最近、インドの非金融規制改革に関するハイレベル委員会は、現行の品質管理命令(Quality Control Orders:QCO)の枠組みについて、全面的な改革を行うべきであるとの提言を公表しました。根統計によると、QCOの対象製品数は、2016年の70品目未満から、2025年には約790品目へと急増しています。その結果、コンプライアンス負担の増大、サプライチェーンの混乱、コスト上昇といった問題が顕在化しており、とりわけ中小零細企業や輸入原材料に依存する産業への影響が大きいとされています。このため同委員会は、公共安全分野を重点対象としつつ、原材料および中間製品に対する不必要な規制を緩和することを柱とした、全国的な制度改革を提案しています。
主な提言内容:
合成繊維および糸
- PTA(高純度テレフタル酸)、MEG(エチレングリコール)、PSF(ポリエステル短繊維)、VSF(ビスコース短繊維)、FDY(完全延伸糸)、POY(部分配向糸)、IDY(工業用ポリエステル糸)、PSY(ポリエステル紡績糸)に対する品質管理命令を撤廃することを提言しています。これらは上流原材料に該当し、安全リスクが比較的低い一方、強制的な BIS 認証はコスト増加や輸出競争力の低下を招いているとされています。
プラスチックおよびポリマー
- PE(低密度・線形低密度・高密度ポリエチレンを含む)、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)、PU(ポリウレタン)、ポリカーボネートについて、強制的な BIS 認証を撤廃することを提言しています。現行のQCOは特殊グレード材料の供給を制限し、樹脂価格の上昇やサプライチェーン全体の効率低下を招いていると指摘されています。
基礎金属類
- 銅、アルミニウム、スズ、鉛、ニッケル粉末、および精製品・中間品などの上流金属原材料に対する品質管理命令の撤廃を提言しています。これらは工業用原材料であり、下流製品の規格により品質は十分に確保されているとされています。
鉄鋼
- 建築用鋼材および圧力容器用鋼材については、公共安全上重要であることから、品質管理命令を維持します。
- 一方、機械用鋼、合金鋼、自動車用鋼、電磁鋼板、線材、ワイヤーロープ、その他原材料・中間製品については、品質管理命令の一時停止を提言しています。なお、輸入依存度が高い品目については、関係省庁間の検討委員会による審査を受ける必要があります。
- 併せて、鉄鋼輸入監視システムの廃止および、QCO非対象鋼材に対する無異議証明書(NOC)の撤廃を提案し、輸入障壁の低減を図るとしています。
履物および電子部品
- 工業用銅線、はんだ線、テープなどの材料について、品質管理命令の撤廃を提言しています。これらは消費者向け最終製品ではなく、認証要件がサプライヤー選択の制約やコスト増加につながっているとされています。
今後制定・提案予定の品質管理命令
- 原材料、機械、資本財を対象とするものを含め、新たな品質管理命令の制定を延期することを提言しています。
- 新規QCO案については、省庁間委員会によるリスク評価の実施を必須とすることが求められています。
改革の影響
- 規制負担の軽減: 要なQCO要件の撤廃により、特に中小零細企業のコンプライアンス手続きが簡素化されます。
- サプライチェーン効率の向上: 重要原材料への柔軟なアクセスが可能となり、特定供給元への依存が低減されます。
- 国際競争力の強化: コスト削減と輸入障壁の緩和により、インド製造業の価格競争力が向上します。
- リスクベース型規制への転換: 数量重視型から、品質・安全重視型のスマートな規制へと移行し、高リスクな公共安全分野へ資源を集中させることが可能となります。
なお、品質管理命令が撤廃されない化学品については、命令発効後も、製造業者は引き続き インド標準局(BIS) に対してライセンス申請を行い、製品に標準マークを表示する必要があります。これらの品質管理命令は、輸出専用品の化学品には適用されません。関連するすべての製造業者は新規定を遵守する必要があり、違反があった場合には、「2016年インド標準局法(BIS Act)」に基づき法的制裁を受ける可能性があります。
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- ISI証書の申請・更新サービス
- CRS登録に関するコンサルティングおよび研修
- CRS登録申請・更新
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