インド化学品法規制CMSR
Source: CIRS


背景

2020824日、インドは化学品(管理および安全)規則ドラフト案の第5版「Chemical (Management and Safety) Rules、略称はCMSR」を公布しました。CMSRは、インドで生産、輸入又は上市された物質、混合物、物品に含まれる物質及び中間体を管理するため、1986年環境保護法に沿って作成された規制であり、2021年初めに発効する予定です。インドの製造業者、輸入業者及び認定代表者(Authorized Representative)には義務が設けられます。

企業の義務

通報(Notification

年間1t以上になる場合、通報が必要です。物質情報、スペクトルデータ、有害性分類、用途、川下ユーザーの情報、トン数量、貯蔵量及びSDSの提出が必要です。化学品監督管理部門(Chemical Regulatory Division)は提出された情報に対して安全性評価を行い、証明書及び番号を発行します。全ての対象物質は、毎年229日(閏年)/3月1日までに年度報告書を提出しなければなりません。トン数量又はそのほかの情報に変更がある場合、早めの更新が求められます。また、全ての新規化学物質は、インド市場に投入する場合、少なくとも60日前に通報を行う必要があります。

登録(Registration

「登録が必要な優先物質(Priority Substances)」として附属書Ⅱに収載され、且つ年間1t以上になる場合、登録が必要です。現時点、約750物質が附属書Ⅱに収載され、附属書Ⅱは随時更新されます。附属書Ⅱに収載されてから18ヶ月以内に、登録を行わなければなりません。

年間10t以上になる場合、化学品安全評価報告書(Chemical Safety Assessment)及び登録一式文書の提出が求められます。登録費用はトン数量及び企業の規模によって決まります。共同提出が推奨されます。

年間1,000t未満の中間体の場合、物理的及び化学的性質に関する情報の提出が必要です。年間1,000t以上の中間体の場合、全ての情報を含む登録一式文書及び化学品安全評価報告書(CSR)の提出が必要です。優先物質を含み、且つ年間1t以上になる場合、登録も必要です。

年度報告書(Annual Reporting

全ての届出及び登録を行う物質は、年度報告書の提出が要求されます。前年度の輸入数量及び通報/登録情報の変更が含まれるべきです。

外国の製造業者及び認定代表者

物質、混合物中の物質及び物品に含まれる優先物質について、外国の製造業者又は供給者はインドにおける認定代表者(Authorized RepresentativeAR)を指名して、法規対応の義務を委託することができます。

定義

既存物質(Existing Substanceは、すでに初期通報(Initial Notification)を行った物質のことを指す。

新規物質(New Substancesは、初期通報をしない物質のことを指す。

※ 現時点、初期通報の期間(Initial Notification period)はまだ未定です。

川下ユーザー(Downstream User

川下ユーザーは、工業的または職業的な活動の過程において物質を使用する、インド域内に所在するあらゆる自然人又は法人(製造業者又は輸入業者を除く)のことを指す。エンドユーザーは川下ユーザーではありません。

優先物質(Priority substances

優先物質は、第2hh)条に定められた定義を満たす物質のことを指す。

a. UN GHS Rev.8に従って、次のように分類される物質

  1. 発がん性区分1又は区分2 且つ/或は
  2. 変異原性区分1又は区分2 且つ/或は
  3. 生殖毒性区分1又は区分2 或は
  4. 特定の標的臓器毒性(反復暴露または単回暴露)区分1又は区分2

上記の条件に基づき、約4,200物質は優先物質とみなされる

b. CMSR附属書Iに掲げる難分解性、高蓄積性及び毒性(PBT)を有する物質又は極めて難分解性、高い生物蓄積性(vPvB)を有する物質に該当する約185物質

c. 登録が必要な優先物質として附属書Ⅱに記載される約750物質

優先物質について、ラベルや包装の要求があり、輸入日の15日前に輸入報告を行う必要があります。附属書Ⅱに記載される優先物質は、登録を行わなければなりません。 

通報に必要な情報

a. 通報者の情報

b. 物質識別

c. 不純物

d. 物質構造とスペクトル

e. 危害分類

f. 用途

g. 川下ユーザー

h.トン数量

i. 最大貯蔵数量

j. SDS (GHS Rev. 8)

注意点

化学物質を扱う製造業者、輸入業者及び川下ユーザーは、CMSRが施行する前に、以下の準備を行うことをお勧めします。

a. 監督管理チームの設立

b. 対象物質リストの作成

c. トン数量の確認

d. 川下ユーザーとの連絡、確認

e. GHS Rev.8に従いSDSの更新

f. CMSRの最新動向の把握

g. CMSRのトレーニング

h. 物質リストのフォロー、制限物質リスト(附属書Ⅵ)、優先物質リスト(附属書Ⅱ)及び有害物質リスト(附属書Ⅹ、Ⅺ、Ⅻ)

初期通報の期間が定められた後、要求通りに通報を行うべきです。また、附属書Ⅱに収載され、且つ年間1t以上になる場合、物理的及び化学的性質、毒性、生態毒性などに関する情報を準備し、要求の18ヶ月以内に登録を行わなければなりません。

当社のサービス

  • CMSRに関するコンサルティング、法規への対応、トレーニング
  • インドにおける認定代表者サービス(Authorized RepresentativeAR
  • 年間1t以上の化学物質の初期通報
  • 年間1t以上の優先物質の登録
  • 年度報告書の作成及び提出
  • インド法規制対応のSDSとラベルの作成