2021年3月18日、中国国家衛生健康委員会は総計50件の新版国家標準(GB)を公表しました。中に、「GB 10765 – 2021 食品安全国家標準 乳児調製食品」、「GB 10766 - 2021食品安全国家標準 後期乳児調製食品」、「GB 10767 – 2021 食品安全国家標準 幼児調製食品」などの乳幼児調製食品に関するシリーズ標準が含まれています。新版国家標準は過去と同様に、2年の猶予期間を与えます。その同時、新版国家標準が正式に施行される前に、各食品関連企業が新版国家標準の要求に従って執行することを許容し、励まします。新版国家標準が正式に施行された後、食品製造企業、食品経営企業、食品安全監督管理企業及び試験検測機構は新版国家標準に従って執行しなければなりません。新版国家標準が正式に施行される前に製造された相関食品製品は、賞味期限までに販売することができます。
今回、乳幼児調製食品相関シリーズ標準の修訂は、母乳にある各栄養素の含有量、乳児の需用量及び摂取量、栄養素摂取が不足或は過量である場合の危害などの研究結果、及びその他の相関資料に基づき、国際及び外国の相関法規標準が栄養素含有量に対する要求を参照し、中国乳幼児調製食品の現行国家標準が各栄養素含有量に対する要求の合理性を総合的に評価します。その後、評価結果を合わせて専門家論証を行った後、各栄養素含有量に対する要求を修訂し、新版国家標準として規定します。
今回の修訂について、主な変更点は以下の通りです。
- 国際現状を参照し、「GB 10767 - 2010 後期乳児及び幼児調製食品」を「GB 10766 - 2021食品安全国家標準 後期乳児調製食品」及び「GB 10767 – 2021 食品安全国家標準 幼児調製食品」という二つの国家標準に分けます。
- 製品の安全性を保証するために、全ての栄養素(L-カルニチンは除外となる)の添加量最大限を設定し、或は現行の制限値を調整します。
- 製品の有効性を保証するために、ほぼ全ての栄養素は添加量最小限を設定し、或は現行の制限値を調整します。
- 乳幼児の栄養需要に基づき、部分の選択的に添加可能な成分は添加しなければならない成分に調整されます。
製品の安全性及び各標準間の協調性を十分的に保証するために、汚染物、真菌毒素及び病原菌制限量指標などに対しては相応した基礎標準に直接に引用します。つまり、「GB 2762 - 2017 食品安全国家標準 食品中汚染物限量」、「GB 2761 - 2017 食品安全国家標準 食品中真菌毒素限量」、「GB 29921 - 2013 食品安全国家標準 食品中致病菌限量」に引用し、単独的に列記しません。中に、「GB 29921 - 2013 食品安全国家標準 食品中致病菌限量」は修訂中であり、新版規制が公表される前に、乳幼児調製食品シリーズ標準中の病原菌制限量は「GB 10765 – 2010 食品安全国家標準 乳児調製食品」及び「GB 10767 – 2010 食品安全国家標準 後期乳児及び幼児調製食品」の要求に合致しなければなりません。新版「GB 29921」が公表されたら、その要求に執行します。
新旧版規制に基づき、各栄養素指標の変更状況は以下となります。ここに、増大される指標数値は赤色で示し、減少される指標数値は緑色で示し、新しく追加される指標数値は黄色で示します。
エネルギー
エネルギー kcal/100mL | 乳児調製食品 | 後期乳児調製食品 | 幼児調製食品 | |||
旧版GB | 新版GB | 旧版GB | 新版GB | 旧版GB | 新版GB | |
60~70 | 60~70 | 60~85 | 60~75 | 60~85 | 60~80 |
数値から見ると、後期乳児調製食品、幼児調製食品が要求するエネルギーの上限値は減少されます。今回、後期乳児調製食品に対して独立の国家標準は規定されることに伴い、そのエネルギーの上限値も幼児調製食品と区別され、適用対象者の栄養需要に更に適合だと考えられます。
今回、エネルギー指標に対して要求を修訂する根拠は以下となります。
- FAO調査結果によりますと、エネルギーを過量摂取したら、肥満或はその他の慢性病になるリスクも増加します。
- EFSAの最新規定を参照します。
- 市場販売中の製品状況から見ると、ほぼ全ての後期乳児調製粉乳のエネルギー数値は63-70kcal/100Mlとなり、97%の幼児調製粉乳のエネルギー数値は60-80kcal/100mLとなります。
タンパク質
1. タンパク質含有量について
タンパク質 g/100kcal | 乳児調製食品 | 後期乳児調製食品 | 幼児調製食品 | |||
旧版GB | 新版GB | 旧版GB | 新版GB | 旧版GB | 新版GB | |
乳ベース | 1.88~2.93 | 1.8~3.0 | 2.9~5.0 | 1.8~3.5 | 2.9~5.0 | 1.8~4.0 |
豆ベース | 2.09~2.93 | 2.2~3.0 | - | 2.2~3.5 | - | - |
数値から見ると、乳ベースの後期乳児調製食品、幼児調製食品が要求するタンパク質の上限値と下限値は減少され、その調整も大幅です。それに対し、新版GBは豆ベースの後期乳児調製食品の上限値と下限値を新追加します。
今回、タンパク質指標に対して要求を修訂する根拠は以下となります。
- 母乳データ:中国母乳中の平均タンパク質濃度は大体1.72g/100kcalとなります。
- 乳児健康:乳児がタンパク質を過量摂取したら、特にその他の液体補充がなくて、或は腎外性水分喪失が厳重である場合、乳児体内の水分平衡は破壊されます。また、タンパク質の過量摂取はインスリンの高度分泌を起こし、児童時期にてのボディマス指数及び後日の肥満リスクを高めることも証明されました。
- CAC、EU、オーストラリア・ニュージーランドの相関標準を参照します。
2. タンパク質の品質要求について
後期乳児調製食品、幼児調製食品中乳清タンパクの占有率に対して要求を新追加します。乳ベースの後期乳児調製食品中の乳清タンパクは40%以上と規定されます。その修訂根拠は以下の通りです。
- 母乳中の乳清タンパクは45-55%となります。
- 市場販売中の製品の相関含有量は40-50%となります。
炭水化物
炭水化物 g/100kcal | 乳児調製食品 | 後期乳児調製食品 | 幼児調製食品 | |||
旧版GB | 新版GB | 旧版GB | 新版GB | 旧版GB | 新版GB | |
9.2~13.8 | 9.0~14.0 | - | 9.0~14.0 | - | 7.5~15.0 | |
乳糖/炭水化物 | ≥90% | ≥90% | - | ≥90% | - | ≥50% |
後期乳児調製食品、幼児調製食品に対して炭水化物及び乳糖の含有量に対して要求を新追加します。また、後期乳児調製食品の相関要求は乳児調製食品の相関要求と一致にさせます。乳糖含有量の要求を新追加する目的は製品品質を保証し、その他の糖類の摂取を減少することだと考えられます。その同時、現有の果糖以外、乳児調製食品と後期乳児調製食品の新版GBはショ糖の添加量も明確的に制限します。
ビタミン
項目 | 乳児調製食品 | 後期乳児調製食品 | 幼児調製食品 | |||
旧版GB | 新版GB | 旧版GB | 旧版GB | 新版GB | 旧版GB | |
ビタミンA µg RE/100kcal | 59~180 | 60~150 | 75~225 | 75~180 | 75~225 | 75~180 |
ビタミンD µg/100kcal | 1.05~2.51 | 2.0~5.0 | 1.05~3.14 | 2.0~5.0 | 1.05~3.14 | 2.0~5.0 |
ビタミンE mg α-TE/100kcal | 0.50~5.02 | 0.5~5.0 | 0.63~N.S. | 0.6~5.0 | 0.63~N.S. | 0.6~5.0 |
ビタミンK1 µg/100kcal | 4.2~27.2 | 4.0~27.0 | 4~N.S. | 4.0~27.0 | 4~N.S. | 4.0~27.0 |
ビタミンB1 µg/100kcal | 59~301 | 60~300 | 46~N.S. | 60~300 | 46~N.S. | 60~300 |
ビタミンB2 µg/100kcal | 80~498 | 80~500 | 46~N.S. | 80~500 | 46~N.S. | 80~650 |
ビタミンB6 µg/100kcal | 35.6~188.3 | 35~175 | 46~N.S. | 46~175 | 46~N.S. | 46~175 |
ビタミンB12 µg/100kcal | 0.105~1.506 | 0.10~1.50 | 0.17~N.S. | 0.17~1.50 | 0.17~N.S. | 0.17~2.00 |
ナイアシン (ニコチンアミド) µg/100kcal | 293~1506 | 400~1500 | 460~N.S. | 460~1500 | 460~N.S. | 460~1500 |
葉酸 µg/100kcal | 10.5~50.2 | 12~50 | 4~N.S. | 10~50 | 4~N.S. | 10~50 |
パントテン酸 µg/100kcal | 402~2000 | 400~2000 | 293~N.S. | 400~2000 | 293~N.S. | 400~2000 |
ビタミンC mg/100kcal | 10.5~71.1 | 10~70 | 7.5~N.S. | 10~70 | 7.5~N.S. | 10~70 |
ビオチン µg/100kcal | 1.5~10.0 | 1.5~10.0 | 1.7~N.S. | 1.7~10.0 | 1.7~N.S. | 1.7~10.0 |
コリン mg/100kcal | 7.1~50.2 | 20~100 | 7.1~50.2 | 20~100 | 7.1~50.2 | 20~100 |
ビタミンD及びコリンの指標要求が高められる以外、その他のビタミン指標の変化方向は、主に最小値の高め、最大値の下げ或は新追加だと見られます。つまり、現行GBに比べて、新版GBはよりに細則化、よりに正確化です。中に、
- 乳児調製食品のビタミン指標変化は主に最小値の高め、及び最大値の下げです。その修訂根拠は最新版のDRIsデータ及び母乳データです。
- 後期乳児調製食品、幼児調製食品のビタミン指標変化は主に最小値の高め、及び最大値の新追加です。その修訂根拠はDRIsデータ及び市場販売中の製品を合わせて参照した結果です。
- 乳児調製食品及び後期乳児調製食品中のコリンは添加しなければならない成分に調整され、幼児調製食品中のコリンは相変わらず選択的に添加可能な成分として規定されます。
ミネラル
項目 | 乳児調製食品 | 後期乳児調製食品 | 幼児調製食品 | |||
旧版GB | 新版GB | 旧版GB | 新版GB | 旧版GB | 新版GB | |
ナトリウム mg/100kcal | 21~59 | 30~59 | N.S.~84 | N.S.~84 | N.S.~84 | N.S.~84 |
カリウム mg/100kcal | 59~180 | 70~180 | 75~289 | 75~225 | 75~289 | 75~290 |
銅 µg/100kcal | 35.6~121.3 | 60~120 | 29~146 | 35~120 | 29~146 | 29~146 |
マグネシウム mg/100kcal | 5.0~15.1 | 5.0~15.0 | 5.9~N.S. | 5.0~15.0 | 5.9~N.S. | 6.0~18.0 |
鉄 mg/100kcal 乳ベース製品 豆ベース製品 | 0.42~1.51 |
0.42~1.50 0.63~1.50 | 1.05~2.09 |
1.0~2.0 1.5~2.0 | 1.05~2.09 | 1.0~2.5 |
亜鉛 mg/100kcal 乳ベース製品 豆ベース製品 | 0.50~1.51 |
0.50~1.50 0.75~1.50 | 0.4~1.3 |
0.50~1.50 0.75~1.50 | 0.4~1.3 | 0.40~1.30 |
マンガン µg/100kcal | 5.0~100.4 | 3.0~100.0 | 1.05~100.4 | 1.0~100.0 | 1.05~100.4 | 1.0~100.0 |
カルシウム mg/100kcal | 50~146 | 50~146 | 71~N.S. | 71~180 | 71~N.S. | 71~210 |
リン mg/100kcal 乳ベース製品 豆ベース製品 | 25~100 |
25~100 30~100 | 34.7~N.S. |
35~110 42~110 | 34.7~N.S. | 35~110 |
カルシウム・リン積 | 1:1~2:1 | 1:1~2:1 | 1.2:1~2:1 | 1.2:1~2:1 | 1.2:1~2:1 | 1.2:1~2:1 |
ヨウ素 µg/100kcal | 10.5~58.6 | 15~59 | 5.9~N.S. | 15~59 | 5.9~N.S. | 6~59 |
塩素 mg/100kcal | 50~159 | 50~159 | N.S.~218 | N.S.~218 | N.S.~218 | NS~218 |
セレン µg/100kcal | 2.01~7.95 | 3.0~8.6 | 2.01~7.95 | 2.0~8.6 | 2.01~7.95 | 2.0~8.6 |
ミネラル指標の変化方向は統一的な規則がありません。最低値の高めもあり、下げもあります。最高値の高めもあり、下げもあり、新追加もあります。中に、重大的な変化は主に二つがあります。
- 乳児調製食品、後期乳児調製食品は豆ベース製品中の鉄、亜鉛、リンに対して要求を新追加し、しかも、乳ベース製品に比べてその最低値は高いです。その修訂原因は豆ベース製品中のイノシトール6リン酸が鉄、亜鉛、リンの体内利用率に影響があることです。ですので、乳児調製食品、後期乳児調製食品の新版GBは相関研究結果及びEUの標準を参照して、豆ベース製品中のこの3種類のミネラルの指標範囲を新追加します。
- 後期乳児調製食品中のマンガン及びセレンは添加しなければならない栄養素に調整(乳児調製食品では相変わらず添加しなければならない栄養素として規定され、幼児調製食品では相変わらず選択的に添加可能な成分として規定される)されます。その修訂根拠は最新の科学研究結果、及びCAC、EU、オーストラリア・ニュージーランド及びアメリカなど各国の相関標準、及び市場販売中の製品状況を参照することです。
選択的に添加可能な成分
項目 | 乳児調製食品 | 後期乳児調製食品 | 幼児調製食品 | |||
旧版GB | 新版GB | 旧版GB | 新版GB | 旧版GB | 新版GB | |
イノシトール mg/100kcal | 4.2~39.7 | 4~40 | 4.2~39.7 | 4~40 | 4.2~39.7 | 4~40 |
タウリン mg/100kcal | N.S.~13 | 3.5~16.7 | N.S.~13 | 3.5~16.7 | N.S.~13 | 3.5~16.7 |
L-カルニチン mg/100kcal | 1.3~N.S. | 1.3~N.S. | 1.3~N.S. | 1.3~N.S. | 1.3~N.S. | 1.3~N.S. |
DHA mg/100kcal | N.S.~0.5 %総脂肪酸 | 15~40 | N.S.~0.5 %総脂肪酸 | 15~40 | N.S.~0.5 %総脂肪酸 | N.S.~40 |
ARA mg/100kcal | N.S.~1 %総脂肪酸 | N.S.~80 | N.S.~1 %総脂肪酸 | N.S.~80 | N.S.~1 %総脂肪酸 | N.S.~80 |
新版GBはタウリン、DHA及びARAの上限値と下限値に対して調整します。しかも、DHA及びARAの単位も変わります。中に、2点を説明いたします。
- DHA及びARAの単位は変わりますが、数値から見ると新旧GBの要求変化は確認できます。旧版GBに基づき、DHAの上限値は「0.5%TFA(総脂肪酸)」となり、脂肪摂取量上限値の「6g/100kcal」を合わせて計算すれば、旧版GBのDHA摂取量上限値は「約30mg/100kcal」となることが確認できます。そして、新版GBは「40mg/100kcal」に調整し、三分の一ぐらいを高めます。同じな方法で計算すれば、ARAは「約60mg/100kcal」から「80mg/100kcal」に調整され、同じく三分の一ぐらいを高められます。
- ARAの下限値は相変わらず「N.S.(特別に説明無し)」として規定されますが、乳児調製食品及び後期乳児調製食品の新版GBは、何れも「DHAを添加する場合は等量以上のARAを添加しなければならない」との要求を明確的に規定します。ですので、具体的な要求を設定することは不必要だと考えております。
まとめ
上述した分析から見ると、新版GBの修訂は国際と外国の標準、及び科学研究結果を参考した以外、市場販売中の製品の相関状況も十分的に考慮しました。つまり、新版GBの要求に合致するために市場販売中の製品の調整難度は一定的に減少されます。
2017年、総計952件の乳幼児調製粉ミルクは製品配合登録認可を取得し、今までの登録認可取得総件数の70%以上を占めます。2023年に、今回の新版GBは正式施行され、その時にこれらの乳幼児調製粉ミルクはちょうど許認可有効期限の延長を申請しなければなりません。新版GBの要求を合致するために製品配合処方の調整が必要な製造企業は、許認可有効期限の延長を申請する同時に製品配合及びラベルに対して製品変更申請を提出することが可能かどうか、また、2023年にまだ許認可有効期限の延長を申請する必要がない企業は、製品変更申請の方式で製品配合処方を調整して新版GBに合致させることが可能かどうか、それとも、製品配合登録を再び申請すべきか、これらのポイントについてはまだ中国当局の公的解読を待つ必要だと考えられます。
ただし、新版GBが施行されたら、全ての製品は新版GBの要求に合致しなければならないことは明確的です。相関企業は新版GBの要求に基づいて製品の研究開発を開始すべきだと考えております。