DHAなどを含む6種の原料は保健食品原料目録に追加予定、輸入DHA製品は保健食品届出申請できる見込み
Source: CIRS

2021年12月20日、中国国家市場監督管理総局(SAMR)は「保健食品原料目録 栄養素補充剤(2022年版)」などを含む3つの保健食品届出に関わる社会意見募集稿を発行しました。現行目録に比べて、今回の社会意見募集稿は四つの重大変更があります。

1)「栄養素補充剤目録」は「DHA」を追加します。当物質の効能は「n-3多価不飽和脂肪酸補充」となり、栄養物質補充の範囲に属しますので、輸入DHA製品も保健食品届出申請できると考えております。

2)カルシウムの化合物源はカゼインホスホペプチド+カルシウム」という組み合わせを追加します。

3)葉酸の化合物源は「6S-5-メチルテトラヒドロ葉酸カルシウム」及び「(6S)-5-メチルテトラヒドロ葉酸,グルコサミン塩」を追加します。ただし、この二つの化合物源の適用対象者は大人と限定され、妊婦、乳母は不適用対象者となります。

4)大豆分離蛋白、乳清蛋白は届出申請可能な原料として追加する予定で、その保健機能は免疫力増強となります。コエンザイムQ10などの5種原料と同じ、この二つの原料を使用する保健食品の届出申請は国産製品だけに適用し、輸入製品は相変わらず登録申請必要だと考えております。

具体的な分析は以下の通りです。

1. 栄養素補充剤原料目録の変更

1)栄養素を1種追加:DHA

今回の社会意見募集稿に基づき、DHAは1種の栄養素として追加され、その適用対象者は大人となり、剤形は軟カプセルと限定されます。しかも、DHAを単一原料とする保健食品だけは届出申請可能で、他の原料と組み合わせて配合してはいけません

原料名称

栄養素

DHA

化合物名称

ドコサヘキサエン酸オイル

標準根拠

GB 26400 食品安全国家標準 食品添加剤 ドコサヘキサエン酸オイル(発酵法)」

しかも、EPA含有量(C20H30O2トリアシルグリセロールの量で計算)、w/%3.0

適用対象者

17歳以上の対象者

毎日摂取量

効能成分

DHAC20H30O2トリアシルグリセロールの量で計算、mg

適用対象者

大人

最低値

200

最高値

1000

効能

n-3多価不飽和脂肪酸補充

2)カルシウムと葉酸は化合物源を追加

現行原料目録に比べて、今回の社会意見募集稿はカルシウムと葉酸の化合物源を追加します。

特に、今回追加される2種の葉酸化合物源は、

1)届出申請する際の製品剤形は固体剤形に限定されます。

2)この2種の化合物源の適用対象者は大人に限定され、つまり、乳幼児、妊婦、乳母は不適用対象者となります

栄養素

追加の化合物源

標準根拠

適用対象者

カルシウム

カゼインホスホペプチド+カルシウム

カゼインホスホペプチド:「GB 31617 食品安全国家標準 食品栄養強化剤 カゼインホスホペプチド」

カルシウム:使用するカルシウムの標準に合致

使用するカルシウムの範囲に従って確定

カゼインホスホペプチドとカルシウムの比率は「1:51:20」となる

葉酸

6S-5-メチルテトラヒドロ葉酸カルシウム

衛生計生2017年 第13号公告

大人

6S-5-メチルテトラヒドロ葉酸,グルコサミン塩

衛生計生2017年 第8号公告

2. 機能性保健食品原料目録の変更

「コエンザイムQ10等5種の保健食品原料目録」に基づき、2021年6月1日以降、コエンザイムQ10、壊れた壁霊芝胞子粉末、スピルリナ、魚油、メラトニンを単一原料とする国産保健食品は届出申請可能です。ただし、輸入製品は相変わらず登録申請しなければなりません。

今回の「保健食品原料目録 蛋白質(意見募集稿)」は大豆分離蛋白、乳清蛋白を届出申請可能な原料として追加する予定です。コエンザイムQ10などの5種原料と同じ、この二つの原料を使用する保健食品の届出申請は国産製品だけに適用し、輸入製品は相変わらず登録申請必要だと考えております。

原料名称

毎日摂取量

保健機能

摂取量範囲

適用対象者

不適用対象者

注意事項

大豆分離蛋白

6-25g

蛋白質摂取不足で免疫力低下の大人

少年児童、妊婦、乳母

大人毎日の蛋白質推奨摂取量は60gとなり、各対象者の毎日摂取量に従って摂取量範囲内に適量食用可能です。蛋白質摂取不足が顕著的ではない対象者は食用を推奨しません。植物蛋白にアレルギー者は慎重的に食用(大豆分離蛋白を使用する製品は表記すべき)し、動物蛋白にアレルギー者は慎重的に食用(乳清蛋白を使用する製品は表記すべき)します。腎臓機能不全者は医師の指導で食用します。

免疫力増強

乳清蛋白

※注:大豆分離蛋白と乳清蛋白は単独的に原料として使用可能で、両者組み合わせて配合することも可能です

まとめ

今回、SAMRは「保健食品原料目録 栄養素補充剤 (2022年版)(意見募集稿)」、「保健食品表示可能な保健機能目録 栄養素補充剤 (2022年版)(意見募集稿)」、「保健食品原料目録 蛋白質 (意見募集稿)」という三つの社会意見募集稿を公布しました。意見募集締切日は2022年1月19日です。

現行目録に比べて、新版目録は届出申請可能な製品の範囲を更に拡大します。つまり、企業選択可能な原料は多くなり、許認可取得コストも節約できます。今回の社会意見募集稿に対して何か意見やアドバイスがある方は、CIRSに連絡して提出することもできます。