2020年12月1日、中国国家市場監督管理総局は「保健食品原料目録 栄養素補助剤(2020年版)」(以下は、「2020版原料目録」と略称する)及び「保健食品表示可能な保健効能目録 栄養素補助剤(2020年版)」(以下は、「2020版効能目録」と略称する)を公表しました。関連した規制は2021年3月1日から施行されます。
「保健食品原料目録(一)」(以下は、「現行原料目録」と略称する)及び「保健食品表示可能な保健効能目録(一)」(以下は、「現行効能目録」と略称する)に比べて、この二つの新版規制の変更点は以下の通りです。
一、原料目録の変更点
- 1種の栄養素を増やします
「現行原料目録」に比べて、「2020版原料目録」中の栄養素種類は22種から23種までに増え、「β-カロチン」を増やします。「現行原料目録」に基づき、今回新増された「β-カロチン」は栄養素「ビタミンA」の化合物源の一種です。「2020版原料目録」に基づき、「β-カロチン」は栄養素「ビタミンA」の化合物源の一種でありながら、一類の栄養素として補充可能です。また、各種類の「β-カロチン」の国家標準根拠、適用範囲及び毎日使用量なども規定します。
原料名称 | 毎日食用量 | |||||||
栄養素 | 化合物名称 | 標準根拠 | 適用範囲 | 機能成分 | 適合対象者 | 最低値 | 最高値 | 効能 |
β-カロチン | β-カロチン | 「GB 8821 -2011 食品安全国家標準 食品添加剤 β-カロチン」 | 大人 | β-カロチン(mg) | 大人 | 1.5 | 5 | β-カロチン補充 |
「GB 28310 – 2012食品安全国家標準 食品添加剤 β-カロチン(発酵法)」 | 大人 | 大人 | 1.5 | 5 | ||||
「GB 31624 -2014食品安全国家標準 食品添加剤 天然カロチン」 | 大人 | 大人 | 1.5 | 7 | ||||
衛生衛計委2012年第6号公告 | 大人 | 大人 | 1.5 | 5 |
- 8種の栄養素は化合物源を増やします
「現行原料目録」に比べて、「2020版原料目録」中の8種の栄養素は化合物源を増やします。具体的な状況は以下の通りです。
栄養素 | 新増の化合物名称 | 標準根拠 | 適用対象者 |
カルシウム | クエン酸リンゴ酸カルシウム | 「GB 1903.18 – 2016 食品安全国家標準 食品栄養強化剤 クエン酸リンゴ酸カルシウム」 | 4歳以上の対象者 |
マグネシウム | グルコン酸マグネシウム | 「GB 1903.29 – 2018 食品安全国家標準 食品栄養強化剤 グルコン酸マグネシウム」 | 全ての対象者 |
カリウム | グルコン酸カリウム | 「GB 1903.41 – 2018 食品安全国家標準 食品栄養強化剤 グルコン酸カリウム」 | 全ての対象者 |
鉄 | ピロリン酸鉄 | 「GB 1903.16 – 2016 食品安全国家標準 食品栄養強化剤 ピロリン酸鉄」 | 全ての対象者 |
クエン酸鉄 | 「GB 1903.37 – 2018 食品安全国家標準 食品栄養強化剤 クエン酸鉄」 | 全ての対象者 | |
クエン酸第一鉄ナトリウム | 国家衛生健康委員会2018年第8号公告 | 全ての対象者 | |
亜鉛 | 酢酸亜鉛 | 「GB 1903.35 – 2018 食品安全国家標準 食品栄養強化剤 酢酸亜鉛」 | 全ての対象者 |
塩化亜鉛 | 「GB 1903.34 – 2018 食品安全国家標準 食品栄養強化剤 塩化亜鉛」 | 全ての対象者 | |
セレン | セレン化カラギーナン | 「GB 1903.23 – 2016 食品安全国家標準 食品栄養強化剤 セレン化カラギーナン」 | 4歳以上の対象者 |
セレノプロテイン | 「GB 1903.28 – 2018 食品安全国家標準 食品栄養強化剤 セレノプロテイン」 | 4歳以上の対象者 | |
コリン | 塩化コリン | 「GB 1903.36 – 2018 食品安全国家標準 食品栄養強化剤 塩化コリン」 | 全ての対象者 |
パントテン酸 | D-パントテン酸ナトリウム | 「GB 1903.32 – 2018 食品安全国家標準 食品栄養強化剤 D-パントテン酸ナトリウム」 | 全ての対象者 |
- 5種の化合物は標準根拠を増やします
「現行原料目録」に比べて、「2020版原料目録」中の5種の化合物は標準根拠を増やします。具体的な状況は以下の通りです。
栄養素 | 化合物名称 | 現行原料目録 | 2020版原料目録 |
鉄 | コハク酸第一鉄 | 国家薬品標準WS1-(X-005)-2001Z コハク酸第一鉄 | 国家薬品標準WS1-(X-005)-2001Z コハク酸第一鉄; 「GB 1903.38 – 2018 食品安全国家標準 食品栄養強化剤 コハク酸第一鉄」 |
セレン | セレン酵母 | 国家薬品標準WS1-(x-005)-99Z セレン酵母 | 国家薬品標準WS1-(x-005)-99Z セレン酵母; 「GB 1903.21 – 2016 食品安全国家標準 食品栄養強化剤 セレン酵母」 |
ビタミンA | 酢酸レチノール | 「GB 14750 – 2010 食品安全国家標準 食品添加剤 ビタミンA」 | 「GB 14750 – 2010 食品安全国家標準 食品添加剤 ビタミンA」; 「GB 1903.31 – 2018 食品安全国家標準 食品栄養強化剤 酢酸レチノール」 |
ビタミンB1 | 硝酸チアミン | 中国薬局方 硝酸チアミン | 中国薬局方 硝酸チアミン; 「GB 1903.20 – 2016 食品安全国家標準 食品栄養強化剤 硝酸チアミン」 |
ビオチン | D-ビオチン | 国家薬品標準 WS-10001-(HD-1052)-2002 D-ビオチン | 国家薬品標準 WS-10001-(HD-1052)-2002 D-ビオチン; 「GB 1903.25 – 2016 食品安全国家標準 食品栄養強化剤 D-ビオチン」 |
- 3種の化合物は標準根拠を更新します
栄養素 | 化合物名称 | 現行原料目録 | 2020版原料目録 |
カルシウム | 酢酸カルシウム | 「GB 15572 -1995 食品添加剤 酢酸カルシウム」 | 「GB 1903.15 – 2016 食品安全国家標準 食品栄養強化剤 酢酸カルシウム」 |
クエン酸カルシウム | 「GB 17203 -1998 食品添加剤クエン酸カルシウム」 | 「GB 1903.14 – 2016 食品安全国家標準 食品栄養強化剤 クエ酸カルシウム」 | |
亜鉛 | クエン酸亜鉛 (三水和物) | 衛生衛計委2013年第9号公告 | 衛生衛計委2013年第5号公告 |
- ビタミンK2の効能成分計算方式を修訂します
栄養素 | 化合物名称 | 現行原料目録 | 2020版原料目録 |
ビタミンK | ビタミンK2(発酵法) | ビタミンK(フィロキノンの量で計算する、µg) | ビタミンK2(7-メナジオンの量で計算する、µg) |
二、保健効能目録の変更点
- 15種のビタミン・ミネラルは保健効能釈義を増やし、保健食品ラベルに表記可能
「現行効能目録」に比べて、「2020版効能目録」は15種のビタミン・ミネラルの保健効能釈義を増やします。
類別 | 栄養素名称 |
保健効能釈義を増やした15種の栄養素 | カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン(ナイアシンアミド)、葉酸、ビタミンC、パントテン酸、ビタミンE |
まだ保健効能釈義がない8種の栄養素 | ビオチン、コリン、カリウム、マンガン、セレン、銅、ビタミンK、β-カロテン |
保健効能釈義は現行の「GB 28050 – 2011 食品安全国家標準 包装済み食品栄養ラベル通則」付録Dの内容要求に従って表記しなければなりません。保健食品ラベルに釈義中の1種又は多種の栄養成分効能表示の標準用語を使用することができます。効能表示用語に対していかなるの修正、追加、または組み合わせをしてはいけません。
具体的な効能表示用語は以下の通りです。
保健効能 | 釈義 |
カルシウム補充 | カルシウムは人体の骨と歯の主要構成部分であり、多くの生理機能にはカルシウムの参与が必要である。 カルシウムは骨と歯の主要成分であり、骨密度を維持する。 カルシウムは骨と歯の発育に役立つ。 カルシウムは骨と歯を固くする。 |
マグネシウム補充 | マグネシウムはエネルギー代謝、組織形成と骨発育の重要成分である。 |
鉄補充 | 鉄は赤血球形成の重要成分である。 鉄は赤血球形成に必須の元素である。 鉄はヘモグロビンの生成に必須である。 |
亜鉛補充 | 亜鉛は児童の成長発育に必須の元素である。 亜鉛は食欲の改善に役立つ。 亜鉛は皮膚の健康によい。 |
ビタミンA補充 | ビタミンAは暗視力の維持に役立つ。 ビタミンAは皮膚と粘膜の健康維持に役立つ。 |
ビタミンD補充 | ビタミンDはカルシウムの吸収を促進させる。 ビタミンDは骨と歯の健康に役立つ。 ビタミンDは骨の形成に役立つ。 |
ビタミンB1補充 | ビタミンB1はエネルギー代謝に欠かない成分である。 ビタミンB1は神経システムの正常的な生理機能の維持に役立つ。 |
ビタミンB2補充 | ビタミンB2は皮膚と粘膜の健康維持に役立つ。 ビタミンB2はエネルギー代謝に欠かない成分である。 |
ビタミンB6補充 | ビタミンB6はタンパク質の代謝と利用に役立つ。 |
ビタミンB12補充 | ビタミンB12は赤血球の形成に役立つ。 |
ナイアシン補充 | ナイアシンは皮膚と粘膜の健康維持に役立つ。 ナイアシンはエネルギー代謝に欠かない成分である。 ナイアシンは神経システムの健康維持に役立つ。 |
葉酸補充 | 葉酸は胎児の脳と神経システムの正常発育に役立つ。 葉酸は赤血球の形成に役立つ。 葉酸は胎児の正常的な発育に役立つ。 |
ビタミンC補充 | ビタミンCは皮膚と粘膜の健康維持に役立つ。 ビタミンCは骨、歯肉の健康維持に役立つ。 ビタミンCは鉄の吸收を促進させる。 ビタミンCは抗酸化の効果がある。 |
パントテン酸補充 | パントテン酸はエネルギー代謝と組織形成の重要成分である。 |
ビタミンE補充 | ビタミンEは抗酸化の効果がある。 |
- 保健効能備考に「β-カロチン補充」を増やします
「現行効能目録」に比べて、「2020版効能目録」中の保健効能は変更がありませんが、保健効能備考に「β-カロチン補充」を増やします。これは、「2020版原料目録」に増やされた新規栄養素「β-カロチン」と一致します。
CIRSの考え
「現行原料目録」に比べて、「2020版原料目録」は、1種の栄養素(β-カロチン)を増やし、8種の栄養素は化合物源を増やし、5種の化合物は標準根拠を増やします。製造企業選択可能な製品原料及び原料サプライヤーは多くなります。また、「2020版効能目録」は保健効能に対する釈義を追加し、企業は保健食品ラベルに釈義中の1種又は多種の栄養成分効能表示の標準用語を使用することができます。製品の宣伝に積極的な意義があると考えております。