2022年12号令に基づく中国新規化学物質登記申請の承認状況のまとめ
Source: CIRS

2021年1月1日から、生態環境部による新たに改正された「新化学物質環境管理登記弁法」(生態環境部令第12号、以下、「12号令」)が施行されてから、約2年が経ちました。12号令では、まず申請種類の調整と申告データ要件が最適化され、企業の負担を軽減するようになりました。同時に、環境リスクの予防と制御に重点を置き、環境リスクの高い新規化学物質の管理にも力を入れています。また、審査過程において、12号令は、登記基準の精緻化、承認要件の改善、登記証の承認・不承認の具体的基準の明確化を定めました。その他の不承認の場合について、登録の再申請、変更、撤回、取り消しについても規定しました。

12号令が施行されてからの過去2年間、生態環境部は企業が提出した登録申請資料の審査を行い、関連要件を満たしていれば、登記証の申請を承認して公示します。 2022年12月12日までに、生態環境部のウェブサイトで、通常登記、簡易登記、備案などの申請種類について、数十バッチが承認公示されています。

承認された登記の公表情報をまとめて分析してみると、申請企業の種類、物質の種類、申請活動の種類、管理要求、標識の機密保持の要求などを把握でき、中国における新規化学物質登記の申請と承認の予備知識として役立てることが可能です。

(一)常規登記の承認状況

2022年12月12日までに、生態環境部は12号令に基づき、5バッチで合計16件の新規化学物質の常規登記申請を承認して公告しています。そのうち、新規用途環境管理が実施されたのは3件のみで、しかもこの3件が最初の2バッチで承認されており、次の3バッチで承認された13物質は新規用途環境管理を実施しておらず、いずれも通称「低危険物質」と呼ばれる物質であります。化学物質の標識情報の保護申請は3件のみで、残りの13件は化学物質名で直接公開されました。登記の種類は主に一般登記で、つまり、1社で1種の物質を申請します。物質の種類は有機物が中心で、その他に無機物やポリマーがあります。活動種類では、生産種類の割合が輸入種類よりも若干高くなっています。登録申請者の大半は中国国内の企業で、全体の81%を占めています。登記申請企業の主な事業を分析すると、化学・製薬企業が多いです。

(二)簡易登記の承認状況

2022年12月12日までに、生態環境部は12号令に基づき、30バッチで合計236件の新規化学物質の簡易登記申請を承認しており、そのうち2021年には11バッチで合計50件、2022年には19バッチで合計186件が承認されています。簡易登記が承認された新規化学物質のうち、標識情報を秘密にするのは14%だけ、そのほとんどが化学物質名で直接公表されています。大半のは一般登記に属します。物質の種類について、有機物が95%を占めています。活動種類は、輸入活動よりも生産活動が多いです。また、登記申請企業も中国企業が圧倒的に多いです。登記申請企業の主な事業を分析すると、やはり化学・製薬企業が中心となっています。

(三)備案の承認状況

12号令に基づき、生態環境部は新規化学物質の環境管理に関する備案状況を6ヶ月ごとに公表しています。これまで、生態環境部は3バッチの備案申請状況を公表し、合計9,414件の申請を承認しており、承認された化学物質は30,000種を超えると予想されています。

ポイント:

  1. 12号令により、新規物質登記管理は「新汚染物質対策行動」の重要なツールとなっていました。常規登記の承認件数やその中の新規用途管理化学物質の割合から見れば、特に常規登記の中に、PB、PT、BT及び高危険化学物質に該当するものは承認が非常に難しいので、申請者が新規化学物質の登記方案を作成したときに、物質の危険性やPBTなどの特性に対しての事前評価が重点になっています。
  2. 新規化学物質の標識に関する情報の秘密保持の承認は、7号令と比較して大幅に難しくなり、12号令では常規登記・簡易登録ともに秘密保持が承認された申請件数は全体の15%未満となっています。登記申請者が継続的に厳格な物質標識情報の秘密保持措置を講じたり、化学物質の特定情報を公的ルートで他者が入手できないことにしたりしなければ、標識情報の秘匿に関する承認を得ることは困難であります。
  3. 常規登記及び簡易登記が承認された化学物質におけて、その大半は依然として新規化学物質や医薬中間体などの革新的な有機化合物です。