2022年6月10日、欧州委員会は改訂されたナノマテリアル(ナノ材料)の新定義を発表しました。「持続可能な化学物質戦略」の成果として、新しい提案は、ナノマテリアルに関する統合の監督規制の確立と主管部門の統合を支援しているのです。
ナノマテリアルは、さまざまな形状の小さな粒子で構成されたものてあり、その大きさは100nm(ナノメートル)を下回り、または人間の髪の毛の1000分の1の細さです。そのため、特定の性質を持つナノマテリアルは、産業や製品に利用されています。全面的な審査を受けて確定された新定義は、2011年の定義に代わるもので、ナノマテリアルの既定の対象範囲に大きな影響を与えることなく、より簡単かつ効果的に実施できるようになるはずです。
2011年、初めて欧州委員会に採用されたナノマテリアルの定義(ナノマテリアルの定義に関する提案書2011/696 / EU)では、ある材料がナノマテリアルであるかどうかの唯一判断標準は、材料に含まれる粒子径の分布に基づくもので、1nm~100nmの粒子の割合が50%以上であれば、その材料はナノマテリアルであります。
新しい定義では、「ナノマテリアル」とは、固体粒子で構成される天然、偶発的、または人工の材料のことで、これらの粒子は、単独に存在でき、または凝集体或は集合体の識別可能な構成粒子として存在できるんです。粒度分布からみれば、50%以上の粒子は以下の条件の少なくとも1つを満たす必要があります。
1) 粒子の1つまたは複数の外寸は、1nm~100nmにある。
2) 棒状、繊維状、管状などの細長い形状を有し、2つの外寸<1nm、他の大きさ>100nmである粒子。
3) 板状形状を有し、一つの外寸<1nmで、ほかのが>100nmの粒子。
粒子数に基づく粒度分布を求める場合、100 µmを超える少なくとも2つの直交する外寸を持つ粒子を考慮する必要はがなくて、体積比表面積6cm²/cm³未満の材料は、ナノマテリアルと見なすべきではありません。
また、2011年提案書の「体積比表面積6cm²/cm³の物質はナノマテリアルとみなすことができる」という概念も削除されました。最も重要なのは、閾値として、ある状況の下で1~50%の粒子の間で変動できるという柔軟性条項が削除され、50%のデフォルト閾値のみが保持されたことです。
施行
新しい提案が採用された後、各主管部門での内部定義が更新され、古い定義が新しい定義に置き換えられると予想されることにより、新しいのは特定の法律で法的拘束力を持つことにもなります。各主管部門はそれぞれのタイムテーブルに従って実施されます。
- 化粧品の監督審査:ナノマテリアルの定義の問題についての意見募集の締め切りは、2022年6月21日です。
- 「持続可能な化学物質戦略」におけるREACHの改訂について、委員会は、2022年末までに提出される改訂案の一部として、ナノモルフの定義を更新する予定です。
背景
ナノマテリアルは創新を推進する一方で、材料の毒性を増加させる可能性があり、安全に使用するために異なるプロセスを必要とする場合があります。そのため、いくつかのEU法には、適切なデータ収集、リスク評価、そして場合によってはナノマテリアルの存在を消費者に知らせるための製品ラベルを確保するように、ナノ材料に関する追加規定があります。
食品と化粧品分野のEU法では、ナノマテリアルに関するそれぞれの定義がまだ存在していますが、他のEU法(REACH、EU BPR、医療機器法規則など)や一部の国家法では、すでに委員会提案2011/696/EUの共通定義が使用されています。今回の更新により、欧州委員会は改訂された定義を利用して、それぞれ主管部門の法律の調和を図ることを期待しています。
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