生態環境部「新化学物質環境管理登記指南」を正式公布 2021年1月1日施行
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2020年1117日、生態環境部は『「新化学物質環境管理登記指南」並びに関連附属表及び記入説明の公布に関する公告』(2020年第51号公告)を発表しました。「新化学物質環境管理登記指南」の公布に従い、中国での新化学物質環境管理業務が新たな段階に入ったことを示しています。

7号令と比較して、12号令には、新規化学物質の管理要点、登記類型及び要件、登記後の追跡管理などの内容が改訂されます。「新化学物質環境管理登記指南」(以下、「指南」と略称する)は、12号令の関連規定を細分化させ、具体的な実施要求を明確にさせ、新化学物質環境管理登記業務を展開する企業に重要な指導を提供します。

「指南」には、登記範囲、登記類型、登記流れ、申請資料の要求、ポリマーに関する特別規定、新用途環境管理登記、再登記、登記証の変更・撤回・取り消し、登記後の追跡管理などの内容が含まれます。新化学物質環境管理登記の要求を規範化させ、申請者及び代理人が責任と義務を果たすための指導を行います。

一、登記の範囲

1. 「中国現有化学物質名録」に収載され、且つ新用途環境管理が実施される化学物質について、許可用途以外の他の工業用途に使用する場合には、新規化学物質として環境管理を行うべきです。

2. 医薬品、農薬、動物用医薬品の原料は「弁法」に適用されません。ただし、他の工業用途に使用され、且つ新化学物質である場合、新化学物質環境管理登記を行わなければなりません。

3. 特定の機能を持つ製品或は調剤、例、接着剤、キレート剤、凝集剤、表面処理剤など、特定の機能を発揮するための化学反応により生成した化学物質について、新化学物質環境管理登記が免除されます。

4. 特定類別物質の登記要件が調整されます。新規化学物質は、純物質あるいは混合物に関わらず、登記を行うべきです。

5. 結晶性水和物の免除が追加されます。無水物の化学物質が「中国現有化学物質名録」に収載された又は登記された場合、その水和物は同等のものとして扱います。

二、登記類型及び特殊な形式

記類型

通常登記

簡易登記

届出

登記条件

年間の生産量又は輸入量が10トン以上

年間の生産量又は輸入量が1トン以上10トン未満

1年間の生産量又は輸入量が1トン未満、或は

2)新規化学物質モノマー又は反応体の含有量が2%未満のポリマー又は低懸念ポリマー、且つポリマー届出の排除状況に該当しない

通常登記、簡易登記および届出の3種類があり、各種類により申請条件が異なります。簡易登記を行った新規化学物質は、通常登記の要求事項に従い新化学物質環境管理登記を行うことが可能であり、登記証の再発行を申請します。

通常登記及び簡易登記の特殊な形式として、系列登記、連合登記を行うことができます。系列登記を行う新規化学物質の数量は6つを超えてはいけません。また、各新規物質ごとに中国語・英語名称、CAS番号、分子式、構造式等の識別情報、全ての物理化学特性データ、用途及び申請登記の数量を提出すべきです。毒性データ及び生態毒性データについては、複数の新規化学物質の試験データで構成できますが、同じデータを少なくとも1つ提出すべきです。

7号令と比較して、12号令には重複登記、登記量級を増加する再登記などの特殊形式はありません。

三、技術審査と抽出検査

1. 固体廃棄物及び化学品管理技術中心は、通常登記の申請資料に対して、専門家委員会を組織し、技術審査を実施し、意見を提出します。

2. 固体廃棄物及び化学品管理技術中心は、簡易登記の申請資料に対して技術審査を実施し、意見を提出します。

3. 以下状況のいずれか一つに該当する場合、技術審査を通過させません。

登記類型

審査を通過しない状況

通常登記、簡易登記

登記申請の過程において真実状況を隠蔽し、虚偽が含まれていること

通常登記、簡易登記

6ヶ月以内に関連資料を補足しないこと

通常登記、簡易登記

資料を補足した後も、物質の名称又は識別情報、環境リスク評価報告(通常登記)、試験報告書或は申請資料には、重大な誤り、重大な欠陥又は重大な品質問題が残っていること

通常登記

環境リスク評価を行う場合、不合理な環境リスクが発見されること

通常登記

高危害化学物質の申請活動の要求事項に適合しないこと

簡易登記

難分解性で生物蓄積性及び長期毒性を有する申請物質

簡易登記

環境へのリスクを累積する可能性があること

情報保護の必要性

情報保護の必要性説明に関する資料が不十分であることが判明した場合、関連情報を保護しないよう建議すること

4. 申請者が完全な届出資料を提出した後、オンライン登記システムは自動的に届出受理書を送信します。申請者は、届出の内容に応じて、新化学物質の関連活動を展開することができます。固体廃棄物及び化学品管理技術中心は、届出資料に対してランダム検査を行います。

検査を経て、届出条件に合致していなく、通常登記や簡易登記を行う必要がある場合、届出を取り消します。申請者は相応の法律責任を負い、12号令に従って新化学物質環境管理通常登記又は簡易登記を行わなければなりません。

四、データの出所、試験機関及び試験方法

1. 申請データは最低限必要なデータとその他のデータからなります。最低限必要な基本データは、試験報告書により得られるべきです。最低限必要な特殊データは、主に試験報告書により得られるべきです。その他のデータは、優先的に試験報告書から得られるべきです。試験を行うことができない場合、非試験データの利用も可能です。

2. 域内の試験機関は法に基づき関連資格を取得し、GLP基準を遵守しなければなりません。域外の試験機関により提出された物理化学特性データは、主管部門の管理要求又はGLP基準に適合していることが要求されます。毒性データ又は生態毒性データを提出する試験機関は、国際的に認められたGLP基準に適合していることが要求されます。

3. 非現行有効の試験方法で提出された試験報告書について、同試験方法の変更が満5年超となったが、申請者は依然として有効だと判断した場合、新旧試験方法を比較し、試験報告書の信頼性、関連性及び科学性に関する評価を行うべきです。技術審査によって、危害評価の要求に適合しない場合、申請者は変更後の試験方法に基づき新たな試験を行うべきです。

五、最低限必要なデータ

1. 通常登記及び簡易登記の申請者は、登記類型に基づき、最低限必要なデータを提出しなければなりません。基本データと特殊要求のデータに分けられます。すべての新規化学物質は基本データを提出しなければなりません。難分解性、生物蓄積性を有する物質について、登記類型に基づき、特殊要求のデータの提出が求められます。

2. 簡易登記の最低限必要なデータ:物理化学特性、難分解性、生物蓄積性、水性環境急性有害性に関する基本データ。

難分解性及び生物蓄積性を有する新規化学物質は、水性環境慢性有害性に関する特殊要求のデータを提出しなければなりません。

3. 通常登記の最低限必要なデータ:物理化学特性、毒性、生態毒性に関する基本データ。

難分解性又は生物蓄積性を有する新規化学物質は、毒性、生態毒性に関する特殊要求のデータを提出しなければなりません。

六、高危害化学物質の判定基準

高危害化学物質とは、難分解性(P)、生物蓄積性(B)並びに毒性(T)を有する物質、極めて難分解性(vP)で高い生物蓄積性(vB)を有する物質、及び同程度の悪影響を及ぼす可能性のある物質を指します。

「指南」では、高危害化学物質の判定基準が明確化されました。申請者は通常登記又は簡易登記の基本データに基づき、PBT物質の判定基準又は選別基準に従い評価を行います。PBT性質を有する可能性がある物質について、PBT性質を有する物質とみなすべきです(さらに多くのデータが提出できる場合を除く)。

七、リスク評価報告の要求

「指南」では、新規化学物質環境リスク報告の作成要求を明確にしました。7号令と比較して、より一層高い要求が提出されます。危害評価、ばく露評価、環境リスク判定に関する定量的評価や詳細な参考が提出されます。経口ばく露、且つ難分解性や生物蓄積性を有する新規化学物質については、捕食動物(二次中毒)の環境リスク評価を行うことが推奨されます。

主管部門は、環境及び健康危害評価、ばく露評価、リスク判定及び不確実性分析等に関する技術導則、ばく露評価モデルツールを発布する予定です。

八、社会経済効益分析報告の要求

申請者は、高危害化学物質の通常登記と新用途環境管理登記を行う場合、社会経済効益分析報告を提出しなければなりません。

社会経済効益分析の目的は、高危害化学物質申請活動の必要性を実証することです。活動の必要性には、高危害化学物質を使用する経済的及び社会的利益が人の健康と環境へのリスクを超えることが含まれます。同時に、使用されている化学物質と比較して、高危害化学物質を使用する経済的及び社会的利益、及び人の健康と環境へのリスクには、相当又は明らかな利点があります。

「指南」では、社会経済効益分析報告の作成原則、作成要求、報告形式及び内容要求などを詳しく説明します。申請者は関連技術単位を委託し、社会経済効益分析報告を作成することができます。申請単位は社会経済効益を分析する技術能力を有する場合、自ら社会経済効益分析報告を作成することができます。

九、情報保護及び必要性に関する説明資料の要求

申請者は通常登記、簡易登記又は届出を行う際、提出した申請資料において商業秘密に係る情報がある場合、情報保護の申請を提出すべきです。登記又は届出資料を提出する際、情報保護の申請を提出しない場合、後続の申請は不可です。

情報保護が必要であれば、情報保護の必要性に関する説明資料を提出すべきです。情報保護を申請する声明書、具体的な保護欄目及び保護期間、公衆に知られる状況に関する説明書、保護情報の商業的価値及び申請者が講じた情報保護措置などが含まれます。

届出を行う場合、主管部門は物質の識別情報を開示しないため、識別情報を保護する必要性説明資料を提出する必要はありません。

物質名などの識別情報の保護期間は、登記日又は届出日から5年を超過してはいけません。その他の情報の保護期限は、批准日から申請を撤回する日までの期間であり、或は環境、健康の公共利益に重大な影響を及ぼす恐れがある場合、国務院生態環境主管部門が法に基づき公開する日までの期間です。 

7号令に従い、すでに登記証を取得した化学物質、並びに12号令を施行する前にすでに「中国現有化学物質名録」に収載され、且つ識別情報の保護が実施された物質について、情報保護の最大期限は、20251231日までです。

十、ポリマー届出の排除状況

新規化学物質モノマー又は反応体の含有量が 2%未満のポリマー又は低懸念ポリマー、且つポリマー届出の排除状況に該当しない場合、届出を申請することができます。

  • カチオンポリマー又は水環境でカチオンポリマーになるポリマー
  • 分解しやすいポリマー又は不安定なポリマー
  • 数平均分子量≥10,000ダルトンの吸水性ポリマー
  • パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸或はフッ素テロマー構造フラグメントを含むフッ素化ポリマー、及び炭素又は硫黄原子が共有結合するパーフルオロアルキル基構造フラグメントを含むフッ素化ポリマー
  • 不純物の以外、その他の元素を含むポリマー

届出条件に合致しないポリマーについて、申請者は通常登記又は簡易登記を行うべきです。同時に以下の3つの条件を満たす場合、毒性データ、生態毒性データ及び環境リスク評価報告の免除が申請できます。

  • ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム以外のその他の金属を含有しないこと
  • 水、親油性溶剤(オクタノール、ヘプタン)及び通用溶剤(テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド)に不溶であること
  • 酸性、アルカリ性条件下で安定性があること、即ちpH 4.0、7.0、9.0と1.2(生理上重要であれば)の条件下で行われる安定性評価の結果は安定性であること

十一、新用途登記及び再登記

「指南」の規定により、通常登記の形式に従って新用途環境管理登記の申請資料を提出し、通常登記の手順に基づき手続を行います。新用途環境管理登記の申請者は、新用途環境管理登記の申請表、当該物質の新規用途の環境ばく露評価報告及び環境リスク管理制御措置を提出すべきです。高危害化学物質の場合、社会経済効益分析報告の提出が求められ、申請登記用途の必要性を十分に論証します。

通常登記の登記証を取得した新規化学物質は、「中国現有化学物質名録」に収載される前に、次に掲げるいずれかに該当する場合、登記証所持人は改めて登記を行わなければなりません。

  • 実際に生産又は輸入数量が申請登記数量を超過する場合
  • 輸入から生産に変更する場合
  • 申請用途を変更しようとする場合
  • 環境リスク管理措置を変更しようとする場合
  • 環境リスクを増大させる場合(例、工芸条件、生産場所、環境管理要求の変更など)

十二、登記後の追跡管理

1. 初回活動状況報告登記証所持人或は指定代理人は、初回の生産活動から60日以内、又は初回に輸入し加工・使用者に移送してから60日以内に、初回活動状況報告を提出しなければなりません。

2. 年度報告通常登記の登記証に環境管理要求に基づき年度報告書の提出が記載された場合、登記証所持人は登記日の次年度から、毎年430日までに、新規化学物質の年度報告書を提出しなければなりません。

3. 情報公開通常登記の生産者又は加工使用者は、初回活動を行った後、環境リスク管理制御措置及び環境管理要求の実施状況を公式サイト、或はその他の公衆が認知しやすい形で公開し、随時更新しなければなりません。

4. データ保存 新規化学物質の研究者、生産者、輸入者及び加工使用者は、新規化学物質の活動状況の記録制度を確立すべきです。申請者が代理人を指名する場合、中国域内の代理人によって新規化学物質の活動記録及びデータ保存の義務を履行しなければなりません。通常登記及び簡易登記に関する資料は10年以上を保管し、届出の資料は3年以上を保管し、主管部門のランダム検査を受け入れます。

5. 「指南」において、新規化学物質は「中国現有化学物質名録」に収載する申請手順と要求資料をさらに明確化しました。20031015日前に、すでに中国域内で生産、販売、加工使用又は輸入された化学物質について、申請者はオンライン登記システムを通じて増補申請表及び関連証明資料を提出することができます。増補要求に合致する場合、生態環境部は「中国現有化学物質名録」への増補収載を公告します。

6. 12号令に従って通常登記を行った、初回の登記日から満5年で、主管部門は「中国現有化学物質名録」への収載を公告します。7号令に従って通常申告を行った、初回活動を行った日から満5年或は12号令の施行から満5年が経過したら(どちらか早い方の時点で)、主管部門は「中国現有化学物質名録」への収載を公告します。旧17号令に従って申告を行った、12号令の実施日から6ヶ月以内に、主管部門は「中国現有化学物質名録」への収載を公告します。

7. 情報保護が許可され、「中国現有化学物質名録」へ収載する場合、申請者は保護期間を延長する申請の提出が可能です。登記証所持人は、保護期間満了の6ヶ月前に、主管部門に必要性説明資料を提出すべきです。情報保護の期間を最長5年に延長します。

まとめ

7号令と比較すると、12号令は管理制御の重点、登記類型、申請資料の要求、登記後の追跡管理などの内容が全面的に改訂されました。企業の新化学物質環境管理の業務に影響を与えるので、申告データの要求、申告期間の管理、事中事後の監督管理などに注意が必要です。

12号令に付属する規範性文書として、「指南」では、12号令における登記の管理範囲、登記類型、データ要求、危害評価、環境リスク評価、社会経済効益分析、新用途環境管理登記、登記後の追跡管理などに関する内容がさらに細分化されます。また、関連フォームと書式が提供され、企業の新化学物質環境管理登記にとって重要な参考文書となります。


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