2020年4月9日に、国家市場監督管理総局と中国国家標準化管理委員会はGB 38850-2020「消毒剤原料リスト及び禁止・制限物質」(下記はGB 38850-2020と略称)を含む14件の国家基準を公布しました。初回の動きなので、同リストは発表された途端に、業界内で大きなショックが引き起こされました。
GB 38850-2020は消毒剤原料を規制対象とする国内初の基準で、抗菌剤(別途に標準制定原料要求を発表する)及び各種ウェットティッシュなどの衛生用品には適用されません。
原料要求と使用範囲に関しては、各種類の消毒製品の衛生基準に比べて、GB 38850-2020は更に全面的かつ詳細であり、消毒剤の使用禁止の物質と使用可能な不活性物質までも盛り込まれていました。
1. 消毒剤原料の活性成分に関する主な変化
2013年に国家衛生健康委員会が発表した「新規材料、新規技術、新規殺菌原理で消毒剤と消毒機器を生産する判定根拠」における消毒剤原料有効成分リストと比較して、GB 38850-2020の原料と使用範囲などの方面で以下の変化があります。
- 次亜塩素酸の追加
- 果物や野菜、ケータリングや食品向けのツール、設備の消毒剤の原料がなし
- 集中空調通風設備向けの消毒剤原料の追加
- トリクロサン、二酸化塩素及び過酸化水素などの使用範囲の調整
二つの消毒剤の原料活性成分の詳細な区別は以下の通りです。
格差 | 「新規材料、新規技術、新規殺菌原理で消毒剤と消毒機器を生産する判定根拠」 | GB38850-2020 「消毒剤原料リスト及び禁止・制限物質」 | 変化詳細 |
有効成分 | 84種、そのうち化学物質81種、金属イオン、生物物質2種 | 85種、そのうち化学物質82種、金属イオン、生物物質2種 | 1. GB 38850-2020に次亜塩素酸塩(微酸性電解水を含む)が追加されました。 2. GB 38850-2020にトリクロサン、塩化ベンザルコニウム、ベンジルトリメチルアンモニウムなど26種の集中空調通風システム消毒剤原料が初めて盛り込まれました。 |
| 消毒剤原料準用範囲10種 A:室内空気消毒 C:汚染物消毒 D:飲用水消毒 #E:環境及び普通物体表面消毒 F:果物や野菜、食器、食品接触道具と設備消毒 H:人体皮膚、粘膜と手の消毒 M:医療器械消毒 S:プール水消毒 W:医療衛生機関の汚水消毒 | 消毒剤原料準用範囲10種 A:室内空気消毒 C:汚染物消毒 D:飲用水消毒 E:環境及び物体消毒 #E:物体表面だけ向けの消毒、環境消毒ではない H:人体消毒 K:集中空調通風システム消毒 M:医療器械消毒 S:プール水消毒 W:病院機関の汚水消毒 | 1. GB 38850-2020は「F:果物や野菜、食器、食品接触道具と設備消毒」を取り除きました。そして、「K:集中空調通風システム消毒」が新規に盛り込まれました。 2. GB 38850-2020にオゾンガスとオゾン水には、物体表面と環境消毒の使用範囲が追加されました。二酸化窒素はもう物体の表面と環境消毒に使われません。過酸化水素はもう果物や野菜、飲食器具及び食品工具、設備の消毒に使われなくなりました。 |
2. 消毒剤原料にある不活性成分への要求
GB 38850-2020に初めてリストされた不活性成分とは、消毒剤の処方において腐蝕防止、スキンケア、安定維持、pH調整、匂いと着色の調整といった役に立つ物質を指します。また、消毒剤として容認の不活性原料は計115種と各原料の使用範囲も明記されました。そこで、企業様は消毒剤生産の際に、各原料が許容範囲以内であるかどうかを十分に注意を払う必要があります。また、破損皮膚や粘膜以外に、他用途の消毒剤の着色料や香料の使用は食品添加物や化粧品の関連要求を参考してもよいです。
3. 禁止物質に関する規定
- 消毒剤には医薬品及び同名原料、ヒト用の薬用ワクチン、血清またはマイコマイシンおよびその製品(リゾチーム、リゾスタフィン除外)が添加禁止です。
- 手、皮膚、粘膜など人体用の消毒剤に関しては、「化粧品安全技術規範」(2015年版)に組み入れられた使用禁止物質(ヨウ素除外)は添加禁止です。
- 次亜塩素酸ナトリウムと過酢酸含有の消毒剤原料、トリクロロカルバニリド含有の消毒剤にあるダイオキシンについて規定しました。
- 人体、医療機器、生活飲用水の消毒剤に工業級の原料は使用禁止です。
4. 制限物質に関する規定
皮膚と粘膜消毒剤の一部原料に制限があるGB38850-2020は、発行済みの「皮膚消毒剤衛生要求」および「粘膜消毒剤通用要求」と比較すると、変更の詳細は下記のとおりです。
制限物質 | GB27954-2011「粘膜消毒剤通用要求」 | GB27951-2011「皮膚消毒剤衛生要求」 | GB 38850-2020「消毒剤原料リスト及び禁止・制限物質」 |
クロルヘキシジン またはアセスクリン | 有効内容量≤5000mg/L | 有効内容量<45g/L | 内容量≤45g/L(皮膚消毒剤) 内容量≤5g/L(粘膜消毒剤) |
トリクロサン | 有効内容量≤3500mg/L | 有効内容量<20g/L | 内容量≤20g/L(皮膚消毒剤) 内容量≤3.5g/L(粘膜消毒剤) |
臭化ベンザルコニウムまたはベンズアルカミン | 有効内容量≤2000mg/L | 有効内容量<5g/L | 内容量≤5g/L(皮膚消毒剤) 内容量≤2g/L(粘膜消毒剤) |
ヨードホール | 有効内容量≤500mg/L | 制限なし | 制限なし |
まとめ
以前は、原料標準規範不足のため、環境、物品と人体安全の損害、乃至企業の積極性へダメージに関する消毒剤原料問題は消毒剤承認審査と市場監督管理の中で次々と発見されました。
GB 38850-2020の施行は消毒剤原料管理の規範化と消毒事業の健全発展及び優良製品作りにつながる一方で、今後長い間に業界を衝撃していると考えられています。関連法規により、原料は同基準リストではない、または植物エキス採用の場合、「三新」製品として行政審査承認を取得する上で、販売展開になっています。だが、2014年から今まで、まだ「三新」消毒製品は一種までも承認されていないので、申請の難しさが窺えるかと思われています。
GB 38850-2020には果物や野菜、食器、食品接触道具と設備の消毒剤の原料をリストされませんので、まもなく、食品関連消毒剤の原料リストが発表されると見られています。同リスト及び関連消毒製品の管理方式に注意を払うようと呼びかけております。
この新規115種消毒剤の不活性成分に立ち向かって、登録済みまたは登録中の製品が新規要求に合わない場合、生産と販売はそのまま進めていくと大丈夫か、適時に処方を是正するか、それとも公式免除を待っているかと躊躇している消毒剤企業が多数あるかと思います。一方、これらの不活性成分のみに限られたら、如何に製品の創出と業界の積極性を確保するかなどの問題は、標準適用だけで対処できないし、一概にも言えないではないかと思われています。それで、法執行機関にとっても、関連企業にとっても大きな課題であると考えられています。
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