健康食品登録申請及び「三新」食品製品登録申請の毒理学試験要求について
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1. 毒性学試験とは

毒性学試験(中国では、「毒理学試験」とも呼ぶ)とは、試験動物を異なり方式、異なり時限の毒性環境に暴露させることを通して、毒性を検測する試験を指します。試験の目的は物質の有害程度、毒性タイプ、対象臓器、投与量と反応の関係などを確定し、安全性評価又はリスク評価に参考データを提供することです。

「GB 15193.1 – 2014 食品安全国家標準 食品安全性毒理学評価プロセス 」は食品安全性の毒性学評価プロセスを規定しています。当基準に基づき、食品安全の毒性学評価試験の内容は急性経口毒性試験、遺伝毒性試験、28日間経口毒性試験、90日間経口毒性試験、催奇形性試験、生殖毒性試験及び生殖発育毒性試験、毒物動力学試験、慢性毒性試験、発癌性試験、慢性毒性と発癌性の合弁試験を含みます。

2. 登録申請する前に毒性学試験を行わなければならない製品種類

機能性健康食品(登録必要な製品)、新規食品原材料、新規食品添加物、新規食品接触物質(添加物、樹脂)は、登録申請前に毒性学試験を行わなければなりません。

3. 機能性健康食品(登録必要な製品)の毒性学試験要求

「保健食品検験及び評価技術規範(2003年版)」は既に廃止されたので、当文章は「保健食品毒理学評価プロセス(意見募集稿)」に基づいて健康食品毒性学試験の内容について説明いたします。

 

3.1 健康食品の毒性学試験

  •  試験サンプルの要求

サンプルの包装

完全に包装された最終製品

摂取量などの原因で最終製品を使用して試験を行うことが不適当である場合は、試験サンプルを適当に処理(例えば、濃縮、補助原料除去)できる。処理工程説明及び関連した証明書類を提供しなければならない。

サンプルのロット

健康食品の効能試験に用いられるサンプルと同じなロットにしなければならなくて、しかも、衛生学試験に用いられる3ロットのサンプル中の1ロットにしなければならない。(プロバイオティクス、乳製品などの賞味期限が試験周期より短い製品は除外する)

  • 毒性学試験の項目

一般的に、急性経口毒性試験、遺伝毒性試験3項目、28日間経口毒性試験を行い、試験結果及び適用対象者の状況に基づいてその他の試験項目を行う必要があるかどうかを確定します。

非伝統工程で製造され、物質基礎も重大な変化が発生した健康食品は急性経口毒性試験、遺伝毒性試験3項目、90日間経口毒性試験及び催奇形性試験を行い、必要である場合はその他の毒性学試験を行います。

一般食品、「保健食品原料目録」内の物質を原材料とし、物理粉砕又は水抽出などの伝統的な食品加工工程で製造され、食用方法は伝統的な食用方法と同じ、しかも原材料の摂取量は一般摂取量となり、或は関連した中国国家の規定要求に合致する健康食品は、毒性学試験を行う必要がありません。

急性経口毒性試験、遺伝毒性試験3項目、28日間経口毒性試験に関して、詳しくは「健康食品検査及び評価技術規範(2003版)」と「健康食品毒理学評価プロセス」の比較をクリックしてご確認ください。

3.2 健康食品の新規原材料

登録類健康食品に健康食品の新規原材料を添加する際に、製品の安全性評価以外、添加される新規原材料に対して安全性評価を行わなければなりません。現行の法規制に基づき、健康食品の新規原材料の安全性評価は新規食品原材料の安全性評価に関する規定(新規食品原材料の毒性学試験に関しては下記の内容をご参照ください)に基づいて進行しなければなりません。

4. 新規食品原材料の毒性学試験要求

  • 新規食品原材料とは、中国において伝統的な食習慣がなし、下記の通りです。

 

   ○ 動物、植物及び微生物

   ○ 動物、植物及び微生物から分離した成分

   ○ 元の構造に変化が生じた食品成分

   ○ 新しく研究開発したその他の食品原材料

  • 新規食品原材料の毒性学試験項目

食用習慣

 

 

 

試験項目

動物類、植物類(大型真菌を含む)

微生物類

中国国内外において伝統的な食用習慣がない

個別外国又は中国の一部地域において食用習慣がある

多数の外国において食用を許可される

国内外において伝統的な食用習慣がない

個別外国又は中国の一部地域において食用習慣がある

多数の外国において使用を許可される

急性経口毒性試験

Y

Y

Y

-

-

-

遺伝毒性試験3項目

Y

Y

Y

Y

Y

-

90日間経口毒性試験

Y

Y

-

Y

Y

-

28日間経口毒性試験

-

-

Y

-

-

-

催奇形性試験及び生殖毒性試験

Y

Y*

-

Y

-

-

慢性毒性試験及び発癌性試験

Y

-

-

-

-

-

代謝試験

Y

-

-

-

-

-

急性経口毒性試験/病原性試験

-

-

-

Y

Y

Y

遺伝毒性試験2項目

-

-

-

-

-

Y

▷「Y」:原則的に行う必要。「-」:要求しない。「*」:一般的に、生殖毒性試験は要求しない。

5.  新規食品添加物の毒性学試験要求

新規食品添加物の毒性学試験は「GB 15193.1 – 2014 食品安全国家標準 食品安全性毒理学評価プロセス」の要求に基づいて行います。登録申請に必要な毒性学試験項目は新規食品添加物の類別により異なります。

  • 香料

 

状況

毒性学試験項目

1

WHOFEMACOEIOFIの中の2個或は2個以上の組織に認可される

一般的に、毒性学試験を要求しない

2

1個のみの国際組織に認可される

一般的に、急性経口毒性試験、遺伝毒性試験1項を行う

3

国際組織の認可がない

一般的に、急性経口毒性試験、遺伝毒性試験3項、28日間経口毒性試験を行う

4

動物、植物の可食部位から抽出された単一・高純度の天然香料であり、その化学構造及び相関資料は不安全リスクを示していない

一般的に、毒性学試験を要求しない

  • 酵素製剤

 

状況

毒性学試験項目

1

長期の安全食用歴史を有する動物、植物の可食部位を利用して製造される酵素製剤であり、しかも、WHOが毎日摂取量を規定した(又は規定する必要がない)、又は数多くの国家、組織に認可された

一般的に、毒性学試験を要求しない

2

その他の由来の酵素製剤であり、完全的な毒性学資料を有し、しかも、WHOが毎日摂取量を規定した(又は規定する必要がない)、又は数多くの国家、組織に認可された

▪  品質規格が中国国家標準の要求に一致した場合は、急性経口毒性試験、遺伝毒性試験3項を行う

▪  品質規格が中国国家標準の要求に一致しない場合は、28日間経口毒性試験を追加して行う

3

その他の由来の酵素製剤であり、1個の国家のみに認可され、しかも、WHOが毎日摂取量を規定していない、又は資料不完全

一般的に、急性経口毒性試験、遺伝毒性試験3項、28日間経口毒性試験を行う

4

その他の由来の酵素製剤であり、外国の認可がない

一般的に、急性経口毒性試験、遺伝毒性試験3項、90日間経口毒性試験、催奇形性試験を行う

  • その他の食品添加物(例えば、乳化剤、着色剤、抗酸化剤、など)

 

状況

毒性学試験項目

1

完全的な毒性学評価資料を有し、しかも、WHOが毎日摂取量を規定した、又は数多くの国家、組織に認可された

▪  品質規格が中国国家標準の要求に一致した場合は、急性経口毒性試験、遺伝毒性試験3項を行う

▪  品質規格が中国国家標準の要求に一致しない場合は、28日間経口毒性試験を追加して行う

2

1個の国家のみに認可され、しかも、WHOが毎日摂取量を規定していない、又は資料不完全

一般的に、急性経口毒性試験、遺伝毒性試験3項、28日間経口毒性試験、催奇形性試験を行う

3

動物、植物、或は微生物を利用して製造され、成分単一・高純度の添加物であり、1個の国際組織、国家に認可された

一般的に、急性経口毒性試験、遺伝毒性試験3項、28日間経口毒性試験を行う

4

動物、植物、或は微生物を利用して製造され、成分単一・高純度の添加物であり、しかも、国際組織、国家の認可がない

一般的に、急性経口毒性試験、遺伝毒性試験3項、90日間経口毒性試験、催奇形性試験を行う

6. 新規食品接触物質(添加物、樹脂)の毒性学試験要求

「食品関連製品新品種申告及び受理規定」に基づき、新規食品接触物質の毒性学試験項目は物質の移行量に基づいて決定することになります。物質の移行量が少ないと、必要な毒性学試験項目も少なくなります。

移行量

mg/kg

試験項目

0.01

0.01 - 0.05

0.05 – 5.0

5.0 - 60

構造活性分析資料及び安全性研究分析書類

Y

-

-

-

急性経口毒性試験

-

Y

Y

Y

突然変異試験3項

-

Y

Y

Y

ネズミ90日間経口投与亜慢性毒性試験

-

-

Y

Y

生殖発育毒性試験

-

-

-

Y

経口慢性毒性と発癌性試験

-

-

-

Y

「Y」:原則的に行う必要。「-」:要求しない。

 高分子ポリマー(平均分子量>1000ダルトン)の場合は各モノマーの毒性学安全性評価資料を提供すべき、ポリマーの毒性学試験を要求しない。

7. 毒性学試験の実験室要求

 

分類

実験室要求

試験方法

1

機能性健康食品

(登録必要な製品)

食品検験資格を有し、SAMRに登録した中国国内の実験室

「保健食品毒理学評価プロセス(意見募集稿)」

2

新規食品原材料

▪  食品検験資格を有する中国国内の実験室(実験室は相応した項目の毒性学試験のCMA資格を取得した)

▪  中国域外のGLP実験室

▪  中国国内の実験室で試験を行う場合、GB 15193の標準に基づいて進行する

▪  中国域外のGLP実験室で試験を行う場合、試験方法に対して規定していない

3

新規食品添加物

4

新規食品接触物質(添加物、樹脂)

まとめ

食品安全毒性学試験は食品及び食品原材料の安全性を評価する重要な手段です。一般的に、1物質の毒性学試験に要する期間は、数ヶ月から1年程度の時間がかかりますが、1年以上かかることもあります。試験費用については、数万元~数十万元かかります。物質申請の時間及び費用を節約するために、各種類の物質申請に対する毒性学試験要求を把握し、適当な毒性学試験項目を選択することは重要だと考えております。物質申請項目を正式に開始する前に、申請に必要な毒性学試験に対して十分的に評価しなければならないと考えております。

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