2018年国家市場監督管理総局食品安全監督抜取検査状況の分析及びまとめ
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2018年の行政改革に伴い国家市場監督管理総局(以下は「市場監督管理総局」と略称する)が新設され、中国は、過去1年間、食品安全保障の厳格化と食品抜取検査の強化を図った。2018年全年、市場監督管理総局は全国で食品(健康食品と食品添加物を含む)を総計3,355,882ロットに対して抜取検査を行い、2017年全年(総計2,364,080ロット)に比べて約42%(991,802ロット)増加した。抜取検査の合格率から見ると、2018年の総体合格率は97.58%であり、2017年(97.71%)に比べて0.13%下げた。

1. 不合格の要因及び原因分析

2018年食品抜取検査不合格の主な原因は、食品添加物使用範囲・用量超過、微生物汚染及び農薬・獣薬残留量が基準値を超えている。3つの主要な原因で抜取検査不合格になった製品の総数は不合格総数の8割に近い。品質指標の不合格、重金属等の元素汚染、非食用物質検出及び生物毒素汚染などの二次的な問題で抜取検査不合格になった製品の総数は不合格総数の20%以上を占めている。具体的な状況は以下の通りである。

(中に、市場監督管理総局は第2四半期の各二次的な原因の割合を示していないので、相応した図表は3つの主要な原因の関連データだけを示す)

食品,抜取検査


上述した図表から見ると、食品添加物使用範囲・用量超過、微生物汚染及び農薬・獣薬残留量基準超過は2018年食品抜取検査不合格の主要な原因であり、合わせると総数の75%以上を占めている。中に、不合格理由で最も多いのは、食品添加物の不正使用で、次いては微生物汚染である。

第4四半期の場合には、農薬・獣薬残留量基準超過は微生物汚染を超えて抜取検査不合格の第2要因となっている。なお、抜取検査不合格な理由を分析すると、以下の可能性が考えられる。


1)食品添加物の使用

賞味期限の大幅な延長を行うために防腐剤、安定剤の不正使用、口当たりをよくするために香料の不正使用、製品外観を美化するために着色剤の不正使用、又は食品安全標準に対して不十分・不適当な理解、企業製造工芸の低下など。

2)微生物汚染問題

製品の製造、包装、保存、運送及び販売などの流通過程中の衛生環境条件のコントロールが厳しくないので、微生物が繁殖し、食品汚染を引き起こす。不衛生な食品製造・加工条件、不十分な設備や人員の消毒管理、完全密封しない製品包装、各流通過程で基準を満たさない保存条件などの典型的な問題点がある。

3)農薬・獣薬残留量基準超過

病気や害虫による作物の被害を防ぎ、或は生産量を高めるために農薬・獣薬を濫用する。或は農薬・獣薬の長期濫用の原因で環境を汚染し、残留物質が製品に混入する可能性もある。残りの約4分の1に当たるものを分析し、不可抗力以外、その根本的な原因として、次の2つがあるようである。

▶ 企業が問題或は問題の厳重を十分に認識していないこと

▶ 問題或は問題の厳重を認識したが僥倖を望むこと、又は問題解決能力の不足

  • 食品品質安全問題を解決する鍵を言えば、製造企業は自ら各項の能力を高める以外、「人にとって食は毎日のことであり、食は安心が先である」という責任意識を持つことも非常に重要である。もちろん、食品監督管理部門は食品法規標準の制定者、実施者、監督者として、食品安全を保障するための働きも重要なことである

2. 抜取検査の合格率が平均合格率より低い食品種類

ここで抜取検査の合格率が平均合格率より低い食品種類を挙げる。

2018年第1四半期食品抜取検査の平均合格率は97.4%であり、この基準より低い食品種類は8種があり、それぞれの合格率は図2.1の通りである。


2018年第2四半期食品抜取検査の平均合格率は97.5%であり、この基準より低い食品種類は9種があり、それぞれの合格率は図2.2の通りである。


2018年第3四半期食品抜取検査の平均合格率は97.6%であり、この基準より低い食品種類は10種があり、それぞれの合格率は図2.3の通りである。

2018年第4四半期食品抜き取り検査の平均合格率は97.6%であり、この基準より低い食品種類は10種があり、それぞれの合格率は図2.4の通りである。

図表から見ると、よく食品安全問題を引き起こすのは野菜製品であり、第1、第2、第4四半期で合格率が最も低い食品種類である。次いて、インスタント食品、飲食製品、酒類製品、フルーツ製品、澱粉及び澱粉製品を含む5種類の製品も各四半期の抜取検査で平均合格率より顕著に低い。

3. 特殊食品(乳幼児用調整食品、健康食品、特殊医学用途調整食品)の抜取検査状況

特殊食品の法律地位は「中華人民共和国食品安全法」(2015年版)で歴史的に明確された。特殊対象者向けの食品として、特殊食品に対する国家の要求もより詳しく、全面的になり、それに対する国家の監督管理もますます厳しくなっている。ここで2018年特殊食品の抜取検査状況を説明し、簡単的にまとめて分析する。具体的な状況は以下の通りである。

全体として見ると、乳幼児用調整食品、健康食品、特殊医学用途調整食品という3種類の特殊食品の抜取検査合格率は全体平均合格率より高い。中に、健康食品は監督管理不足、管理混乱を原因として、市場混乱、製品混雑、投機取引、詐欺などの不良現象が顕著になってきて、2018年抜取検査の合格率は3種類の特殊食品抜取検査の合格率で最も低い(4つの四半期の平均合格率は98.3%)。乳幼児用調整食品の品質コントロールの厳格化、監督管理システムの完善、2018年抜取検査の合格率は3種類の特殊食品抜取検査の平均合格率でトップ(合格率99.8%)になる。特殊医学用途調整食品は「若い特殊食品」として、厳しい監督管理、業界参入の高い要求、完善な監督管理システムなどの原因で、合格率は高くなっている。第1四半期は98.7%であり、第4四半期は100%に達する。特殊食品各四半期の抜取検査の具体的な合格率は下図の通りである。


図3.1から見ると、乳幼児用調整食品抜取検査の合格率は高く、且つ安定している。特殊医学用途調整食品は安定しながらよくなる動向を示している。健康食品各四半期の抜取検査合格率は同期の平均合格率より高いが、不安定の動向も現れている。その市場秩序の維持、製品品質の向上及び監督管理の強化を図る必要があると考えられる。

上述の通り、国家市場監督管理総局2018年全国食品抜取検査から発見された問題と合格状況に対する。概していえば、中国国内の食品安全現状は安定した状況で好転している。一方、解決しなければならない問題もある。

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