2022年1月末、欧州委員会は、レゾルシノールを高懸念物質(SVHC)リストに追加することに関する正式な投票を行い、最終的に、多数決の原則に従ってレゾルシノールをリストに追加することを決定しました。その追加理由は、内分泌かく乱物質であるレゾルシノールは、人間の健康に悪影響を与える可能性があることです。
早くも2020年2月に、フランスはレゾルシノールを高懸念物質(SVHC)として追加することを提案しましたが、その提案はECHAの加盟国専門家委員会(MSC)全会一致しませんでした。 同年7月、委員会(MSC)は、検討を行うために欧州委員会に提案を提出しました。
2021年6月、委員会はレゾルシノールを高懸念物質(SVHC)として収載追加の提案の執行決議を起草しましたが、該提案は業界といくつかの加盟国によって反対されました。 そのため、欧州委員会から2022年の決議に投票し、最終的に可決しました。
レゾルシノール(resorcinol)とは?
レゾルシノール(CAS 108-46-3)とは、1,3-ジヒドロキシベンゼンという有機化合物の一種、重要なファインケミカル原料であります。水素化、ハロゲン化、アミノ化、アシル化、カップリング、アルキル化、ニトロ化、スルホン化などの反応を起こしやすいレゾルシノールは、、農業、染料、塗料、医療品、プラスチック、ゴムなどの分野で広く利用されています。
レゾルシノールは、農薬や医薬の合成に広く利用されている基礎的な有機化学における反応中間体の一つであります。医薬分野では、殺菌効果があるため、腸の消毒剤や皮膚科の薬を作るために使用できます。農薬分野では、農業用フィルム、農薬、除草剤の制作に使用されます。染料分野では、蛍光染料、酸性エオシンの合成に使われでき、化粧用染毛剤としても一般的に使用されます。接着剤分野では、レゾルシノールを使ってレゾルシノール-ホルムアルデヒド樹脂と特殊な熱硬化性樹脂接着剤を製造します。
SVHC(高懸念物質)とは?
REACH規則におけるSVHC(高懸念物質)とは、付属書XIV(Candidate List:認可対象候補物質リスト)に掲載された化学物質のことを指します。日常の使用中に人の健康や環境に深刻な悪影響を与える可能性のある物質は、認可対象候補物質リスト(高懸念物質リストとも称する)に収載されます。候補リストに正式に収載された後、制限の実施日以降もその使用を継続する場合、欧州委員会からの認可の申請が必要です。
2022年1月17日、ECHA(欧州化学物質庁)は第26次SVHC物質を公表しました。4物質が追加されることにより、SVHCリストは合計223物質になりました。
SVHCリストに収載された後、物質への影響は?
- リストに含まれている物質がEUで禁止されているとはいえませんが、各業界での広範な使用が制限されます。EUに輸出される川下成形品にSVHC物質が含まれており、その含有量が0.1%を超える場合、届出義務があります:
- SVHCに該当する物質を0.1%以上含有する場合、そのサプライヤーは、安全性に関する情報を受取人に提供しなければなりません。
- 消費者の要求に応じて、物質名とその含有量を含め、日付から45日以内に無料で十分な情報を提供しなければなりません。
- SVHCに該当する物質を年間1tを超える場合は、輸入者と製造者も6か月以内に欧州化学品庁(ECHA)に通知しなければなりません。
- 2021年1月5日以降、SVHCに該当する物質を0.1%以上含有する場合、関連情報をECHAのSCIPデータベースに提出しなければなりません。
SVHCリストに収載される物質は、将来、認可対象物質リストに追加される可能性があり、その時点では、企業が引き続き物質使用できるために認可を申請してはなりません。
CIRSはSVHC関連情報に引き続き注意を払い、規制の解読、SCIP通知、REACHテスト、認可などのコンプライアンスサービスを企業に提供いたします。
参考文献:
https://ec.europa.eu/transparency/comitology-register/screen/documents/078725/1/consult?lang=en
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