一、立法のマイルストーン:法典が正式に採択
2026年3月12日、第14回全国人民代表大会第4回会議において「中華人民共和国生態環境法典」(以下「法典」)が正式に可決され、新華社通信より全文が公開されました。これは中国において「法典」と命名された2番目の法律であり、生態環境分野における基礎的かつ総合的な法体系が歴史的な節目として確立されることとなります。
本法典は全5編で構成されており、第2編第9分編「化学物質汚染リスク管理、電磁放射線および光汚染防止」の第34章において、化学物質汚染のリスク管理に関する独立した章が設けられました。これにより、「新規化学物質の環境管理登録制度」が初めて法典レベルに組み込まれました。
二、法典における新規化学物質に関する核心条項
(一)登録制度の確立(第650条)
国は新規化学物質環境管理登録制度を実施。新規化学物質を製造・輸入する企業および公的機関は、製造・輸入を開始する前に、国務院生態環境主管部門に対して新規化学物質の環境管理登録を申請しなければなりません。
本法典は「登録後の生産/輸入」という原則を法律形式で確立し、新規化学物質登録制度に最高の法的効力を付与しています。
(二) 3つの禁止規定(第651条)
本法典は次の三つの禁止事項を明記しています:
- 登録証を取得せずに新規化学物質を生産・輸入すること。
- 登録証の内容に従わずに新規化学物質を製造・輸入すること。;
- 登録未取得の企業が製造・輸入した新規化学物質を製品に使用すること。
三、罰則規定(第1206条および第1207条)
表1:違法行為および罰則規定
違法行為 | 法典条項 | 初回/是正命令時 | 是正拒否時 | 悪質な違反と認定された場合 |
登録証の要件に従わない製造・輸入 | 第1206条 | 20万~100万元の罰金 | 100万~200万元の罰金 + 生産制限・操業停止 | 登録証の取り消し + 営業停止・閉鎖 |
無登録での製造・輸入、または未登録物質の使用 | 第1207条 | 20万~100万元の罰金 | 100万~200万元の罰金 + 生産制限・操業停止 | 営業停止・閉鎖 |
四、「新規化学物質環境管理登録弁法」(12号令)との比較分析
表2:法典と12号令の核心内容の比較
比較項目 | 生態環境法典 (2026年施行予定) | 生態環境部 第12号令 (現行、2021年) |
法的レベル | 全国人民代表大会による立法 (法律レベル) | 部門規章 (省令レベル) |
最高罰金額の上限 | 200万元 | 3万元 |
処罰手段 | 罰金、生産制限、操業停止、登録証取消、事業停止、閉鎖命令 | 罰金、信用ブラックリストへの反映、登録申請の受理停止 |
監督主体 | 多部門の連携 (9以上の部門) | 主に生態環境主管部門 |
制度体系 | ライフサイクル全般を網羅する枠組み | 登録行為に関する個別規定 |
罰則の差異分析:
現行の生態環境部12号令(2021年施行)では、「法律責任」の章(第46条〜第51条)における罰金の上限がわずか3万元に留まっていました。また、主な処罰手段も罰金に加え、信用ブラックリストへの反映、登録申請の受理停止といった行政的な制限が中心でした。
一方、今回の法典では最高罰金額が200万元へと大幅に引き上げられただけでなく、操業停止整備や営業停止、閉鎖命令といった強力な罰則が追加されました。これにより、これまでの「違法コストが低い」という制度的欠点が効果的に解消され、違反の程度に応じた厳格な処罰メカニズムが確立されました。
五、CIRSのアドバイス
本法典は2026年8月15日より正式に施行され、関連する実施細則なども順次改正される見通しです。関連企業様には以下の対応を推奨いたします:
- 登録状況の再点検:既存の新規化学物質が有効な登録証を取得しているか、登録条件に変更がないかを改めて確認することをお勧めします
- サプライヤー審査体制の確立:川下企業は、購入する新規化学物質のサプライヤーが適切な登録資格を有しているか、デューデリジェンスを実施する必要があります
- 新製品登録の早期計画:新製品の研究開発や輸入計画の初期段階に、登録申請プロセスを組み込んでください。
- 関連法規制の改訂の動向注視:現在「化学物質環境リスク管理条例」の策定が急がれており、12号令や関連行政法規も法典に合わせて改正される見込みです。
