2023年1月19日、中国国家食品安全食品リスク評価センター(CFSA)は新版「GB 14880 食品安全国家標準 食品栄養強化剤使用標準(草案)」を公布し、社会意見募集を開始しました。CIRSは今回の修訂版草案の主要内容をまとめ、現行の「GB 14880-2012 食品安全国家標準 食品栄養強化剤使用標準」と内容を比較します。
1. 中国当局認可公告にての相関内容を追加
2012年から2022年まで中国国家衛生健康委員会(NHC、元NHFPC、元衛生部)が栄養強化剤に関する総計20回の認可公告の相関内容を追加します。
2. 正文内容を修訂
- 「大衆食物強化」と「自主性食物強化」を明確し、相応する定義を追加:大衆食物強化⇒公衆が広く消費する特定食品に、一種または多種の微量栄養素を添加する行為。一般的に、政府部門より組織、実行する;自主性食物強化⇒大衆食物強化以外の食品に、一種または多種の微量栄養素を自主添加する行為。一般的に、製造企業自らより決定する。
- 「特殊膳食用食品」の定義を削除。
- 栄養強化剤の使用要求、強化可能な食品類別の選択要求、栄養強化剤の使用規定を修訂。
3. 付録内容を修訂
3.1 付録A&付録B:大衆食物強化と自主性食物強化する時の栄養強化剤の使用規定
これは、今回修訂の最も顕著的な変化です。
a.現行バージョン付録A「栄養強化剤の使用規定」を、付録A「大衆食物強化する時栄養強化剤の使用規定」と付録B「自主性食物強化する時栄養強化剤の使用規定」に調整します。
付録Aにての大衆食物は以下の通りです。
食品分類番号 | 食品類別 |
01.01 01.02 | 低温殺菌乳、滅菌乳および調製乳 発酵乳および風味発酵乳 |
02.01.01.01 | 植物油 |
06.02.01 | 米 |
06.03.01 | 小麦粉 |
12.04 | 醤油 |
付表A.1と付表A.2は大衆食物強化食品類別中の「優先的強化」と「選択的強化」の栄養素類別および使用量をそれぞれに規定します。大衆食物の栄養強化は、一般的に、政府部門より組織、実行します。大衆食物強化の食品類別、使用許可の栄養素種類および使用量は付録Aの規定に合致します。大衆食物強化の場合、表A.1に列記する全ての栄養素を強化する必要で、これを基礎として、表A.2に従って選択的強化を行う可能です。
付表Bは自主性食物強化の食品類別、使用許可の栄養素種類および使用量を規定します。製造企業は自主性食物に栄養強化を行うかどうかを自ら決定できます。
b.付録Aと付録Bは展示形式を修訂し、更にはっきりさせます。
表A.1 栄養強化剤の使用許可品種、使用範囲a及び使用量
栄養強化剤 | 食品分類番号 | 食品類別(名称) | 使用量 |
ビタミン類 | |||
ビタミン A | 01.01.03 | 調製乳 | 600μg/kg~1000μg/kg |
01.03.02 | 調製粉乳(児童用粉乳及び妊産婦用粉乳は除く) | 3000μg/kg~9000μg/kg | |
調製粉乳(児童用粉乳に限る) | 1200μg/kg~7000μg/kg | ||
調製粉乳(妊産婦用粉乳に限る) | 2000μg/kg~10000μg/kg | ||
02.01.01.01 | 植物油 | 4000μg/kg~8000μg/kg | |
02.02.01.02 | マーガリン及びその類似製品 | 4000μg/kg~8000μg/kg | |
03.01 | アイスクリーム類 | 600μg/kg~1200μg/kg | |
04.04.01.07 | 大豆粉、豆乳粉 | 3000μg/kg~7000μg/kg | |
04.04.01.08 | 豆乳 | 600μg/kg~1400μg/kg | |
06.02.01 | 米 | 600μg/kg~1200μg/kg | |
06.03.01 | 小麦粉 | 600μg/kg~1200μg/kg | |
06.06 | オートミールを含むインスタントシリアル | 2000μg/kg~6000μg/kg | |
07.02.02 | 洋菓子 | 2330μg/kg~4000μg/kg | |
07.03 | ビスケット | 2330μg/kg~4000μg/kg | |
14.03.01 | 乳飲料 | 300μg/kg~1000μg/kg | |
14.06 | 固形飲料類 | 4000μg/kg~17000μg/kg | |
16.01 | ゼリー | 600μg/kg~1000μg/kg | |
16.06 | 膨化食品 | 600μg/kg~1500μg/kg | |
β-カロテン | 14.06 | 固形飲料類 | 3mg/kg~6mg/kg |
表1 「GB 14880-2012」の展示形式(縦)
表A.1 大衆食物強化食品類別中優先的強化の栄養素種類及び使用量
食品分類番号 | 食品類別 | ビタミンA (μg/kg) | ビタミンD (μg/kg) | ビタミンB1 (mg/kg) | ビタミンB2 (mg/kg) | 葉酸 (μg/kg) | 鉄 (mg/kg) | カルシウム (mg/kg) |
01.01 01.02 | 低温殺菌乳、滅菌乳および調製乳 発酵乳および風味発酵乳 | 600-1000 | 10-40 | ― | ― | ― | ― | ― |
02.01.01.01 | 植物油 | 4000-8000 | 50-100 | ― | ― | ― | ― | ― |
06.02.01 | 米 | ― | ― | 3-5 | 3-5 | 1000-3000 | ― | ― |
06.03.01 | 小麦粉 | ― | ― | 3-5 | 3-5 | 1000-3000 | ― | 1600-3200 |
12.04 | 醤油 | ― | ― | ― | ― | ― | 180-260 | ― |
表2 「GB 14880(草案)」の展示形式(横)
3.2 付録C&付録D:使用許可の栄養強化剤の化合物来源リスト、特殊膳食用食品に使用許可の栄養強化剤および化合物来源
- 「フマル酸第一鉄」、「炭酸亜鉛」、「骨粉(超細鮮骨粉)」、「γ-リノレン酸」を削除。
- 「異性化乳糖」を追加。
- 付録Dに「乳酸第一鉄」を追加。
- 付録Dの「エチレンジアミン四酢酸第二鉄ナトリウム」に備考追加:乳児調製食品および特殊医学用途乳児調製食品は除く。
- 「カゼインホスホペプチド」の中国語名称を訂正。
- 「フィトナジオン」の名称を「ビタミンK1(フィトナジオン)」に修訂。
- 「アスコルビン酸パルミチン酸エステル」の名称を「L-アスコルビン酸-6-パルミチン酸エステル(アスコルビン酸パルミチン酸エステル)」に統一。
- 「6S-5-メチルテトラヒドロ葉酸カルシウム」の名称を「(6S)-5-メチルテトラヒドロ葉酸カルシウム」に修訂。
- 「1,3-ジオレアート2-パルミトイルグリセロール」の名称を「1,3-ジオレアート-2-パルミトイルグリセロール」に修訂。
- 「アラキドン酸(AA又はARA)」の中国語名称を訂正。
- 「フラクトオリゴ糖(チコリー基原)」の名称を「フラクトオリゴ糖」に修訂。
3.3 付録E:食品類別(名称)説明
- 一部の食品類別を追加。例えば、クリームパウダー、調製クリームパウダー、他の糧食製品、など。
- 一部の食品類別を削除。例えば、ウォーターベース調味飲料類、非炭酸飲料、など。
- 一部の食品類別の名称を修訂。例えば、茶飲料類茶(類)飲料、コーヒー飲料類コーヒー(類)飲料、など。
- 一部の食品類別の大分類を修訂。例えば、「特殊医学用途乳幼児調製食品」を「乳幼児調製食品」類別から「特殊医学用途調整食品」類別に変更、など。
CIRSの考え
「GB 14880-2012」の施行は既に10年以前のことです。この10年間、中国当局は何度も公告を公布して数多くの食品栄養強化剤の使用規定を更新、完善します。今回の修訂は食品業界の規範化を推し進めると考えております。今回の草案に関する社会意見募集の締切日は2023年2月28日です。
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