2023年6月14日、中国国家市場監督管理総局(SAMR、元CFDA)は公告をリリースし、「保健食品原料目録 栄養素補助剤(2023年版)」、「保健食品表示可能な保健機能目録 栄養素補助剤(2023年版)」、「保健食品原料目録 大豆分離蛋白」、「保健食品原料目録 乳清蛋白」を正式公布しました。今回の新版法規制は2023年10月1日から施行します。
現行法規制に比べて、今回の新版法規制は主に6つの変化があります。
- 「栄養素補助剤」の原料目録に「ドコサヘキサエン酸(DHA)」という栄養素を追加収載します。当物質の効能は「n-3多価不飽和脂肪酸補充」となり、栄養物質補充の範囲に属しますので、輸入DHA製品も保健食品届出申請できると考えております。
- 「カルシウム」の化合物源は「カゼインホスホペプチド+カルシウム」という組み合わせを追加します。
- 「鉄」の化合物源は「ヘミン」を追加します。
- 「ビタミンK」の化合物源は「ビタミンK2(合成法)」を追加します。
- 「栄養素補助剤」の効能目録に「n-3多価不飽和脂肪酸補充」及びその釈義を追加します。
- 「大豆分離蛋白」と「乳清蛋白」は届出申請可能な原料として追加し、その保健機能は「免疫力増強」となります。コエンザイムQ10などの5種原料と同じ、この二つの原料を使用する機能性保健食品の届出申請は国産製品だけに適用し、輸入製品は相変わらず登録申請必要だと考えております。
具体的な変化分析は以下の通りです。
1. 「栄養素補助剤」原料目録の変化
(1)栄養素は1種追加収載:ドコサヘキサエン酸(DHA)
ドコサヘキサエン酸(DHA)は今回追加収載の栄養素であり、その適用対象者は「大人」に限定します。
DHAは「栄養素補助剤」原料目録に追加収載し、しかも、新版(2023年版)「栄養素補助剤」効能目録にての相応効能は「n-3多価不飽和脂肪酸補充」となり、栄養物質補充の範囲に属します。従いまして、輸入DHA製品も保健食品届出申請できると考えております。
原料名称 | 栄養素 | ドコサヘキサエン酸(DHA) |
化合物名称 | ドコサヘキサエン酸油脂 | |
準拠標準 | DHA藻油技術要求(附属書参照)※ | |
適用範囲 | 大人 | |
毎日摂取量 | 効能成分 | DHA(C22H32O2トリグリセリドの量で計算,mg) |
適用対象者 | 大人 | |
最低値 | 200 | |
最高値 | 1000 | |
効能 | n-3多価不飽和脂肪酸補充 |
※ 「保健食品原料目録 栄養素補助剤(2023年版)」の附属書:DHA藻油技術要求。
(2)カルシウム、鉄、ビタミンKは化合物源追加
現行の原料目録に比べて、2023年版原料目録はカルシウム、鉄、ビタミンKの化合物源を追加します。具体的な内容は以下の通りです。
栄養素 | 追加の化合物名称 | 準拠標準 | 適用範囲 |
カルシウム | カゼインホスホペプチド+カルシウム | カゼインホスホペプチド:GB 31617 カルシウム:使用する化合物の標準に合致 | カルシウムの化合物により決定 「カゼインホスホペプチド」と「カルシウム」の比率は「1:5-1:20」となる |
鉄 | ヘミン | GB 1903.52 | 全ての対象者 |
ビタミンK | ビタミンK2(合成法) | 中国国家衛生健康委員会(NHC)2020年第9号公告 | 全ての対象者 |
(3)13つの化合物は準拠標準を追加/更新
現行の原料目録に比べて、今回の2023年版原料目録の中に、13つの化合物は準拠標準を追加/更新します。具体的な比較内容は以下の通りです。
栄養素 | 化合物名称 | 現行原料目録 | 2023年版原料目録 |
カルシウム | リン酸二水素カルシウム | GB25559 | GB1886.333 |
リン酸三カルシウム | GB25558 | GB1886.332 | |
カリウム | リン酸水素二カリウム | GB25561 | GB1886.334 |
リン酸二水素カリウム | GB25560 | GB1886.337 | |
鉄 | フマル酸鉄 | 中国薬局方 フマル酸鉄 | GB1903.46 中国薬局方 フマル酸鉄 |
乳酸鉄 | GB6781 | GB1903.47 | |
亜鉛 | クエン酸亜鉛 | 中国薬局方 クエン酸亜鉛 | GB 1903.49 中国薬局方 クエン酸亜鉛 |
クエン酸亜鉛(三水和物) | NHFPC 2013年第5号公告 | NHFPC 2013年第5号公告 GB 1903.49 | |
ビタミンD | ビタミンD3 | 中国薬局方 ビタミンD3 | GB1903.50 中国薬局方 ビタミンD3 |
ビタミンB12 | シアノコバラミン | 中国薬局方 ビタミンB12 | GB1903.43 中国薬局方 ビタミンB12 |
ナイアシン (ニコチン酸) | ニコチンアミド | 中国薬局方 ニコチンアミド | GB1903.45 中国薬局方 ニコチンアミド |
コリン | 重酒石酸コリン | 国家薬品標準 WS-10001-(HD-1250)-2002 | GB 1903.54 国家薬品標準 WS-10001-(HD-1250)-2002 |
パントテン酸 | D-パントテン酸カルシウム | 中国薬局方 パントテン酸カルシウム | GB1903.53 中国薬局方 パントテン酸カルシウム |
2. 「栄養素補助剤」効能目録の変化
現行の効能目録に比べて、2023年版効能目録の中の保健機能は「ビタミン、ミネラル補充」から「ビタミン、ミネラルなどの栄養物質補充」に調整します。備考の中に「n-3多価不飽和脂肪酸補充」を追加し、2023年版原料目録に追加収載する「ドコサヘキサエン酸(DHA)」と対応します。また、この保健機能の釈義も追加し、具体的な内容は以下の通りです。
保健機能 | 釈義 |
n-3多価不飽和脂肪酸補充 | 1. n-3多価不飽和脂肪酸はヒト必須の脂肪酸を提供。 2. 食事中のn-3多価不飽和脂肪酸は総エネルギーの0.5%~2%を占めるべき。 3. 血脂(トリグリセリド)の健康維持に助ける。 |
3. 機能性保健食品原料目録の変化
2020年12月以降、中国SAMRは「コエンザイムQ10などの5種保健食品原料目録」などのシリーズ法規制を公布します。2021年6月1日以降、コエンザイムQ10、壊れた壁霊芝胞子粉末、スピルリナ、魚油、メラトニンを単一原料とする国産保健食品は届出申請可能です。ただし、輸入製品は相変わらず登録申請しなければなりません。
今回、中国SAMRは「保健食品原料目録 大豆分離蛋白」、「保健食品原料目録 乳清蛋白」を公布し、「大豆分離蛋白」と「乳清蛋白」を蛋白質含有原料として原料目録に追加収載します。
CIRSは、コエンザイムQ10などの5種原料と同じ、この二つの原料を使用する機能性保健食品の届出申請は国産製品だけに適用し、輸入製品は相変わらず登録申請必要だと考えております。
具体的な内容は以下の通りです。
原料名称 | 大豆分離蛋白 | 乳清蛋白 | |
毎日摂取量 | 摂取量範囲 | 蛋白質6-25g | 蛋白質6-25g |
適用対象者 | 蛋白質摂取不足で免疫力低下になる大人 | 蛋白質摂取不足で免疫力低下になる大人 | |
不適用対象者 | 少年児童 | 少年児童 | |
注意事項 | 大人毎日蛋白質の総体推奨摂取量は60gとなり、各対象者の毎日摂取量に従って摂取量範囲内に適量食用可能。蛋白質摂取不足が顕著的ではない対象者は食用を推奨しない。植物蛋白にアレルギー者は摂取不適合。腎臓機能不全者は慎重的に食用。妊婦、乳母は臨床医者、栄養専門人員などに相談することを勧める。 | 大人毎日蛋白質の総体推奨摂取量は60gとなり、各対象者の毎日摂取量に従って摂取量範囲内に適量食用可能。蛋白質摂取不足が顕著的ではない対象者は食用を推奨しない。動物蛋白にアレルギー者は摂取不適合。腎臓機能不全者は慎重的に食用。妊婦、乳母は臨床医者、栄養専門人員などに相談することを勧める。 | |
機能 | 免疫力増強 | 免疫力増強 |
まとめ
現行原料目録に比べて、「2023年版原料目録」は1種の栄養素(「ドコサヘキサエン酸(DHA)」)を追加収載し、3種の栄養素は化合物源を追加し、13種の現有化合物源は標準根拠を追加/更新します。従いまして、申請企業選択可能な製品原料も原料サプライヤーも多くなります。「2023年版効能目録」は「n-3多価不飽和脂肪酸補充」という保健機能及びその釈義を同時に追加し、企業は保健食品ラベルに釈義にての相応する栄養成分効能表示標準用語を1条或は多条を使用できますので、製品の宣伝にとってかなり積極的な意義があると考えております。また、「大豆分離蛋白」と「乳清蛋白」は届出申請可能な原料として追加します。ただし、コエンザイムQ10などの5種原料と同じ、この二つの原料を使用する機能性保健食品の届出申請は国産製品だけに適用すると考えております。
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