「中華人民共和国電子商取引法」(以下、電子商取引法と略す)は、2018年8月31日の第13期全国人民代表大会常務委員会第5回会議で可決された。2019年1月1日から施行される。中国で初めての電子商取引法として、その法律構成は、以下の通りである。
第一章 総則 | 8条目(第一~八条) |
第二章 電子商取引経営者 (第一節 一般規定) | 18条目(第九~二十六条) |
第二章 電子商取引経営者 (第二節 電子商取引プラットフォーム経営者) | 20条目(第二十七~四十六条) |
第三章 電子商取引契約の締結及び履行 | 11条目(第四十七条~五十七条) |
第四章 電子商取引紛争解決 | 6条目(第五十八~六十三条) |
第五章 電子商取引促進 | 10条目(第六十四~七十三条) |
第六章 法的責任 | 15条目(第七十四~八十八条) |
第七章 附則 | 1条目(第八十九条) |
中国域内で電子商取引を行う場合は本法が適用される。「電子商取引」、「電子商取引経営者」、「電子商取引プラットフォーム経営者」、「プラットフォーム内経営者」などが規定される。法律、行政法規は商品販売又はサービス提供に対して規定がある場合に、その規定が適用される。ネットバンク、保険、証券、株、基金、貸借プラットフォーム、決済プラットフォーム、融資プラットフォームなどのようなインターネット金融製品・サービスや、情報ネットワークを利用して、ニュース情報、音楽映像番組、出版及び文化作品等のサービスを提供する場合は本法の適用外となる。
いかなる自然人、法人及び非法人組織は電子商取引の経営者として、法に基づいて電子商取引を行うことができる。電子商取引経営者は、市場主体登記を行わなければならない。法に従い納税義務を負い、税収優遇も享受できる。個人が販売する自己生産の農産物副食品、家庭の手作り製品、個人が自己の技能を利用して法に従い許可を取得する必要がない便民労務活動に従事すること、零細で小額な取引活動を行うことなど、市場主体登記を行う必要がないが、納税義務を課せられる。初めての納税義務が発生した後、税収登記の弁理を申請し、如実に申告して納税しなければならない。微商や代購は価格優位がないので、市場から淘汰される可能性がある。電子商取引経営者が経営活動を行い、法に従い行政許可の取得が必要になる場合は、法に従い行政許可を取得しなければならない。架空の取引やユーザー評価の捏造などによって虚偽や誤解を与えるような商業宣伝や詐欺、消費者をミスリードする行為を禁止する。電子商取引経営者が消費者に広告を送付する場合には、「中華人民共和国広告法」を遵守しなければならない。消費者個人の趣味嗜好や消費習慣などに基づき、消費者個人に向けた商品やサービスの提供、保証金の徴収や返還に対して、消費者の合法的権益を保護する(第十八、十九、二十一条)。越境ECを行う際は、輸出入監督管理に関する法律及び国家規定を遵守しなければいけない。
ネットワークの公平な競争を保証するために、電子商取引プラットフォーム経営者は参入した商品やサービスに対して、中立の態度をとる必要がある。特に、プラットフォーム経営者とプラットフォーム内経営者の商品は競争が存在する場合、ダブルスタンダードが作られてプラットフォーム内経営者の利益を損ない、消費者をミスリードする行為を禁止する。電子商取引プラットフォーム経営者は自らのプラットフォーム上で直営業務を行う場合、明確な方法で直営業務とプラットフォーム内の業務を区別することが要求される。商品やサービスに対する消費者の評価を削除することを禁止する。消費者が商品やサービスを検索した際に価格、販売量、信用評価などの多様な方式に基づいて検索結果を表示すべきである。価格競争で検索結果表示の順位を決めている場合は、「広告」であることを明示することが要求される。プラットフォーム経営者はプラットフォーム内経営者に電子商取引サービスを提供する際に、集中価格競争、Market makersなどの集中方式で取引を行うこと、標準化契約取引を行うことを禁止する。
国は公共データ共有システムの作成を推進し、電子商取引経営者が法に従い公共データの利用を促進する。小規模・微小規模企業が越境ECを行うことを支持する。越境ECの電子商取引経営者は電子証明書で国家輸出入管理部門に関係手続を行わなければいけない。国家輸出入管理部門は、越境ECの税関申告、納税、検験検疫などに対する総合サービス及び監督管理システムの確立を推進し、監督管理流れを改善し、情報の共有、監督管理の相互認証、法執行の相互援助を推進し、越境ECサービス及び監督管理効率を高める。その他国や地域との越境ECの協力を促進し、電子商取引国際規定の作成を参加し、電子署名、電子身分証などの国際相互認証を促進する。
法的責任
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