——新法の施行と地方当局による厳格な法執行が鳴らす、危険化学品コンプライアンスの警鐘
上海市応急管理局は、「治本攻堅(安全生産を根本的に維持対応するための3ヶ年行動計画)(2024〜2026年)」の推進および各種違反行為への取り締まり強化の一環として、2025年末に市内の危険化学品分野における典型的な法違反事例を公表しました。これらの違反行為は、危険化学品の安全生産、安全保管、危険化学品登録、安全な取扱いなど多くの分野に及んでいます。違法行為に対する罰金および没収金額は、最高で約18万元に達しました。
また、2025年12月27日には「中華人民共和国危険化学品安全法」(以下「危険化学品安全法」)が可決・公布されています。上海市の執行状況を踏まえると、国レベルの法規の方向性および地方監督の厳格化のいずれからも、危険化学品安全問題の重要性が改めて示されています。コンプライアンスの徹底が不可欠です
昨年末から現在にかけて、危険化学品登録などのコンプライアンス要件を完了していないとして、罰金を科される企業が相次いでいます。以下、公表された「十大典型事例」の中から、危険化学品登録に関連する2つの事例を挙げ、化学品コンプライアンスの問題について具体的に検討します。
【典型的な事例8】上海金山区:ある科学技術貿易企業による危険化学品の輸入未登録事案
事例概要:2025年1月14日、金山区応急管理局の行政執行担当者が計画に基づき同社に対して法執行検査を実施した際、輸入化学品「離型剤」を確認しました。当該製品のMSDSに基づき「危険化学品判定原則」に照らした結果、危険化学品登録が必要であると判断されましたが、同社は規定の登録手続きを行っていませんでした。この行為は「危険化学品安全管理条例」第67条第1項の規定に違反しており、「危険化学品安全管理条例」第78条第1項第12号および「上海市応急管理行政処罰裁量規則」に基づき、2025年3月4日、金山区応急管理局は同社に対して人民元1.5万元の罰金という行政処分を科しました。
【典型的な事例9】上海金山区:ある化学品工業企業による危険化学品の輸入未登録事案
事例概要:2025年8月8日、金山区応急管理局の行政執行担当者が計画に基づき同社に対して法執行検査を実施した際、同社が輸入した「ホウ酸」が確認されました。当該化学品のMSDSに基づくと、危険化学品判定原則に該当し、危険化学品として登録が必要な製品であると判定されましたが、同社は登録手続きを怠っていました。この行為は「危険化学品安全管理条例」第67条第1項の規定に違反しており、「危険化学品安全管理条例」第78条第1項第12号および「上海市応急管理行政処罰裁量規則」に基づき、2025年9月8日、金山区応急管理局は同社に対して人民元1.5万元の罰金という行政処分を科しました。
一部の企業では「危険化学品登録は生産企業のみが必要なもの」という誤解が見受けられますが、これは誤りです。「危険化学品安全法」第86条では、危険化学品の生産企業および輸入企業の両方が登録を行う義務があると明記されています。上記の事例に登場する企業はいずれも「離型剤」や「ホウ酸」の輸入企業であり、法的な登録対象に該当します。
また、中国における危険化学品の定義は「危険化学品目録」への掲載の有無だけでなく、「判定原則」も考慮されます。製品が該当する危険有害性分類(GHS分類)を持つ場合、危険化学品とみなされ、危険化学品登録を完了する必要があります。さらに、SDS(安全データシート)は極めて重要な文書です。法規に基づき厳格に作成されたSDSこそが、化学品の最も正確な安全情報を反映します。中国では、SDSの作成はGB/T 16483-2008「化学品安全技術説明書 内容および項目順序」およびGB/T 17519-2013「化学品安全技術説明書作成ガイドライン」に厳格に従う必要があります。法規制を遵守し登録を完了させる意義は、高額な罰金を回避することに留まらず、生産から使用に至る全過程において人の健康、生命、財産を守り、さらにグリーンで持続可能な生態環境を維持することにもあります。
2026年2月14日に上海市応急管理局が発表した「2025年度上海応急・10のキーワード」の多くは、危険化学品の安全に密接に関連しています。そのうち「治本攻堅(根本的な問題解決)」の項目では、「生産安全事故の調査および責任追及を厳格に実施する」と言及されており、安全問題に対する強い姿勢が示されています。
また、「特別対策」のセクションでは、重大危険源企業82社への特別指導検査や、4,000社以上の企業を対象とした危険化学品の入出庫管理および「一企業一製品一コード」の追跡コード管理プラットフォームの構築が紹介されています。このプラットフォームの運用には、法規制に準拠したSDSおよびラベル文書が不可欠です。危険化学品追跡コードの導入により、危険有害性情報のデジタル管理とサプライチェーン上での伝達がより迅速かつ円滑なものとなります。また、「地域連携」の取り組みでは、安全関連従事者に対する教育訓練および評価が強化されており、今後、危険化学品の生産、保管、経営など各段階における安全性向上のための技術的基盤が整備されています。
危険化学品のGHS分類の判定、およびSDS・ラベルの適切な作成は、安全管理業務の基盤です。化学品の安全に対する社会的関心が高まり、監督管理がますます強化される中、企業が自社の危険化学品コンプライアンス状況を自主的に確認し、速やかに危険化学品登録を完了することが極めて重要です。
2026年5月1日には「危険化学品安全法」が本格的に施行され、国家による監督管理はさらに厳格なステージへと移行します。関連企業は速やかに自主点検を実施し、コンプライアンス文書を適時更新するとともに、新法に従って分類、ラベル、包装、貯蔵などの要件を徹底する必要があります。
CIRSグループは、化学品コンプライアンスの専門家として、企業の製品コンプライアンス審査、法規制に準拠したSDSおよびラベルの作成、ならびに危険化学品登録の申請代行をサポートいたします。
参考資料:https://yjglj.sh.gov.cn/xwzx/tpxw/20251230/f4edb99dda754810bacab4d3af206007.html
https://yjglj.sh.gov.cn/xwzx/tpxw/20260224/0dbd8e14a6964e09b391b71e42cd74f3.html
