この前、CIRSは中国において認可取得した1~10歳に適用する特殊医学用途全栄養処方食品のエネルギー密度、3つ主要なマクロ栄養素のエネルギー供給比、及び3つ主要マクロ栄養素の原料由来などが処方研究や開発への影響を分析しました。詳細はこちらにてご参考ください。
この度、CIRSは中国において認可取得した1~10歳に適用する特殊医学用途全栄養処方食品の栄養成分を詳しく分析します。例えば、ビタミン、ミネラル、選択的な成分、など。各企業の特殊医学用途調整食品研究や開発、臨床医師の特殊医学用途調整食品選択や使用の参考になれますよう期待しております。
1. ビタミン
ビタミンは人体正常生理機能の維持に必要な低分子有機化合物であり、体内で合成できないか、合成量が不足か、需要量が微量ですが、食物から摂取しなければなりません。ビタミンは脂溶性ビタミン及び水溶性ビタミンという2種類に分けられます。脂溶性ビタミンにはビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKを含み、水溶性ビタミンにはビタミンCとビタミンB群を含み、例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビオチンなど。
1~10歳に適用する特殊医学用途全栄養処方食品の栄養成分表に表記する「100kJあたり」のビタミン含有量を法規標準規定量に比べた結果、葉酸を除き、1~10歳に適用する特殊医学用途全栄養処方食品のビタミンのラベル表示値はほぼ「標準の下限よりわずかに高い〜中間値」の範囲内にあります。
ビタミンB1、ビタミンB2、葉酸を除き、ビタミンのラベル表示値は殆どが「GB 29922」下限値の「100%〜300%」、つまり強化量の「1〜3倍」になります。認可した製品のビタミンB1、ビタミンB2のラベル表示値は法規標準下限値の「200%〜520%」になり、葉酸のラベル値は法規標準下限値の「376%〜730%」になります。
表1 ビタミンラベル表示値
栄養素 | GB 29922(/100kJ) 1~10歳 | ラベル表示値(/100kJ) | 比較結果 |
ビタミンA(μg RE) | 17.9~53.8 | 21.83(19.88~22.70) | 122%(111%~127%) |
ビタミンD(μg) | 0.25~0.75 | 0.36(0.31~0.42) | 143%(124%~168%) |
ビタミンE(mg α-TE) | ≥0.15 | 0.31(0.18~0.44) | 205%(120%~293%) |
ビタミンK(μg) | ≥1 | 1.69(1.00~2.78) | 169%(100%~278%) |
ビタミンB1(mg) | ≥0.01 | 0.04(0.02~0.05) | 361%(200%~520%) |
ビタミンB2(mg) | ≥0.01 | 0.04(0.02~0.05) | 376%(200%~520%) |
ビタミンB6(mg) | ≥0.01 | 0.03(0.02~0.04) | 293%(160%~400%) |
ビタミンB12(μg) | ≥0.04 | 0.08(0.05~0.13) | 199%(125%~325%) |
ナイアシン (ニコチンアミド)(mg) | ≥0.11 | 0.17(0.13~0.24) | 158%(118%~218%) |
葉酸(μg) | ≥1 | 5.80(3.76~7.30) | 580%(376%~730%) |
パントテン酸(mg) | ≥0.07 | 0.13(0.10~0.16) | 186%(143%~229%) |
ビタミンC(mg) | ≥1.8 | 2.81(2.30~3.80) | 156%(128%~211%) |
ビオチン(μg) | ≥0.4 | 0.63(0.50~1.00) | 159%(125%~250%) |
2. ミネラル
ミネラルは、主要元素及び微量元素という2種類に分けられます。含有量が「>0.01%体重」のは主要元素と呼び、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、塩素、マグネシウム、硫黄という7種類があり、体重の「約4%〜5%」を占めます。含有量が「≤体重0.01%」のは微量元素と呼び、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレン、銅、マンガン、クロム、モリブデン、フッ素などがあります。
1~10歳に適用する特殊医学用途全栄養処方食品の栄養成分表に表記する「100kJあたり」のミネラル含有量を法規標準規定量に比べた結果、マンガンを除き、1~10歳に適用する特殊医学用途全栄養処方食品のミネラルのラベル表示値はほぼ「標準の下限よりわずかに高い〜中間値」の範囲内にあります。
ナトリウム、マグネシウム、マンガンを除き、ミネラルのラベル表示値は殆どが「GB 29922」下限値の「100%〜200%」、つまり、強化量が「1〜2倍」になります。認可した製品のナトリウムのラベル表示値は標準下限値の「180%〜300%」を占め、マグネシウムのラベル表示値は標準下限値の「186%〜321%」を占め、マンガンのラベル表示値は標準下限値の「2567%〜6633%」を占めます。
表2 ミネラルラベル表示値
栄養素 | GB 29922(/100kJ) 1~10歳 | ラベル表示値(/100kJ) | 比較結果 |
ナトリウム(mg) | 5~20 | 11.23(9.00~15.00) | 225%(180%~300%) |
カリウム(mg) | 18~69 | 28.36(24.00~33.00) | 158%(133%~183%) |
銅(μg) | 7~35 | 12.53(10.00~18.00) | 179%(143%~257%) |
マグネシウム(mg) | ≥1.4 | 3.49(2.60~4.50) | 249%(186%~321%) |
鉄(mg) | 0.25~0.50 | 0.33(0.31~0.36) | 133%(124%~144%) |
亜鉛(mg) | 0.1~0.4 | 0.19(0.10~0.27) | 191%(100%~270%) |
マンガン(μg) | 0.3~24.0 | 10.46(7.70~19.90) | 3487%(2567%~6633%) |
カルシウム(mg) | ≥17 | 25.34(19.00~31.30) | 149%(112%~184%) |
リン(mg) | 8.3~46.2 | 16.06(12.50~20.07) | 194%(151%~242%) |
ヨウ(μg) | ≥1.4 | 2.65(2.20~3.30) | 189%(157%~236%) |
塩(mg) | ≤52 | 19.47(10.00~25.50) | / |
セレン(μg) | 0.5~2.9 | 0.92(0.64~1.10) | 185%(128%~220%) |
3. 選択的な成分
選択的な栄養成分は、人体に必須の栄養素ではありませんが、幼児や児童の成長発育に有益であり、体に対しても健康利益を提供できます。「GB 29922」に基づき、特殊医学用途全栄養処方食品は、選択的な栄養成分中の一種または多種の選択的な栄養成分を選択的に添加できます。
表3の通りに、「GB 29922」で規定されている11種の選択的な栄養成分の中に、9種は既に認可製品に添加されます。例えば、クロム、モリブデン、コリン、イノシトール、タウリン、L-カルニチン、DHA(ドコサヘキサエン酸)、ARA(アラキドン酸)、膳食繊維。フッ素とヌクレオチドはまだどの製品にも添加されていません。
1~10歳に適用する特殊医学用途全栄養処方食品の中に、全ての製品にタウリンを添加し、そして、コリン、L-カルニチン、DHAの使用頻度も比較的に高いです。これらの成分について国内企業は既に法規制合致した原材料供給チェーンと成熟した検査技術を確立し、研究開発者に実際のサプライヤー選択肢を提供していることが見られます。
しかし、まだ広く添加されていない成分では、原材料由来の法規制適合性問題、国内検査方法の成熟度不足、製造工程の複雑さ、などの課題が存在するかもしれません。従いまして、これらの成分を添加することを検討する際に、更に慎重な評価と選択が必要です。このような評価は、原材料の入手可能性、コストと効果の分析、最終製品の安全性と機能性への影響、などを含むかもしれません。
表3 選択的な成分の使用
法規制に定める選択的な成分 | 添加比例 | 化合物由来 |
クロム | 3/9 | 塩化クロム |
モリブデン | 3/9 | モリブデン酸ナトリウム |
フッ素 | 0 | / |
コリン | 7/9 | 酒石酸水素コリン、塩化コリン |
イノシトール | 5/9 | イノシトール |
タウリン | 9/9 | タウリン |
L-カルニチン | 7/9 | L-カルニチン |
DHA(ドコサヘキサエン酸) | 7/9 | ドコサヘキサエン酸油脂 |
ARA(アラキドン酸) | 5/9 | アラキドン酸油脂 |
ヌクレオチド | 0 | / |
膳食繊維 | 6/9 | フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ガラクトマンナン |
これはCIRSが栄養成分の観点から1歳~10歳対象者に適用する全栄養処方食品の処方研究と設計分析です。特殊医学用途調整食品の登録について、詳しくはこちらにてご確認ください。
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