要約:GB 15258『化学品安全ラベル作成規定』強制国家基準の承認申請案が公示されました。前回の意見募集案と比較した最大の変更点として、新たに盛り込まれていた「危険化学品安全情報コード(QRコード)」の要求が削除され、ラベル構成要素は従来の8項目(化学品識別名、ピクトグラムなど)に据え置かれました。また、簡易ラベルの適用上限が従来の100 mLから500 mLへと緩和されました。本基準は国連GHS(第11改訂版)の規定に沿って化学品安全ラベルの内容、作成および使用要件を規定しており、GB 15258-2009を置き換えるものとして12か月間の移行期間が提案されています。関連する化学品製造・輸入企業は、自社ラベルへの影響を早急に評価・確認する必要があります。
2026年9月11日、中国工業情報化部(以下「工信部」)科学技術司は『〈化学品安全ラベル作成規定〉強制国家基準(承認申請案)に関する意見募集の公示』を発表し、基準の承認申請案および作成説明を意見募集に付しました。公示期間は2026年9月12日から9月18日までとなっており、各界からの意見は電子メール(kjbz@miit.gov.cn、件名に「強制性国家基準承認申請案公示フィードバック」と明記)にて受け付けています。
今回の改定は同基準の第3回改定であり、承認申請案は現行のGB 15258-2009を置き換えるものとなります。2025年8月に公開意見募集が行われた意見募集案と比較して、承認申請案の最も重要な変化は「危険化学品安全情報コード」に関連する要求が削除されたことです。
「安全情報コード」要件の削除:意見募集案から承認申請案への重大な変更
2025年8月に公布された意見募集案では、広東省における危険化学品安全情報コードの試行経験を参考に、初めて「危険化学品安全情報コード」がラベル要素として導入されました。これは「危険化学品登記総合サービスシステムによって生成され、危険化学品の安全情報を担うための2次元コード(QRコード)」と定義されていました。同案では、中国国内で流通する危険化学品は流通段階に入る前に危険化学品安全情報コード、またはそれと融合したその他の2次元コードを提供しなければならず、折畳式ラベルの表紙ページや組み合わせ容器の外包装などの位置にも安全情報コードを記載すること(包装容積が100 mL以下の場合は省略可能)が義務付けられていました。さらに、2次元コード印刷品質検査基準(GB/T 23704)が関連規定として引用され、情報コードの印刷品質等級を2.0級以上とすることが求められていました。
しかし、この要求は意見募集段階で業界内から大きな議論を呼びました。作成説明によると、主な経緯は以下の通りです。:
- 2024年12月:「子供用腕時計の安全技術要求」等18項目の強制性国家基準制定・改定計画および関連基準外文版計画の下達に関する通知』(国標委発〔2024〕51号)に基づき、基準起草作業委員会(ドラフティングチーム)を設立。
- 2025年5月~8月:工信部より関係12部委(省庁)・司局へ文書を送付して意見を照会し、46件のフィードバック意見を受領。
- 2025年8月~10月:全国基準情報公共サービスプラットフォームを通じて意見募集案を一般公開し、222件のフィードバック意見を受領。うち「安全情報コード」に関する意見が22件あり、これらに対して「不採用」または「一部採用」との方針を作成。
- 2025年11月19日:委員会が専門家による特別討論会を開催。「基準タイトルの変更」「物理的危険性のピクトグラムの並び順の修正」を除き、採用予定とした意見に異議はなし。「安全情報コード」に関する22件の意見については保留とし、工信部が関係部門と連携して検討・決定することとした。
- 2026年4月28日:北京にて基準審査会を開催。審査専門家から安全情報コード関連内容の削除が提案され、これに基づき修正を行って承認申請案を完成。
- 2026年5月:安全情報コードの削除は重大な変更に該当することから、工信部は応急管理部へ再度意見照会を行い、応急管理部より異議なしとの回答を得る。
- 2026年6月:承認申請案を工信部へ提出。
- 2026年9月11日:承認申請案および作成説明を公開。
承認申請案の本文からは「安全情報コード」関連の内容が完全に消えています:征意見募集案の第4.2.9条および安全情報コードの定義、印刷品質等級要求、折畳式ラベルと組み合わせ包装への記載要求はすべて削除され、引用文書におけるGB/T 23704『2次元コードシンボル印刷品質の検査』も併せて削除されました。これにより、ラベル要素は意見募集案の9項目から従来の8項目(化学品識別名、ピクトグラム、信号詞、危険有害性情報、注意書き、緊急相談電話番号、サプライヤー情報、資料参照提示語)へと戻りました。
承認申請案の主な技術的変化
変化点 | 意見募集案 | 承認申請案 | 影響 |
危険化学品安全情報コード | ラベル要素に安全情報コードを含める。国内流通の危化品は流通前に提供要。折畳式ラベル表紙に必須(≤100 mLは省略可)。印字品質はGB/T 23704-2017の2.0級以上 | 削除された。 GB/T 23704の引用も併せて削除し、ラベル要素は9項目から8項目へ復元 | 企業はラベルへの安全情報コードの申請・印字が不要となり、コンプライアンスコストが低減 |
簡易ラベルの適用範囲 | 包装容量 ≤ 100 mL で簡易ラベルが使用可能 | ≤ 500 mL へと緩和され、さらに ≤100 mL、5〜10 mL、≤5 mLの3段階の簡易化ルールを設定 | 適用範囲が5倍に拡大。≤5 mLの小規格試薬は化学品識別名のみの保持が可能 |
用語の変更 | 「警示語 」 | 全文で「信号詞」へ変更。GHS参照文献を第8改訂版から第11改訂版へ更新 | GB 30000.1-2024と整合。ラベルテンプレートの同期更新が必要 |
輸入化学品の中国国内緊急電話 | 国外からの輸入化学品ラベルには、少なくとも一つの中国国内24時間化学事故緊急相談電話番号を記載 | 該当する強制要求を削除 | 輸入化学品ラベルにおける緊急電話番号の設定がより柔軟に |
危険有害性情報の統合ルール | H410記載時はH400省略、H411記載時はH401省略、H412記載時はH402省略、H314記載時はH318省略などのルールを明記 | 統合ルールを削除。 すべての危険有害性情報を記載し、物理的危険性、健康有害性、環境有害性の順で並べる | 危険有害性情報の表記がより完全・詳細に |
ラベルの外枠 | 黒色の外枠、幅1 mm以上 | 黒色または背景色と対比が明瞭な外枠(幅の限定を削除) | 印刷およびデザインの自由度が向上 |
ピクトグラムのサイズ | 規定なし | ピクトグラムの大きさは中文化学名称のフォントサイズを下回ってはならない | 現行ラベルのピクトグラムが小さすぎないかチェックが必要 |
国際基準・法規制との比較
作成説明では、今回の改定と主要な国際制度との比較状況についても示されています:
- 国連GHS: 承認申請案のラベル要素等の技術的内容は、GHS(第11改定版)と一致しています。
- EU CLP規制: 2024年の最新改定において、化学品の危険有害性情報伝達を補完・強化するためにデジタルラベルの規定が導入されました。
- 米国HCS: 2024年に更新され、GHS第7改定版と一致させつつ第8改定版の一部要素を取り入れるとともに、3 mL未満の包装化学品に対する安全ラベル免除規定が新設されました。今回の承認申請案における5 mL以下の小包装化学品に対するラベル要素免除は、この手法を参考にしつつ、GB 15346-2012『化学試薬 包装および標識』における0.5 mL、1 mL、5 mL、10 mLなどの一般的な試薬規格と総合して決定されました。
CIRSからのアドバイス
承認申請案の公示は、基準公布前の最後の意見募集の機会となります。CIRSは関連企業に対し以下の点に注意するよう呼びかけています:
- 募集期間が短い(2026年9月12日〜9月18日): ラベル寸法、簡略化安全ラベルの適用閾値、キット(套件)ラベルの設定等について異議や異なる意見がある場合は、公示期間内に『強制性国家基準反饋意見表』に記入の上、上記公示メールアドレス宛に電子メールで提出する必要があります。
- ラベルの改修・変更がある企業は計画を調整可能: 安全情報コード関連条項が全体として削除されたため、QRコードの申請・印字および印刷品質等級のためにあらかじめ予算や投入を確保しておく必要はなくなりました。既に意見募集案の予備案に基づいて改修を開始していた企業は、関連するアレンジの調整・評価を行うことができます。
- ラベル切り替えの事前計画: 用語が「警示語」から「信号詞」へ統一されたほか、化学品識別名、成分記載(5個を超えてはならず、最も主な有害性寄与成分を優先的に明記)、危険情報の並び順、ラベルの外枠、ピクトグラムのサイズなどがすべて調整されています。企業は現行の安全ラベルと新基準との差異を1項目ずつ照合し、ラベルとSDSの情報の一致性を維持する必要があります。
- 組み合わせ包装とキット(套件)ラベル設定の核査: 組み合わせ包装の内装・外装の双方に安全ラベルを貼り付け、吊り下げ、または印刷する必要があります。キット商品の外包装はスペースの大きさに応じて3つのパターンで設定することとされており、キット全体の最小要素にはピクトグラムが含まれていることを確保必要があります。
- 提案されている12か月間の移行期間を活用して在庫ラベルの消化:12か月の期間を利用して既存ラベルの在庫を消化・更新しつつ、国際貿易におけるデジタルラベルの動向に継続して留意してください。安全情報コードは今回の承認申請案には組み込まれませんでしたが、EU CLP規制では既にデジタルラベルが導入されており、米国HCSも継続的に更新されているため、輸出化学品は依然として出荷先国の要求を満たす必要があります。
CIRSのサービス
CIRSでは、化学品製造、輸入および販売企業向けにラベルおよびSDSに関連する以下のサポートを提供しております。:
- SDS作成・改訂サービス
- GHSラベル作成・レビューサービス
- 危険特性の分類・鑑定
- 危険化学品および危険貨物コンプライアンス研修
- コンプライアンス評価レポートの作成
- コンプライアンス各種に関するコンサルティングサービス。
詳細情報:https://www.miit.gov.cn/jgsj/kjs/jscx/bzgf/art/2026/art_1070cfbb85094144b2a15e8e316bae8a.html
