「易制毒化学品管理条例」(下記「条例」と略称)は2005年8月26日に公布され、2005年11月1日から実施しました。2014年と2016年に二回の改訂により、最新版が2016年2月に正式に実施しました。目的は易制毒化学品の管理を強化し、麻薬製造に使われることを防止します。「条例」により、易制毒化学品の生産、販売、購買、輸送、輸入及び輸出などの過程に、責任者の義務を付けられます。なお、監督管理部門により、易制毒化学品の許可、監督、管理及び処罰などの具体的な制度を明確化されます。
易制毒化学品とその分類
易制毒化学品は、麻薬製造に使用できる化学物質を指します。前駆体、原料、化学添加物などの関連物質を含みます。以下の三つの種類に分けられます。
- 第Ⅰ種類 麻薬製造に使用できる主要な原材料
- 第Ⅱ、Ⅲ種類 麻薬製造に使用できる化学添加物
サプライチェーンにおける各段階の責任
製造管理
第Ⅰ種類化学品の製造を申請する際、以下の条件を満足し、製造許可証を取らなければなりません。
- 法律上、化学工業又は薬品製造として登録した企業
- 国家標準に合致する生産設備、貯蔵倉庫及び汚染物質処理設備
- 厳密に安全作業管理システムを設定し、環境突発事件の対応策を計画
- 企業の法定代理人、技術者及び管理職は、安全作業と易制毒化学品に対する知識を持ち、麻薬関連の犯罪記録がなし
- 法律、法規制及び規則を遵守
なお、第Ⅰ種類の薬品類易制毒化学品を製造する際、貯蔵倉庫などの重要な区域に中国公安部と接続されたテレビ監視設備及び警報設備を設置しなければなりせん。
第Ⅱ、Ⅲ種類の化学品を製造する企業は、製造日より30日以内に、生産品種、数量及びほかの関係情報を所在地地級人民政府安全生産監督管理部門で登録しなければなりません。
経営管理
第Ⅰ種類化学品の製造を申請する前に、以下の条件を満足し、経営許可証を取らなければなりません。
- 法律上、化学工業及び薬品経営として登録した企業
- 国家標準に合致する作業場を設置。易制毒化学品を貯蔵する際、当該企業は国家技術標準に合致する貯蔵倉庫を設置しなければいけない
- 経営管理システムを設定し、健全な販売ネットを構築
- 企業の法定代理人、営業担当及び管理職員は、易制毒化学品に関する知識を持ち、麻薬関連の犯罪記録がなし
- 法律、法規制及び規則を遵守
なお、第Ⅱ種類の易制毒化学品を経営する企業は、経営日より30日以内に、経営品種、数量及び主な流通経路などの情報を所在地地級人民政府安全生産監督管理部門で登録しなければなりません。第Ⅲ種類の易制毒化学品を経営する企業は、経営日より30日以内に、経営品種、数量及び主な流通経路などの情報を所在地県級人民政府安全生産監督管理部門で登録しなければなりません。
購買管理
第Ⅰ種類易制毒化学品の購買を申請する際、以下の材料を提出し、購買許可証を取らなければなりません。
- 経営企業により、企業営業許可証及び使用必要の合法性の証明書
- ほかの組織により、登録証明書(成立許可書)及び使用必要の合法性の証明書
第Ⅱ、Ⅲ種類の易制毒化学品を購買する前に、購入品種、数量などの情報を所在地県級人民政府公安機関で登録しなければなりません。第Ⅰ、Ⅱ種類は個人購入を禁止します。
輸送管理
易制毒化学品を輸送する前に、輸送許可証を取らなければなりません。
易制毒化学品輸送を申請する際、当該化学品の販売契約書を提出しなければなりません。荷送人の身分の違いにより、提出資料も違います。
- 企業 営業許可証
- ほかの組織 登録証明書(成立許可書)
- 個人 身分証明材料
依頼される輸送業者として、荷送人からの輸送許可証又は登録証明書を検査しなければなりません。なお、輸送になる化学品は、その許可証又は登録証明書に記録された情報との一致性も検査しなければなりません。一致しない場合、輸送することができません。
輸送全行程に、輸送担当者は輸送許可証又は届出証明書を持たなければなりません。
輸入又は輸出管理
易制毒化学品を輸入又は輸出する前に、以下の材料を提出し、輸入又は輸出許可証を取らなければなりません。
- 対外貿易経営者登録証明書(外商投資企業連合年度検査の合格証明)コピー
- 営業許可証副本
- 易制毒化学品製造、経営、購買許可証及び登録証明書
- 輸入又は輸出契約書副本
- 取扱者の身分証明材料
易制毒化学品の輸出許可を申請する際、輸入側所在地の政府管理部門により許可された当該化学品の適合使用証明書及び保証材料を提出しなければなりません。
易制毒化学品の輸入、輸出或は通過、中継、通運などの場合、入管地税関に真実を申告し、輸入又は輸出許可証を提出しなければなりません。その許可証により、税関で通関手続きを行います。
第Ⅰ種類易制毒化学品を輸入する際、食品薬品監督管理部門により許可された輸入薬品通関書を提出しなければなりません。
付属書 易制毒化学品の分類及び品種目録
第Ⅰ種類
日本語品名 | 中国語品名 | 英語品名 |
1-フェニル-2-プロパノン | 1-苯基-2-丙酮 | 1-Phenyl-2-Propanone |
3-4メチレンジオシ フェニル-2-プロパノン | 3,4-亚甲基二氧苯基-2-丙酮 | 3,4-methylenedioxyphenyl-2-propanone |
ピペロナール | 胡椒醛 | Piperonal |
サフロール | 黄樟素 | Safrole |
サッサフラス油 | 黄樟油 | Sassafras Oil |
イソサフロール | 异黄樟素 | Isosafrole |
N-アセチルアントラニル酸 | N—乙酰邻氨基苯酸 | N-Acetylanthranilic Acid |
アントラニル酸 | 邻氨基苯甲酸 | Anthranilic Acid |
リゼルグ酸 | 麦角酸* | Lysergic Acid |
エルゴタミン | 麦角胺* | Ergotamine |
エルゴメトリン | 麦角新碱* | Ergometrine |
エフェドリン、プソイドエフェドリン、DL-エフェドリン、フェニルプロパノ-ルアミン、メチルエフェドリン、エフェドリンコンクリート、粉のエフェドリンコンクリートなどのフェドリン物質 | 麻黄素、伪麻黄素、消旋麻黄素、去甲麻黄素、甲基麻黄素、麻黄浸膏、麻黄浸膏粉等麻黄素类物质* | Ephedrine,Pseudoephedrine, DL-Ephedrine,Phenylpropanolamine, Methylephedrine, Ephedrine soaked cream, powder of Ephedrine soaked cream and other similar substances |
ヒドロキシリミン | 羟亚胺 | Hydroxylimine |
1-(2-フェニルエチル)-4-ピペリドン | N-苯乙基-4-哌啶酮 | 1-Phenethyl-4-piperidone |
N-フェネチル-4-フェネチルピペリジン | 4-苯胺基-N-苯乙基哌啶 | N-phenethyl-4-phenylaminopiperidine |
N-メチル-1-フェニル-1-クロロ-2-プロピルアミン | N-甲基-1-苯基-1-氯-2-丙胺 | N-methyl-1-phenyl-1-chloro-2-propylamine |
第Ⅱ種類
日本語品名 | 中国語品名 | 英語品名 |
フェニル酢酸 | 苯乙酸 | Phenylacetic Acid |
無水酢酸 | 醋酸酐 | Acetic Anhydride |
クロロホルム | 三氯甲烷 | Chlorofrom |
ジエチルエーテル | 乙醚 | Diethyl(Ethyl) Ether |
ピペリジン | 哌啶 | Piperdine |
臭素 | 溴素 | Bromine |
プロピオフェノン | 1-苯基-1-丙酮 | Propiophenone |
α-フェニルアセト酢酸メチル | α-苯乙酰乙酸甲酯 | α- Methyl phenylacetoacetate |
α-アセトアセトアニリド | α-乙酰乙酰苯胺 | α-Acetoacetanilide |
3,4-メチレンジオキシフェニル-2-アセトングリシジン酸 | 3,4-亚甲基二氧苯基-2-丙酮缩水甘油酸 | 3,4-Methylenedioxyphenyl-2-Acetone glycidyl acid |
3,4-メチレンジオキシフェニル-2-アセトングリシジルエステル | 3,4-亚甲基二氧苯基-2-丙酮缩水甘油酯 | 3,4-Methylenedioxyphenyl-2-Acetone glycidyl ester |
第Ⅲ種類
日本語品名 | 中国語品名 | 英語品名 |
トルエン | 甲苯 | Toluene |
アセトン | 丙酮 | Acetone |
メチルエチルケトン | 甲基乙基酮 | Methyl Ethyl Ketone |
過マンガン酸カリウム | 高锰酸钾 | Potassium Permanganate |
硫酸 | 硫酸 | Sulphuric Acid |
塩酸 | 盐酸 | Hydrochoric Acid |
ベンジルアセトニトリル | 苯乙腈 | Phenylacetonitrile |
γ-ブチロラクトン | γ-丁内酯 | γ-butyrolactone |
- 「易制毒化学品管理条例」 原文リンクはこちら