最近、ベトナム政府は、ベトナムの工業化と近代化のニーズに応え、国際条約や自由貿易協定との整合性を確保するため、「化学品法」の改正を積極的に推進しています。
工業・貿易省の報告書によると、ベトナムの化学産業は「化学品法」の施行以来、目覚ましい発展を遂げてきました。しかし、現行法のいくつかの規定は、もはや現在の現実に適合していないため、政府は、2023年12月18日の国会常務委員会の決議に基づき、「化学品法」の改正を含む2024年の法律・政令の策定計画を調整しました。 同改正案は2024年6月13日に政府で審議・採択され、現在、議員の意見を踏まえて精緻化が進められています。
現在までに、化学品(改正)法の草案はほぼ完成し、ベトナム国会の常務委員会などに提出されており、2024年10月の第8回国会でさらに議論され、諮問される見込みであります。
改正案の主な内容は以下の通り:
a) 第1章:総則(第1条から第8条まで)
- 化学物質活動における原則と禁止行為に関する2007年法の規定を継承する。
- ベトナムの化学産業の発展に関する将来戦略に合わせ、化学産業の発展に関するベトナムの方針に関する規定を修正・補足する。
b) 第2章:化学工業の発展(第9条から第14条まで)
- 化学工業発展戦略の実施に関する要件、策定、承認、組織に関する規定を追加する。
- 重点製品カテゴリーや化学専門工業団地の建築など、化学産業の主要分野に対する詳細な支援・投資方針を追加する。
c) 第3章:化学活動の管理(第15条から第44条まで)
- 化学物質の製造、経営、輸送、貯蔵、使用を含む安全要件を詳述する。
- 輸入化学物質はすべて申告が必要であり、申告データは化学物質データベースと同期化され、専門の管理当局に直接に提供する。
ベトナム政府の化学物質データベース:https://chemicaldata.gov.vn/tim-kiem/hoa-chat
条件付き化学物質と特別管理化学物質に対する厳格な管理措置を規定:
- 条件付き化学物質:関連活動は安全条件を遵守しなければならず、その製造と経営は、省人民委員会の専門機関が発行した資格証明書に基づいて、個人と組織が行う。
- 特別管理化学物質:国際条約の規定に従って特別な管理を必要とする化学物質、および国防、安全保障、人の健康、環境に危害を及ぼす可能性のある化学物質が含まれる。これらの化学物質の製造・経営・輸出入は、ベトナム産業・貿易省が発行する許可証のもと、個人や組織によって行われる。その売買は、管理表が必要で、売り手と買い手による確認しなければならない。特別管理化学物質を使用する個人および組織は、最初の使用前または使用目的が変更された場合に、化学物質の種類と使用目的を化学物質データベースに開示する義務がある。
- 禁止化学物質:科学研究、国防・安全保障、疾病予防・管理などの特別な目的を除き、禁止化学物質を使用した化学活動を個人・組織が行うことは禁止されている。各部門の部長は、禁止化学物質を使用する組織に対し、禁止化学物質の製造と輸入の許可証を発行する。
d) 第4章:化学物質に関する情報(第45条から第55条まで)
- 化学物質の登録、評価、新規化学物質の管理に関する規定を引き継ぐ。
- 産業・貿易省による化学物質データベースの構築と維持管理を行うことや、化学物質データベースの情報の共有と利用のための仕組みの整備と確立について規定する。
e) 第5章:製品に含まれる危険化学物質 (第56条から第58条まで)
- 危険化学物質を含有する製品を製造・輸入する組織・個人に対し、化学物質データベースへの含有化学物質の公表を義務付け、その責任を明確化する。
f) 第6章:化学物質の安全性(第59条から第71条まで)
- 化学物質の安全管理に関する具体的な要求事項が詳述されており、化学物質の製造、経営、貯蔵、輸送、使用、取り扱いにおいて、組織や個人が遵守しなければならない施設や技術、専門的トレーニングに関する基準が含まれている。
- 化学物質事故の予防策と対応策に修正と追加が加えられている。
g) 第7章:環境保護と地域社会の安全(第72条から第76条まで)
- 環境保護と地域社会の安全に対する法的責任が強化される。
- 特に、戦争で残留した化学物質に対処するための施策を提案している。
(h) 第8章:化学物質の国家管理(第77条から第86条まで)
- 化学物質の国内管理に関する政府の統一的責任を明確化にする。
- 化学物質管理におけるあらゆる機関の具体的な責任と任務が詳述されている。
i) 第9章:施行規定(第87条から第89条まで)
- 法改正の施行と経過措置について規定する。
- 化学物質分野に関連する法規定の修正、補足、廃止を明確化にする。
CIRSグループは、今後もベトナムの化学物質管理の最新動向に注意を払い、関連企業のコンプライアンス事前準備を支援していきます。