2022年1月1日から2022年6月30日まで、中国国家衛生健康委員会(NHC)は「三新食品」の形式で2件の公告(2022年第1号、2022年第2号)を公布し、新食品原料、新規食品添加物、新規食品接触物質を含む総計68件の新規物質を認可しました。中に、新食品原料は5件があります。
また、中国国家衛生健康委員会(NHC)および中国国家食品安全リスク評価センター(CFSA)の公開情報によりますと、2022年上半期、中国NHCは総計8件の新食品原料登録申請を受理し、総計2件の新食品原料社会意見募集稿(パブリックコメント)をリリースし、審査終止の食品原料を1件追加しました。
CIRSは2022年上半期中国新食品原料の受理状況および審査認可状況を紹介します。
1. 2022年上半期に登録申請を受理した新食品原料(8件)
2022年上半期、中国NHCは輸入原料1件、国産原料7件を含む総計8件の新食品原料登録申請を受理しました。中に、「(3R,3’S)-ジヒドロキシ-β-カロテン」は既に3月31日に延期通知書を送達し、「瀘州古藺赶黄草」は既に審査終止リストに収載されました。他の原料の技術審査現状および結果はまだ公開していません。
NO. | 受理時間 | 受理番号 | 名称 |
1 | 2022.01.17 | 卫食新申字(2022)第0001号 | 瀘州古藺赶黄草 |
2 | 2022.03.17 | 卫食新申字(2022)第0002号 | (3R,3’S)-ジヒドロキシ-β-カロテン |
3 | 2022.03.29 | 卫食新进申字(2022)第0001号 | マキベリーエキス |
4 | 2022.04.24 | 卫食新申字(2022)第0003号 | 瓜蒌仁 |
5 | 2022.05.07 | 卫食新申字(2022)第0004号 | 桃膠 |
6 | 2022.05.23 | 卫食新申字(2022)第0005号 | 馬尾松松針 |
7 | 2022.06.06 | 卫食新申字(2022)第0006号 | 文冠果葉 |
8 | 2022.06.09 | 卫食新申字(2022)第0007号 | 赤糖フラクトオリゴ糖 |
2. 2022年上半期に社会意見募集稿(パブリックコメント)をリリースした新食品原料(2件)
2022年上半期、2件の新食品原料はCFSAの技術審査を通過し、社会意見募集を開始しました。詳細は以下の通りです。
(1) アラビノキシラン
名称 | アラビノキシラン |
英語名称 | Arabinoxylan |
基本情報 | 構造式(断片): CAS NO.:9040-27-1 |
製造工程 | サトウキビバガス、小麦麸皮、トウモロコシ皮などのグラミナス植物を原材料として、前処理、食用アルカリ抽出、脱アルカリ化、濃縮、中和、沈殿、洗浄、浄化、乾燥などの工程で製造される。 |
摂取推奨量 | ≤15g/日(「85g/100g」のアラビノキシラン含有量で計算し、この含有量に超える場合は実際含有量に従って換算する) |
説明 | 1. 乳幼児、妊婦、乳母は適用除外者となり、ラベル及び説明書に適用除外者を記載しなければならない。 2. 品質規格及び食品安全指標は付録を参考する。 |
社会意見募集期日 |
(2) ロイコノストック・シュードメセンテロイデス
名称 | ロイコノストック・シュードメセンテロイデス |
ラテン名称 | Leuconostoc pseudomesenteroides |
説明 | 1. 使用範囲:発酵乳、チーズ、発酵型含乳飲料、乳酸菌飲料。 2. 使用可能な菌種として認可し、乳幼児食品に使用不可。 3. 食品安全指標は中国相関標準に合致しなければならない。 |
受理期日 | 2021年4月19日に受理し、受理番号は「卫食新进申字(2021)第0002号」となる。 |
社会意見募集期日 |
3. 2022年上半期に正式認可された新食品原料(5件)
2022年上半期、正式認可された新食品原料は総計5件があります。詳細は以下の通りです。
(1)カンザン桜花
名称 | カンザン桜花 |
英語名称 | Kanzan flower |
基本情報 | 由来:タデ科、サクラ亜科、サクラ属、カンザン桜(Cerasus serrulate ‘Sekiyama’)の花 食用部位:花 採集時期は蕾3/4以上から満開まで。 |
説明 | 1. 乳幼児、妊婦及び乳母を適用除外者とし、ラベル及び説明書に適用除外者を記載しなければならない。 2. 食品安全指標は中国現行食品安全国家標準中の「他の野菜製品」の規定に基づいて執行する。 |
受理期日 | 2021年1月25日に受理し、受理番号は「卫食新申字(2021)第0001号」となる。 |
社会意見募集期日 | |
正式認可期日 | 2022年3月1日に正式に認可され、認可公告は「2022年第1号」となる。 |
(2)ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩
名称 | ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩 |
英語名称 | Pyrroloquinoline quinone disodium(PQQ)salt |
基本情報 | CAS NO.:122628-50-6 分子式:C14H4N2Na2O8 分子量:374.17 構造式: |
製造工程 | 6-アミノ-5-メトキシインドール-1H-2-カルボン酸エチルエステル、ジメチル2-オキソグルタレートを原材料として、カップリング反応、ピリジン環形成、酸化反応、エステルの加水分解及び精製などの工程で製造される。 |
摂取推奨量 | ≤20 mg/日 |
品質要求 | 性状:赤色茶褐色粉末 ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩含有量(ドライベースの量で計算)/(g/100g):≥98.0 水分/(g/100g):≤12.0 |
説明 | 1. 使用範囲及び最大使用量:飲料(40 mg/kg、固体飲料は溶けた後の液体重量で換算する) 2. 乳幼児、妊婦及び乳母は適用除外者となり、ラベル及び説明書に適用除外者を記載しなければならない。 3. ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩含有量の試験方法は公告付録Aに従って執行し、2種の不純物の試験方法は公告付録Bに従って執行する。 4. 食品安全指標は以下の要求に合致しなければならない。 鉛Pb/(mg/kg):≤0.5 ヒ素As/(mg/kg):≤1.0 カドミウムCd/(mg/kg):≤0.1 水銀Hg/(mg/kg):≤0.1 不純物A(3-クロロ-4,5-ジオキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピロール[2,3-f] キノリン-2,7,9-トリカルボン酸/(g/100g):≤0.8 不純物B(4-ニトロ-5-メトキシ-1H -ピロール[2,3-f] キノリン-2,7, 9-トリカルボン酸)/(g/100g):≤0.5 |
受理期日 | 2021年3月8日に受理し、受理番号は「卫食新申字(2021)第0004号」となる。 |
社会意見募集期日 | |
正式認可期日 | 2022年3月1日に正式に認可され、認可公告は「2022年第1号」となる。 |
(3)コナミドリムシ
名称 | コナミドリムシ |
英語名称 | Chlamydomonas reinhardtii |
基本情報 | 種属:クラミドモナス科、クラミドモナス属 |
製造工程 | 藻種培養、発酵缶で培養拡大、スプレードライなどの工程で製造される。 |
品質要求 | 性状:緑色粉末 蛋白質含有量:≥30.0% 粗多糖含有量:≥10.0% |
説明 | 1. 乳幼児食品に使用不可となる。 2. 食品安全指標は中国現行食品安全国家標準中の「藻類及びその製品」の規定に基づいて執行する。 |
受理期日 | 2021年9月13日に受理し、受理番号は「卫食新申字(2021)第0011号」となる。 |
社会意見募集期日 | |
正式認可期日 |
(4)ビフィドバクテリウムロンガム亜種ロンガムBB536
名称 | ビフィドバクテリウムロンガム亜種ロンガムBB536 |
英語名称 | Bifidobacterium longum subsp.longum BB536 |
説明 | 1. 乳幼児食品に使用可能な菌種として認可する。 2. 食品安全指標は中国相関標準の要求に合致しなければならない。 |
受理期日 | 2021年5月18日に受理し、受理番号は「卫食新进申字(2021)第0003号」となる。 |
社会意見募集期日 | |
正式認可期日 | 2022年5月11日に正式に認可され、認可公告は「2022年第2号」となる。 |
(5) サトウキビポリフェノール
名称 | サトウキビポリフェノール |
英語名称 | Sugarcane Polyphenols |
製造工程 | サトウキビを原材料として、圧搾、濾過、抽出、余分な糖分と塩分の除去などの工程でサトウキビ糖蜜を取得し、水、アルコールを抽出溶剤として、濾過、真空濃縮、イオン交換、スプレードライなどの工程でサトウキビポリフェノール粉末を製造する。 または、濾過、真空蒸留などの工程でサトウキビポリフェノール液体を製造する。 |
摂取推奨量 | ≤1g/日(粉末)、≤10g/日(液体) (総ポリフェノール含有量が「200 g/kg」である粉末の摂取推奨量は「1g/日」となり、総ポリフェノール含有量が「14.8 g/kg」である液体の摂取推奨量は「10g/日」となり、上述含有量に超える場合は実際含有量に基づいて換算) |
説明 | 1. 乳幼児、妊婦及び乳母は適用除外者となり、ラベル及び説明書に適用除外者を記載しなければならない。 2. 品質規格及び食品安全指標は付録を参考する。 |
受理期日 | 2021年5月18日に受理し、受理番号は「卫食新申字(2021)第0008号」となる。 |
社会意見募集期日 | |
正式認可期日 | 2022年5月11日に正式に認可され、認可公告は「2022年第2号」となる。 |
4. 2022年上半期に審査終止した食品原料(1件)
2022年上半期、審査終止目録に新規収載された原料は1件だけがあり、関連した審査終止意見は以下の通りです。元公告に比べて、今回の審査終止意見は当原料の使用範囲を「沖泡」から「飲料」製品に拡大します。現時点、審査終止目録に収載される原料は総計66件があります。
原料名称 | 瀘州古藺赶黄草(後に「赶黄草」に名変えされた) |
審査意見 | 国家衛生健康委員会2020年第4号公告に基づき、赶黄草は新食品原料として認可され、食用方式は「沖泡」となり、今回は飲料製品に拡大と申請する。提供の安全性評価資料に基づき、使用範囲を飲料に拡大と同意し、審査終止と提案する。赶黄草原料は、食用方式以外、他の指標は2020年第4号公告に従って執行する。 |
受理期日 | 2022年1月17日に受理し、受理番号は「卫食新申字(2022)第0001号」となる。 |
まとめ
中国食品健康業界の発展および国民食品消費観念の変更に伴い、現時点、食品原料の活性機能と応用への研究は既に業界の課題になりました。そして、新食品原料の登録申請と審査認可は機能性原料および特殊食品の発展を大幅に促進します。例えば、2022年に正式認可されたPQQ二ナトリウム塩もサトウキビポリフェノールも、何れも一定的な生理活性を有する機能性原料です。機能性原料が新食品原料として登録申請する時の重点と難点について、CIRSは分析文章をリリースしました。詳しくはこちらにてご確認ください。
国民食用安全を保障する為に、新食品原料(新資源食品)は「三新食品」(新食品原料、新規食品添加物、新規食品接触物質)の一員として、その登録申請要求は最も複雑的であり、中国当局の審査も最も厳しいと言えます。一般的に、新食品原料の登録申請は長い時間が掛ります。ただし、2022年上半期に認可された5件の新食品原料から見ると、その正式受理から正式認可までは僅かな1年ぐらいの時間が掛かります。しかも、この数年、新食品原料の登録申請数量も増える一方で、業界に新しい発展きっかけをもたらします。中国新食品原料の審査認可体系はますます完善化して、新食品原料登録申請企業によいチャンスを提供することだけではなくて、新食品原料登録申請資料(原料自分の特性、国内外の食用認可状況、安全性説明などを含む)を準備する時に申請企業の重点も企業の法規制適合性意識も変っていることが見られます。ですので、申請企業は法規政策への理解と執行を強化し、新食品原料登録申請をしっかり準備すべきだと考えております。
注:中国国家行政機構改革で各政府機関のウェブサイドはデータ移行中のため、データ統計する時は漏れる可能性があります。当文章の統計件数は参考までです。詳細は政府機関のウェブサイド情報をご確認ください。