欧州委員会が最新版のREACH制限ロードマップを公表:高リスク化学物質の削減・全廃を計画的に推進
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【要約】

2026年8月31日、欧州委員会は最新版となる『REACH制限ロードマップ(Restrictions Roadmap)』を正式に公表しました。現時点で15項目の制限決定が採択済み、9項目が最終審査段階にあり、3項目がECHAによる意見募集を実施中で、添付文書に記載された数十におよぶ物質群が評価の順番待ちとなっています。

本ロードマップは2026年7月2日に開催されたCARACAL-58会議での議論を経て確定されたものであり、欧州における高リスク化学物質の制限の進捗状況、現在の意思決定ステータス、ならびに将来の規制の方向性を整理したものです。本ロードマップに対し、CIRSグループによる解説をお届けいたします。

■ 主な内容

一、 正式に承認された制限措置

2022年4月以降、EUにおいてすでに15項目の制限決定が正式に承認されています。主な対象物質は以下の通りです。

  • 高懸念物質(SVHC): 2,4-ジニトロトルエン(発がん性)、DMACおよびNEP(生殖毒性)、ホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒド放出物質、追加されたCMR(発がん性・変異原性・生殖毒性)物質(29群 / 19群)
  • 残留性有機汚染物質(POPs): デクロランプラス(Dechlorane Plus)、PFHxS(※POPs規則に基づき管理)
  • PFAS物質: 泡消火薬剤中のPFASの使用、繊維製品/食品接触材料/化粧品等におけるPFHxAの使用
  • 特定製品・用途: 意図的添加マイクロプラスチック、シロキサン類(D4/D5/D6)、PVC(ポリ塩化ビニル)中の鉛、クレー射撃用ターゲット中のPAHs

二、 意思決定プロセスが進行中の制限

ECHAの専門委員会による意見募集が完了し、欧州委員会の草案が提出済みまたは準備中であり、加盟国および欧州議会による審査を待っている制限案が計9項目あります。

  • 鉛関連: 釣り具中の鉛、弾丸・銃弾中の鉛(いずれも2026年4月29日にREACH委員会で可決され、審査期間へ移行)
  • 新規CMR物質: 新たに調和分類された26群のCMR 1A/1B物質(まもなく審査期間を開始予定)
  • その他: クレオソート処理木材、水添テルフエニル、カルシウムシアナミド、乳幼児・小児用品中のCMR物質、繊維製品/皮革製品中の皮膚感作性・刺激性・腐食性物質

三、 ECHA意見募集段階の制限

現在、以下の3項目の制限提案がECHAのリスク評価委員会(RAC)および社会経済分析委員会(SEAC)にて意見募集の段階にあり、2026年内に完了する見込みです。

  • オクトクリレン(Octocrylene): 化粧品完成品中における濃度≥0.001%の制限
  • 全フッ素アルキル化合物(PFAS)の総合制限(Universal Restriction)」: 製造、市場投入、使用(工業用途、プロ用途、消費者用途)をカバー
  • 一部の六価クロム化合物: 工業用途における制限

四、 将来の制限候補に向けた事前検討・評価作業(添付文書 Annex I~III)

  • 添付文書 Annex I(将来の制限候補物質)

Annex Iには、現在初期の準備段階にあり、将来REACH制限に組み込まれる可能性のある13の物質(物質群)が列挙されており、以下の2つのカテゴリーに分類されています。

a: 制限意向登録簿(RoI)に掲載済み、または欧州委員会がすでにECHAに対し制限ドシエの作成を要請済み。

b: ECHA、加盟国、または欧州委員会によって詳細な評価が進められており、制限手続きに進む前にCLP分類やSVHC特定が先行して実施される可能性がある物質。

主な対象物質:

非重合型芳香族臭素化難燃剤(2026年12月にドシエ提出予定)

内分泌かく乱作用を有するビスフェノール類(2027年3月予定)

ゴムタイヤ中の6PPDおよび関連フェニレンジアミン類(2027年3月予定)

PVC添加剤(C4-C6フタル酸エステル類、有機スズ化合物)、有機リン系難燃剤、炭化水素シロキサン等

  • 添付文書 Annex II(潜在的な管理オプションとして制限を評価中の物質)

消費財中の鉛、ホルムアルデヒド、ニッケル(皮膚接触用途)、PAHs、ホルムアミド、ピラゾール類、マンガン/バナジウム化合物など、21の物質群をカバーしています。一部の物質は、制限手続きに入る前にCLH(調和分類・表示)やSVHC特定が先に行われる可能性があります。

  • 添付文書 Annex III(認可対象物質のサンセット日付後の評価、REACH規則第69条第2項)

認可対象物質リスト(Annex XIV)に収載されている59の物質群について、サンセット日付(Sunset Date)経過後のスクリーニング評価を実施した結果であり、以下の結論が含まれています。

制限不要: ムスクキシレン(Musk xylene)、MDA、トリクロロエチレン、ヒ酸など

制限措置済み: DEHPなど4種のフタル酸エステル類、クレーターゲット中のPAHsなど

制限検討予定: TCEP(TCPP/TDCPとグループ化して処理)、UV-320/327/350、C4-C6フタル酸エステル類など

■ CIRSのアドバイス

最新版のREACH制限ロードマップは、単なる規制の掲載リストにとどまらず、産業構造のグリーン転換に向けたタイムスケジュールそのものです。すでに有効化している15項目の制限から、最終段階にある9項目の草案、さらには添付文書で順序待ちをしている数十に及ぶ高リスク物質群に至るまで、EUは「順次見直しとグループ管理」の手法を用いて、最も有害な化学物質の廃止を加速させています。

関連企業におかれましては、「代替案の優先的導入」を経営の中核戦略に組み込むことが求められます。CIRSグループは今後もREACH関連規制の動向を継続してフォローし、企業の皆様へタイムリーなコンプライアンス情報サポートを提供してまいります。

■ CIRSのEU REACH関連コンプライアンスサービス

  • EU REACH 唯一の代理人(OR)サービス
  • EU REACH事前照会サービス
  • EU REACH 登録サービス
  • EU REACH 先導登録(LR)サービス
  • 先導登録者ドシエ評価の適合性対応サポート
  • コンソーシアム運営・管理サポート
  • 共同登録者ドシエ評価の適合性対応サポート
  • データギャップ分析サービス
  • 化学品安全性報告書(CSR)作成サービス
  • 拡張安全データシート(eSDS)作成サービス
  • サプライチェーンにおけるREACHコンプライアンス管理プラットフォーム
  • SVHC(高懸念物質)届出・通報サービス
  • 認可(Authorization)申請サポート
  • PPORD(研究開発)届出サービス

詳細情報:

https://single-market-economy.ec.europa.eu/sectors/chemicals/reach/restrictions_en