2025年10月15日、欧州委員会化学物質の登録・評価・認可および制限に関する規則（REACH規則）の枠組みに基づき、行政手数料を改定する「欧州委員会施行規則（EU）2025/2067」を正式に採択しました。今回の改定により、登録手数料は従来比で19.5％引き上げられますが、中小企業に対する手数料減免措置は現行のまま維持されます。本施行規則は2025年10月16日付で「欧州連合官報」（に公布されています。

立法の背景

2018年のREACH登録期限終了後、欧州化学品庁（ECHA）の登録関連収入は大きく減少し、科学的評価や技術的支援に関する業務負担が増加していました。欧州委員会による審査の結果、標準的な手数料水準はEU統計局（Eurostat）が公表した2021年、2022年および2023年の平均年間インフレ率を考慮して見直す必要があると判断され、その結果、累計19.5％のインフレ率が反映されることとなりました。また、2025年7月25日には欧州委員会がバイオサイド製品の承認に関する手数料の引き上げを正式に発表しており、その後、REACH規則に基づく行政手数料の改正案について投票が行われました。この改正案は2025年8月30日に可決され、今回の施行規則（EU）2025/2067として正式に採択されています。

主な内容

1.登録手数料の全般的な引き上げ

表1▼改定後の登録手数料（19.5％引き上げ）

表2▼中小企業の手数料減免（変更なし）

2.中小企業（SME）事前認定制度の導入

2018年の前回の登録期限以降、登録申請件数が減少傾向にあること、また中小企業資格の確認効率を向上させ、公平な競争環境を確保することを目的として、企業は申請書を提出する前に中小企業（SME）資格の事前認定を申請し、関連する証明書類を提出することが求められます。このため、ECHAは事前に中小企業（SME）の資格確認手続きを実施する必要があります。

中小企業資格認定の申請について、ECHAは関連書類をすべて受領した日から遅くとも2か月以内に審査を完了し、認定結果を通知しなければなりません。これに伴い、中小企業資格認定の申請は、手数料の減免を申請する書類の提出の少なくとも2か月前までに行う必要があります。これにより、ECHAが実際の登録手続に入る前に申請者の中小企業資格を適切に確認できるようになります。

· 事前申請制：企業は、登録書類を提出する少なくとも2か月前に、ECHAに対してSME（中小企業）資格の認定を申請する必要があります。

· 3年間の有効期間：一度認定されると、SME資格は3年間、すべての欧州連合規則に基づく提出に有効となります。

· 行政手数料：ECHAはSME資格申請に対して行政手数料を徴収することがありますが、最終的にSMEとして認定された場合は、手数料は徴収されません。

· 移行期間：SME事前認定の制度は、REACH新規則施行後15か月（2027年2月5日）に正式に施行されます。この期間により、企業はSME事前認定手続きへの対応準備を十分に行うことができます。

施行規則（EU）2025/2067は、「欧州連合官報」に公布された日から20日目（2025年11月4日）に正式に発効します。なお、発効日前に提出された届出書類には適用されません。関係企業は、ご不明な点がある場合、どうぞお気軽にお問い合わせください。