2025年7月16日、欧州連合(EU)は世界貿易機関(WTO)にG/TBT/N/EU/1148号通報を提出し、CLP規則、化粧品規則、肥料規則における関連要件および手続きを最適化し、法令執行の効率を高めることを目的とした提案を行いました。以下は、「化粧品規則(EC)No.1223/2009」の改正要点の整理です。
EU「化粧品規則(EC)第1223/2009号」の主な改正内容
1. 着色剤、防腐剤、紫外線吸収剤を附属書IV・V・VIに収載するための手続き整備
企業は、科学的根拠および関連支持文書を添えて欧州委員会に申請を提出できます。委員会は申請受理後、EU消費者安全科学委員会(SCCS)に対し、当該物質の化粧品における安全性に関する意見を求めます。SCCSは12ヶ月以内に評価を完了し意見を提出しなければなりません。追加資料が必要な場合、委員会は評価期間を延長することができます。
2. 発がん性・変異原性・生殖毒性(CMR)物質の管理・免除手続きの最適化
(1)企業は関連物質が正式にCMR物質に分類されてから3ヶ月以内に欧州委員会に免除申請を提出しなければなりません。委員会は以下の全ての条件が満たされた場合に限り、当該申請を承認します。
- 代替案分析により実行可能な代替物質が存在しないこと;
- SCCSが特定の化粧品カテゴリーにおける当該物質の使用評価を完了し、製品接触経路、他の経路からの総合的曝露量、感受性の高い集団などの要因総合的に考慮した上で安全と判断していること。
(2)経口または吸入経路を根拠としてCMR物質に分類される場合、当該物質の使用は直接禁止されません。ただし、同物質が製品中での偶発的な摂取や吸入によって健康リスクが生じる恐れがある場合、欧州委員会はSCCSに対し関連製品タイプにおける使用の安全性評価を委託します。
(3)植物または植物部分由来で化学的改質を受けていないCMR成分は禁止対象外。ただし、当該抽出物が化粧品中での使用は健康に対する潜在的なリスクをもたらす可能性がある場合、委員会はSCCSに安全性評価を求めることができます。
(4)化粧品中に1A、1Bまたは2類に分類されたCMR物質が含まれており、かつ当該物質の使用が禁止または制限されている場合、関連附属書改正の発効日から、企業は12ヶ月間引き続き市場に投入することができ、当該製品を市場で最大24ヶ月間販売することができます。
3. 命名基準の統一(国際的に承認された命名との整合)
成分名称用語集のデジタル化により、化粧品成分命名基準のさらなる統一とコンプライアンスリスクの低減に寄与します。
4. 届出プロセスの簡素化
ナノ材料を含む化粧品に対する追加の「事前届出」義務を撤廃。
5. ICSMSシステムの導入による情報共有の迅速化
現行規則第22条に基づき、EU加盟国は定期的に市場監視活動の実施状況を審査・評価し、その結果を他の加盟国および欧州委員会に通知する義務を負います。今回、加盟国間でのより迅速かつ効率的な情報共有を目的として、「市場監視情報通信システム(ICSMS)」を導入しました。
詳細情報:
Https://docs.wto.org/dol2fe/Pages/SS/directdoc.aspx?filename=Q:/G/TBTN25/EU1148.pdf&Open=True
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