背景
循環経済への移行推進を目的として、欧州委員会は「循環経済パッケージ」を2015年に公表しました。有効な資源をできる限り少なく使用し、廃棄物の量を最小限に抑え、従来の「資源の投入、生産、廃棄 (take, make, dispose)」モデルから循環経済への転換を実現するために、廃棄物枠組み指令が制定されました。同指令では、廃棄物の人の健康や環境への悪影響を抑えるための措置などが規定されています。
廃棄物枠組み指令の改正版は2018年に公布されました。ECHA は 2019 年に高懸念物質(SVHC)を含有する成形品に関するデータベース(SCIP)を立ち上げ、廃棄物処理業者や消費者等に情報提供できるようにします。
SCIPデータベースとは
SCIPデータベースは、改正された廃棄物枠組み指令に基づいて構築されたものです。2021年1月5日以降、SVHCを0.1%を超えて含む成形品をEU市場に上市する企業は、SCIPデータベースに情報を提出しなければなりません。
義務対象者
EU域内の製造者、輸入者、流通業者等の成形品供給者
消費者に商品を直接供給する小売業者及びその他のサプライチェーン従事者は、情報提出の対象外です。
EU域外の供給者は、対応するための必要な情報をEU域内輸入者に提供する必要があります。
ECHAは、SCIPデータベースの試用版を2020年2月に公開しました。その使用方法を把握するため、企業の試験的届出が期待されています。また、企業からのフィードバックに基づいて改善を行い、最終版を今年後半までにリリースする予定です。
EUに該当製品を輸出している企業は、データベースの最終版が公開された前、既存のSVHC情報を確認し、届出必要な情報を収集することで対応したほうがよいと思います。