法」この二つの管理法規制中の新規化学物質登録に関する規定と要求を同時に満たすことが出来ます。
台湾地区化学物質名録
台湾地区「既存化学物質インベントリー」(「TCSI」)は化学物質登録制度を実施するため、幾度の増補を提出後、2014年に台湾地区労働部により公表されました。その後は台湾地区環保署が公表した化学物質リストと統合されました。現在、「TCSI」には10万種以上の化学物質が収載されています。台湾地区で標準登録済みの新規化学物質の中、条件を満たした物質も「TCSI」に増補されます。
「TCSI」検索サイト:リンク
登録対象物質と免除物質
- 既存化学物質:台湾地区の『既存化学物質インベントリー』(「TCSI」)の中に収載されている化学物質。
- 新規化学物質:既存化学物質を除いた(「TCSI」に収載されていない)化学物質。
- 免除物質: 天然に存在する物質;試運転に用いる機械又は設備に付随する化学物質;反応槽に存在する、又は製造過程において化学反応中の分離できない中間体;台湾地区の安全又は防備の必要性に係る化学物質;税関が監督管理する化学物質;製造過程で排出される、又は生じる廃棄化学物質;商業用途のない副生成物又は不純物;混合物、但し混合物を組成する個別の化学物質成分は含まない;成形品;「TCSI」に収載済みの、2%ルールに適用するポリマー;その他法規制によって規制されている物質または物品。
登録者と代理人
- 登録者:台湾地区の化学物質の生産者または輸入者が登録者となります;
- 代理人:台湾地区の法人または自然人が、登録者の委託を受けて代理人となることができます。台湾地区外の企業が台湾地区に化学物質を輸入する場合、企業秘密情報(CBI)保持の申請が必要な場合は、代理人を通して登録申請を行うことができます。
新規化学物質登録
登録種類とトン数帯
用語説明:
- PLC:低懸念ポリマー(Polymer of Low Concern);
- SRD:科学研究用途(Scientific Research and Development);
- PPORD:製品・製造工程研究開発(Product and Process Oriented Research and Development);
- On-Site中間体:場所限定中間体(On-Site Intermediate);
- CMR第1類:発がん性、変異原性、生殖毒性を有するとされる物質CNS15030/GHS 区分1(Carcinogenic, Mutagenic or Toxic to Reproduction);
登録資料の要求
説明:
- 特定化学物質である場合、さらに特定資料を提出しなければならなりません
- 標準登録の時、物質の危害特性および登録トン数帯によって、危害評価情報と/またはばく露評価情報を提出しなければなりません。
共同登録
共同または順序に同じ新規化学物質の登録申請を提出する者に対して、各登録者は協議し、登録資料の共有を申請することが出来ます。
共同登録を申請される新規化学物質は共同登録者の申請総量を合計し、本弁法の規定に従って化学物質資料を登録すべきです。
所管当局は登録された新規化学物質の製造または輸入の総量を審査し、その結果によって登録者に指定された登録種類に従って再登録または共同登録を申請するように要求出来ます。
審査時間と登録有効期限
台湾地区の新規化学物質の少量登録、PLC事前審査、簡易登録、標準登録の審査期間はそれぞれ7勤務日、7勤務日、14勤務日、45勤務日になります。所管当局は審査期限を1回延長し、登録者に知らせることができます。登録者が審査意見に基づいて資料を補正または訂正した場合、審査時間を再起算します。
登録者は補正の知らせを受けてから30勤務日以内に補正を完了しなければなりません。補正は2回切りで、2回補正しても審査に承認されない場合、申請は所管当局に却下されます。科学または技術的な原因で補正が間に合わない場合、登録者は所管当局に補正期限の延長を申請することができます。
登録者が申請した新規化学物質CBI情報保持が承認された後、すべての登録種類の秘密保持期間は5年になります。CBI情報保持期限の6ヶ月前から3ヶ月以内に、登録者は保持延長を申請することができます。新規化学物質の累積秘密保持期間は最大15年です。
登録者が申請した新規化学物質の登録が承認された場合、全登録種類の有効期間は5年となります。登録期限の6ヶ月前から3ヶ月以内に延長を申請することが可能です。新規化学物質標準登録から5年、またはPLC少量登録から5年が経過すれば、所管当局が「TCSI」に編入することができます。新規化学物質が標準登録され、リスク評価資料も提出された場合、またはPLC少量登録の申請が承認された場合、登録者は自発的に「TCSI」に編入することを申請できます。
登録審査費用
登録種類 | 登録資料の審査(ニュー台湾ドル) | 登録文書の延期申請(ニュー台湾ドル) |
標準登録 | 50 000 | 2000 |
簡易登録 | 20 000 | 1000 |
少量登録 | 2 000 | 1000 |
PLC事前審査 | 1 000 | --- |
資料秘密保持 | 12 500/項目 | --- |
資料秘密保持延長 | 10 000/項目 | --- |
説明:
- 登録者が学術机関や中小企業の場合であれば、標準登録、簡易登録、少量登録の審査費用は元の75%となります。
- 標準登録、皮膚刺激性/腐食性または眼刺激性のデータ、In vitro試験の提出、QSARレポートまたはread-acrossデータの場合、所管当局は37000ニュー台湾ドルの審査費用を取ります。
既存化学物質登録
登録種類の判別
既存化学物質第一段階登録
既存化学物質の生産または輸入量が年間100kg以上の場合、登録者は生産または輸入活動が発生した日から6ヶ月以内に所管当局に第一段階登録資料を申請しなければなりません。
既存化学物質第一段階登録資料要求 | |
1.登録者および物質の基本情報 | 1.1 登録者情報 1.2 CAS番号または「TCSI」番号 |
2.物質生産または輸入、用途の情報 | 2.1生産量および輸入量 2.2用途情報 2.3生産または輸入活動証明 |
既存化学物質標準登録期限の規定
第一段階登録済みの場合 | 標準登録を完了する指定期限 | |
2019年12月31日以前初めて第一段階登録番号を得た場合 | 登録年間量が1t以上の場合 | 2024年12月31日前に登録完了すべき |
2020年1月1日以降初めて第一段階登録番号を得た場合 | 登録年間量が1t以上の場合 | 翌年の1月1日から、5年以内に登録完了すべき |
初めて第一段階登録番号を得た時の年間量が1t未満の場合 | 2019年12月31日以前の実際年間量が1t以上の場合 | 2024年12月31日前に登録完了すべき |
2020年1月1日以降の実際年間量が1t以上の場合 | 翌年の1月1日から、5年以内に登録完了すべき |
説明:第一段階登録番号を取り消しした後に再び申請する場合、第一段階登録番号を得た後、元の指定期限内に標準登録を完了しなければなりません;再申請を提出する時既に指定期限を過ぎている場合は、申請の時に共に標準登録を完了しなければなりません。
既存化学物質標準登録トン数帯
年間生産または輸入量 | CMR第1類物質 | 他の化学物質 |
1-10t | 第二級 | 第一級 |
10-100t | 第三級 | 第二級 |
100-1000t | 第四級 | 第三級 |
1000t以上 | 第四級 | 第四級 |
説明:標準登録が完了した後、実際の年間生産または輸入量が増加し、トン数帯が変化した場合、登録者は変化後のトン数帯によって、所管当局に補足資料を提出しなければなりません。
既存化学物質標準登録資料の要求
説明:
- 登録者が第1から第7項目までの資料を完成し、所管当局の審査に承認された後、既存化学物質の標準登録番号を得ることが出来ます。
- 登録者は既存化学物質の標準登録番号を得た後、所管当局の指定期限内に第8と第9項目の資料を完成しなければなりません。
共同登録
異なる登録者が共同または順序に同じ新規化学物質の登録申請を提出する場合、各登録者は協議し、登録資料の第3、5、6、7、8項目の共有を申請することが出来ます。最初の登録者が登録を完了した後、他の登録者に共同登録許可コードを提供できます。他の共同登録者は既存化学物質標準登録資料要求の第1、2、4、9項目を提供するだけで、共同登録許可コードを使用して登録資料項目を完了することができます。
審査時間と登録有効期限
既存化学物質の第一段階登録審査時間は7勤務日、既存化学物質の標準登録審査期限は90勤務日になります。所管当局は審査期限を1回延長し、登録者に知らせることができます。登録者が審査意見に基づいて資料を補正または訂正した場合、審査期限は再起算されます。
登録者は補正の知らせを受けてからの30勤務日以内に補正を完了しなければない。補正は2回切りで、2回補正しても審査に承認されない場合、申請は所管当局に却下されます。科学または技術的な原因で補正が間に合わない場合、登録者は所管当局に補正期限の延長を申請することができます。
登録者が申請した既存化学物質のCBI情報保持が承認された後、秘密保持期間は5年であります。登録者はCBI情報保持期限の6ヶ月前から3ヶ月以内に延長を申請することができます。既存化学物質の秘密保持期間は最大10年であります。
登録審査費用
登録種類 | 登録資料審査(ニュー台湾ドル) |
第一段階登録 | 100/物質 |
標準登録 | 50000 |
資料秘密保持 | 12500/項目 |
資料秘密保持延長 | 10000/項目 |
説明:
- 登録者が学術机関や中小企業の場合であれば、標準登録、簡易登録、少量登録の審査費用は元の75%となります。
- 標準登録、皮膚刺激性/腐食性または眼刺激性のデータ、体外試験の提出、QSARレポートまたはread-acrossデータの場合、所管当局は37000ニュー台湾ドルの審査費用を取ります。
年間量の申告
「弁法」第24条の規定により、「登録が承認された新規及び既存化学物質について、登録者は登録が承認された翌年から、毎年4月1日から9月30日までに前年に生産及び輸入した新規または既存化学物質の数量情報を申告しなければない。」
新規又は既存化学物質の数量情報の申告要求 | |
1.登録者および登録番号 | 1.1登録者情報 1.2承認された登録番号 |
2.物質生産または輸入量 | 2.1生産量 2.2輸入量 |
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