2025年9月12日、中国国家衛生健康委員会(NHC)は新食品原料審査終止目録を更新し、新たに2件のD-プシコースが追加されました。そのうち、山東福洋生物科技股份有限公司(FUYANG BIO)のD-プシコースは、CIRSより代理申請されたものであり、当該物質に関する審査結論は以下の通りです。

この度、CIRSと企業は積極的に連携し、審査意見に基づき迅速に資料を整理しました。その結果、補足資料の提出から実質的同等の結論公表まで、わずか1か月余りしか要しませんでした。これにより、山東福洋の製品は2025年第4号公告に続き、審査終了リストに初めて掲載されたD-プシコースとなりました。
1、審査終了の解説
元の公告はD-プシコースの生産菌/酵素製剤情報を制限
2025年7月2日(2025年第4号公告)において、D-プシコースは初めて新食品原料として正式に承認され、二種の製造方法が公示されました。
方法一(微生物発酵法):ブドウ糖またはショ糖を原料とし、大腸菌AS10(Escherichia coli AS10)による発酵、精製、乾燥等の工程で製造します。公告の付録B表B.1に生産菌の情報が記載されています。
方法二(酵素転換法):果糖を原料とし、使用認可されたD-プシコース-3-エピメラーゼにより触媒転換し、脱色、分離、精製、結晶化などを経て製造します。公告の付録B表B.2に当該酵素の生産菌情報が記載されています。
同公告は付録Bにおいて、D-プシコースの生産に使用される生産菌及び酵素製剤の生産菌について制限を設けています。方法2(酵素転換法)を例にとると、公告は「使用認可されたD-プシコース-3-エピメラーゼ」を使用することが求められるのみならず、下表の通り、当該酵素製剤の生産菌の由来や供与株情報についても公告に準拠しなければなりません。つまり、D-プシコース生産企業は、承認済みの酵素製剤を使用し、かつその生産菌の由来及び供与株が公告の記載と一致している場合に限り、直接生産が認められます。それ以外の場合は、D-プシコースを製造する際、改めて新食品原料としての申請が必要となります。

福洋生物の実質的同等結論の取得について
福洋生物のD-プシコースは、2025年第4号公告の方法二製品と同様に酵素転換法によるものでありますが、使用したD-プシコース-3-エピメラーゼの種類は異なります。酵素転換法によるD-プシコース生産のコアとなるこの酵素は、現在中国において、由来や供与株が異なる3種類の酵素製剤の使用が承認されています。福洋生物はこのうち、2024年第5号公告で使用が承認された酵素製剤を採用しました。
酵素 | 由来 | 供与株 | 公告 | 備考 |
D-プシコース-3-エピメラーゼ D-psicose-3-epimerase | Bacillus subtilis | Ruminococcus sp. CAG55 | 2023年第3号 (2023年5月6日) | 公告方法二製品に対応 |
Bacillus subtilis | Clostridium scindens ATCC35704 | 2024年第2号 (2024年3月13日) | / | |
Bacillus subtilis | Ruminococcus sp. 5_1_39B_FAA | 2024年第5号 (2024年10月10日) | 今回の福洋生物製品に対応 |
D-プシコースは有望な代替甘味料として、現在中国では主要な参入企業が20社を超えています。今回、福洋生物製品が「実質同等」と認められ、審査終了リストに列入されたことを受け、他のD-プシコース生産企業は以下の点に留意する必要があります:使用する酵素製剤の生産菌由来および供与株が既に承認済みのD-プシコース用酵素製剤と一致する場合には、新食品原料として重複申請する必要はなく、直接食品生産許可証を申請できます。つまり、現時点では、上記の表に記載された2023年第3号公告および2024年第5号公告で承認されたD-プシコース-3-エピメラーゼを用いて生産されたD-プシコースについては、新食品原料の追加申請は不要です。一方、2024年第2号公告で承認された酵素製剤を用いたD-プシコースについては、対応する承認公告が存在しないため、新食品原料申請が依然として必要となります。
2.福洋生物について
山東福洋生物科技株式会社は、現在、国家級ハイテク企業、製造業単一製品チャンピオン模範企業、グリーン工場、農業産業化国家重点龍頭企業として認定されています。同社はトウモロコシ加工産業を基盤とし、生物技術の方向性に沿って発展を続けています。年間加工能力はトウモロコシ200萬トンに達し、製品は健康食品、機能性糖類、有機酸、新素材、医薬中間体、動物栄養など多岐にわたります。主な製品には、グルコン酸ナトリウム、グルコノラクトン、トレハロース、エリスリトール、コーンスターチ、加工デンプン、タンパク飼料などがあります。その中で、グルコン酸ナトリウムは「世界一」と言われる製品であり、加工デンプン事業は高付加価値なカスタマイズサービスを強みとします。また、コーンスターチ事業は高度なスマート化により、伝統産業に新たな原動力を創出しております。
同社は常に「製品+ソリューション+アプリケーションサービス+価値創造」というマーケティング戦略を実践し、世界市場に対して高品質な製品、最適なソリューション、より良いサービス、そしてより大きな価値を提供することに注力しております。食品製造業の標準化モデル企業の構築を推進し、これまでにISO9001、ISO14001、ISO22000、HACCP、KOSHER、HALALなどの国際管理システム認証および中国税関AEOハイレベル認証を取得しました。また、全国初のコーンスターチ先物引渡倉庫として指定されいます。「福洋」ブランドは、20カ国以上においてマドリッド商標登録を通過し、「好品山東」「名牌製品」など多くのブランド栄誉を獲得しています。さらに、青島、上海、重慶、広州、徳州および海外各国にマーケティングサービス機構を設置し、現在では国内大部分の省市と50カ国・地域以上をカバーし、世界トップ500の企業を含む国内外の著名顧客と良好な戦略的協力関係を築いています。
同社は一貫して「科学技術人材の支え、研究開発イノベーションによる駆動」という戦略を堅持し、福洋研究開発イノベーションセンター、福洋研究院および上海新製品応用研究開発センターという三つの事業創出プラットフォームを構築しました。これまでに国家企業技術センター、博士研究ワークステーションなど8つの省級以上の事業創出プラットフォーム認定を取得しています。多数の有名な研究機関と産学研連携協力関係を築き、近年は国の「863計画」や重点研究開発計画など多数の課題を担当し、変性デンプン、生物有機酸、糖アルコールシリーズ製品など20余種類を開発し、山東省技術発明一等賞をはじめとする省市レベルの科学技術大賞を受賞しています。
近年、同社は中国デンプン工業協会の常務理事、中国生物発酵産業協会の理事単位に任命、コーンスターチ及びグルコン酸など多分野における国家標準の策定にも参画しています。
2019年には、同社は出資により「平原県福洋教育発展基金会」を設立し、県全体の教育事業の発展に貢献しています。将来、イノベーション科学技術パーク、大学科学技術都市、総合交流センターを一体化したハイテク産業パークを建設し、地域経済の発展に新たな貢献を行う方針です。
