2020年10月31日、中国国家市場監督管理総局(SAMR)は「保健食品及びその原料の安全性毒理学試験と評価技術指導原則(2020年版)」(以下は、「毒理学試験指導原則」と略称する)を公表し、保健食品製品及び保健食品原料の安全性毒理学試験と評価を明確化しました。「毒理学試験指導原則」に基づき、相関試験は「GB 15193」の相関評価手順及び方法に基づいて行うべきです。企業が「毒理学試験指導原則」をしっかり把握することを目的として、この度、CIRSは受検物、試験項目、試験方法などの方面から、「毒理学試験指導原則」と「保健食品試験と評価技術規範(2003版)」(以下は、「2003版技術規範」と略称する)を比較して分析します。
背景紹介
「2003版技術規範」は2018年7月に廃止しました。同規範を試験根拠とする試験(検験)報告は保健食品登録の技術審査資料になってはいけません。
「2003版技術規範」の内容は、27種の保健食品の効能学評価手順及び試験方法規範、18項の保健食品の毒理学評価手順及び試験方法、27項の保健食品の効能成分及び衛生指標試験規範を含みます。
SAMRは2019年4月に「保健食品毒理学評価手順(意見募集稿)」を公表し、社会意見を募集しました。この度、SAMRは「毒理学試験指導原則」を正式に公表しました。内容から見ると、「毒理学試験指導原則」とこの前の意見募集稿は、大した変化はありません。
また、「保健食品理化及び衛生学指標試験と評価技術指導原則(2020年版)」も正式に公表しました。ただし、廃止された保健食品効能学評価方法について、相関公告はまだ公表されていません。
「毒理学試験指導原則」と「2003版技術規範」の比較
ここで、CIRSは以下の方面から、「毒理学試験指導原則」と「2003版技術規範」を比較して分析します。
1. 受検物
2003版技術規範 | 毒理学試験指導原則 |
受検物は保健食品製品とする | 受検物は保健食品製品或は保健食品原料とする |
注:安全性評価を行わなければならない保健食品原料に対し、「毒理学試験指導原則」は新食品原料安全性審査の相関規定を参照して行うことを要求します。この部分は、現行の「保健食品登録審査評価細則(2016年版)」と一致し、変りはありません。
2. 保健食品毒理学試験の主要項目
2003版技術規範 | 毒理学試験指導原則 |
一般的に、急性経口毒性試験、遺伝毒性試験、30日間飼養試験を行う | 一般的に、急性経口毒性試験、遺伝毒性3項目、28日間経口毒性試験を行う |
3. 保健食品毒理学試験の試験方法
一般的に、保健食品は主に急性経口毒性試験、遺伝毒性3項目及び28日間経口毒性試験を行い、試験内容の比較については以下の通りです。
NO. | 項目 | 2003版技術規範 | 毒理学試験指導原則 (GB 15193に基づき) |
1 | 急性経口毒性試験 | 一般的に、観察期間は7日間或は14日間とし、投与4日後、死亡例は認められた場合、14日間の観察が必要 観察期間は必要に応じて28日間までに延ばす | 一般的に、観察期間は14日間とし、必要に応じて28日間までに延ばす 特殊状況の場合には、少なくとも7日間の観察が必要 |
2 | 遺伝毒性3項目 | 遺伝試験の組合せを推奨していない | 遺伝毒性試験の組合せを2組推奨する |
3 | 28日間経口毒性試験或は30日間飼養試験 | 30日間飼養試験:試験項目が少ない | 28日間経口毒性試験:試験項目を増し、具体的な内容は以下の通り |
- 28日間経口毒性試験と30日間飼養試験の区別
項目 | 30日間飼養試験(2003版) | 28日間経口毒性試験 |
一般観察 | √ | √ |
眼部検査 | × | √ |
血液学検査 | 3項: ヘモグロビン、赤血球計数、白血球計数及び分類(受検物に基づき) | 7項:白血球計数及び分類(3分類以上)、赤血球計数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値、血小板計数、プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)など |
血液生化学検査 | 8項:アラニンアミノ基転移酵素(ALT或はSGPT)、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST或はSGOT)、尿素窒素(BUN)、クレアチニン(Cr)、血糖(Glu)、血清アルブミン(Alb)、総蛋白(TP)、総コレステロール(TCH) | 14項:アラニンアミノ基転移酵素(ATL)、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)、グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、アルカリホスファターゼ(AKP)、尿素(Urea)、クレアチニン(Cre)、血糖(Glu)、総蛋白(TP)、血清アルブミン(Alb)、総コレステロール(TC)、トリアシルグリセロール(TG)、Cl(塩素)指標、K(カリウム)指標、Na(ナトリウム)指標。 必要である場合、Ca(カルシウム)、P(リン)、尿酸(UA)、コリンエステラーゼ、ソルビトール脱水素酵素、総胆汁酸(TBA)、ヘモグロビン、ホルモンなどの検査を行う |
尿検査 | × | 尿蛋白、相対密度、pH、ブドウ糖及び潜血など |
病理検査 | 臓器重量:肝臓、腎臓、脾臓、睾丸の絶対重量及び相対重量(臓器の絶対重量と相対重量) 病理組織学的検査(6項):肝臓、腎臓、脾臓、胃腸、睾丸及び卵巣の病理組織学的検査 | 臓器重要:心臓、胸腺、アドレナリン、肝臓、腎臓、脾臓、睾丸の絶対重量 病理組織学的検査(16項):脳、甲状腺、胸腺、心臓、肝臓、脾臓、腎臓、アドレナリン、胃、十二指腸、結腸、膵臓、腸間膜リンパ節、卵巣、睾丸、膀胱 |
「√」:試験項目一致;「×」:試験必要無し。
4. 新規内容
受検物に対する要求について、「毒理学試験指導原則」は「2003版技術規範」或は「保健食品登録審査評価細則(2016年版)」と一致し、「毒理学試験及び効能学試験は衛生学試験用の3ロットの製品における同じロットの製品を使わなければならない(プロバイオティクス、乳製品などを含む試験周期より賞味期限が短い製品は除外)」を規定し、補充説明も記載します。
- 技術審査意見に基づいて再試験が求められる場合、原ロットの製品が賞味期限を超える場合は新ロットのサンプルで実験を行い、製品技術要求の要求に合致する新ロット製品の全項目検査報告を提供しなければならない。
CIRSの分析
「2003版技術規範」に比べて、「毒理学試験指導原則」最大の変化は、「2003版技術規範」は30日間の飼養試験を要求し、それに対して、「毒理学試験指導原則」は28日間の経口毒性試験を要求するため、その試験項目が多くなることだと思っております。以前、「2003版技術規範」に要求される30日飼養試験は「保健食品登録審査評価細則(2016年版)」に規定される28日間経口毒性試験と矛盾し、今回の「毒理学試験指導原則」は保健食品の現行法規と一致します。これ以外、「毒理学試験指導原則」は特に大きな変りがないと考えております。
「毒理学試験指導原則」の正式公表に伴い、保健食品効能評価試験もまもなく公表されるはずだと思っております。
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