「韓国化学物質の登録及び評価に関する法律(The Act on Registration and Evaluation of Chemicals)」、「化評法」又は「K-REACH」と呼ばれ、2015年1月1日に施行された。EU REACH規則の登録、評価、認可及び制限に類似し、新規化学物質、既存化学物質及び川下製品に対して管理を行っている。2016年12月に環境部はK-REACHの改正案を公布し、2019年1月1日から施行されている。
国民の健康及び環境を保護することを目的として、K-REACHは以下の関連事項を規定する。
- 化学物質の登録
- 有害物質の指定
- 化学物質を含有している製品の有害性審査及びリスク評価
- 化学物質の情報共有
環境部はK-REACHによって化学物質の登録及び評価を行うことができる。
既存化学物質
- 1991年2月2日以前に、韓国国内に流入された化学物質で、1996年12月23日に環境部によって告示した化学物質
- 1992年2月2日以降、「有害化学物質管理法」に基づき環境部により有害性評価を完了し告示した化学物質
ポリマー
ポリマーは以下のような定義が与えられている。
- 1種類以上の単量体単位の連鎖により生成する分子の集合から構成される
- 各分子内の単量体単位の反復数により、特定の分子量分布を示す
- 3個以上の単量体単位と少なくとも1個以上の単量体単位又は他の反応物と共有結合をして、このような分子が50%以上
- 分子量が等しい分子が重量比で50%以下
適用範囲
K-REACHは次のいずれかに該当する化学物質には適用しない。
- 「原子力安全法」による放射性物質
- 「薬事法」による医薬品と医薬部外品
- 「麻薬類管理に関する法律」による麻薬類
- 「化粧品法」による化粧品及び化粧品に使用する原料
- 「農薬管理法」による農薬と原料
- 「肥料管理法」による肥料
- 「食品衛生法」による食品と食品添加物、器具及び容器、包装
- 「飼料管理法」による飼料
- 「銃砲・刀剣・火薬類などの取締法」による火薬類
- 「軍需品管理法」及び「防衛事業法」による軍需品(「軍需品管理法」による通常品は除く)
- 「健康機能食品法」による健康機能食品
- 「医療機器法」による医療機器
- 「衛生用品管理法」による衛生用品
- 「生活化学製品及び殺生物剤の安全管理に関する法律」による殺生物物質と殺生物製品
化学物質の登録・届出
K-REACH改正案によりますと、次の化学物質を製造・輸入するもしくは製造・輸入しようとする者(製造者又は輸入者)は、製造・輸入前に登録・届出しなければいけない。
- 年間0.1t以上の新規化学物質
- 年間1t以上の既存化学物質
- 年間0.1t未満の新規化学物質は、環境部に届出必要
EU REACH規則の予備登録制度に類似し、韓国域外の製造者は韓国域内の法人を「唯一の代理人」(OR)に指名して事前申告を行うことができる。
既存化学物質の登録猶予期間
韓国K-REACH改正案によりますと、2019年1月1日から6月30日までの間に、韓国域内の既存化学物質(第1回目の登録対象既存化学物質以外)の事前申告を行えば、3~12年の登録猶予期間が取得できる。
登録を申請する際に提出する資料
- 化学物質の名称
- 化学物質の用途
- 化学物質の有害性
- 化学物質の物理化学的特性
- 化学物質の分類及び表示
- 製造者、輸入者又は唯一の代理人の情報
- 安全使用の手引き
- 化学物質の危害性に関するほかの情報、対応措置、暴露制御及び管理を説明する暴露シナリオなどを含む(年間10t以上製造・輸入する場合)
- その他、環境部令で定めた資料
登録の免除
- 機械に内臓され輸入される化学物質
- 試験運転用機械・設備と共に輸入される化学物質
- 特定な固体形態で一定した機能を発揮する製品に含有され、その使用過程で流出されない化学物質
- 評価委員会の審議を経て環境部長官が告示した危険有害性が極めて低い化学物質
- 国外に全量輸出の目的で製造又は輸入する化学物質など大統領令で定めた化学物質として環境部長官から登録又は届出の免除確認を受けた化学物質
情報伝達の強化
登録に関係なく、有害化学物質(有毒物質など)の情報については、物質の名称、分類・表示、有害性及び危害性に関する情報、安全使用情報などを購買者に提供しなければならない。なお、発がん性物質、突然変異性物質、生殖毒性物質は情報を伝えなければならない。(CMR物質リスト)
重点管理物質
「重点管理物質」とは、環境部により指定して告示した人体及び環境に有害性があると懸念される化学物質である。(重点管理物質リスト)
- 発がん性、変異原性、生殖毒性及び内分泌攪乱性の恐れがある物質
- 人や動植物の体内に蓄積性が高く、長期間環境中に残留する物質
- 人に露出される場合、肺、肝臓、肝、腎臓などの臓器に損傷を引き起こす恐れがある物質
- 人や動植物に上述した物質(1~3)と同等のレベル又はその以上の深刻な危害を与える恐れがある物質
重点管理物質を含有する製品の製造者又は輸入者は、次の要件に該当する場合には、当重点管理物質の名称、含量及び有害性情報、露出情報、製品に含有された重点管理物質の用途について、製造又は輸入する前に環境部に物質情報を届出しなければならない。
- 製品1個あたりの個別の重点管理物質の含有量が0.1重量%を超える
- 製品全体に含有する重点管理物質の物質別総量が年間1tを超える
認可物質
EU REACH規則認可制度のように、認可物質は、政府が認めた特定の用途を除き、認可された用途のみで使用可能となる。
重点管理物質とその他有害性審査とリスク評価の結果、リスクがあると懸念される化学物質について、関係中央行政機関の長と協議し、評価委員会の審査を経て製造・輸入・使用前に、環境部長官の認可を受けなければならない認可物質として指定・告示できる。この場合、環境部長官は大統領令で定める危害性の低く、認可を受けずに製造・輸入・使用できる用途と共に指定・告示できる。(第25条 認可物質の指定)
罰則
化学物質の製造者又は輸入者は、次のいずれかに該当する違反行為を行った場合には、該当化学物質の製造者又は輸入者に対して、売上高の5%以下に該当する罰金を徴収することができる。しかし、売上高がないもしくは売上高の算定が困難な場合で、大統領令で定める場合には、10億ウォン以下の課徴金を賦課することができ、単一の事業所を保有している企業の場合には、売上高の25‰を超過できない。
- 登録しない又は登録した内容と異なる化学物質を製造・輸入した場合
- 変更登録をしない又は変更登録した内容と異なる化学物質を製造・輸入した場合
なお、違反行為が発生した期間と回数、違反程度及び違反行為により取得した利益などを考慮しなければならない。