「危険化学品安全法」草案が第二回審議へ、6つの修正で全段階における監督管理を強化
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2025年9月8日、「危険化学品安全法」草案の第2回審議稿が第14期全国人民代表大会、常務委員会第17回会議に提出され、審議入りしました。当該草案は2024年12月に常務委員会第13回会議で初回審議が行われており、今回では一般からの提案も踏まえて草案の修正が図られます。

提案とフィードバック

  • 一般からの潜在的危险報告の提案

  関係組織や個人が事故の潜在的要因を報告するよう奨励する内容の追加が提案されました。具体的には、いかなる組織や個人も、本法の規定に違反する行為または事故の潜在的要因を発見した場合、危険化学品安全監督管理の職責を負う関係部門に通報または報告する権利を有するという規定を整備することが提案されています。県級以上の人民政府及びその関係部門は、違法行為を通報し、又は重大な事故の潜在的要因を報告した者に対し、法に基づき表彰・奨励を行うとともに、通報者・報告者の情報について秘密保持義務を有します。

  • 監督・管理範囲の拡大

  化学品企業に加え、その他の企業や学校、研究機関、医療機関、検査機関なども危険化学品を使用する可能性があるため、これら関連機関による危険化学品の使用に対する監督・管理を強化することが提案されました。具体的には、人民政府及びその関係部門は、職務の分担に従い、上記の組織による危険化学品の使用に対する監督・管理を強化すべきという規定を追加することが提案されています。

  • 危険化学品輸送安全の強化

  道路輸送のリスクが高いことから、監督措置の充実が求められました。具体的には、危険化学品輸送車両は警示標識を遮蔽・撤去してはならず、国家標準・業界基準に適合する衛星位置監視装置を搭載し、常に良好な作動状態を保たなければならない。信号を遮断するなどしてその正常な作動に影響を与える行為を禁止する規定の追加が提案されています。

6つの主な修正方向

各方面からの意見を踏まえ、第2回審議稿では以下の主要な修正が行われる見込みです:

  • 国が危険化学品リスト管理制度を確立・健全化すること。
  • 危険化学品安全管理業務は国家安全の保障を徹底し、発展と安全のバランスをとって、根本から重大リスクを防范・防止すべきと規定。
  • 関係機関や個人が事故の潜在的要因を報告するよう、法に基づき表彰・奨励を行うこと。
  • 政府関係部門による所管業種・分野の関連機関における危険化学品使用の監督管理の強化。
  • 本法と危険物輸送関連規定の適用関係の明確化。
  • 危険化学品道路輸送の監督管理措置の充実と監督の強化。

草案修正の背景

中国は世界有数の危険化学品の生産、使用、輸入出、消費国であり、産業規模が巨大で分野も広範に及ぶ一方、安全生産の課題が深刻化しています。現行の法規では全段階にわたる安全管理のニーズに対応できず、専用立法による安全ガバナンス能力の向上が急務とされています。本草案は、中華人民共和国における危険化学品の登録・鑑定、計画・配置、生産・貯蔵安全、使用安全、経営安全、輸送安全、廃棄処置、事故の応急対策、法的責任について規定し、危険化学品のライフサイクル全体をカバーする安全監督体制の構築を目指しています。

草案の要点

  • 危険化学品関連業務従事者は教育・訓練を受け、試験合格後に従事
  • 危険化学品に対して電子ラベルおよびライフサイクル情報化管理の実施
  • 生産者・輸入者は化学品に適合するSDSおよびラベルを提供義務。違反時は処罰対象になる
  • 研究開発や試験生産における低量・低放出・低暴露の化学品などについては登録免除
  • 危険特性が未確認の化学品の無断取扱は禁止
  • 危険化学品企業は全員参加の安全責任制を導入し、リスク管理・未然防止を徹底。
  • 危険化学品を廃棄する企業・組織は、国家規定に従って廃棄物管理計画を策定し、管理台帳を整備

 詳細情報:

http://www.npc.gov.cn/npc/c2/c30834/202509/t20250910_447559.html

http://www.npc.gov.cn/npc/c2/c30834/202509/t20250908_447351.html