2022年全年、中国国家衛生健康委員会(NHC)は「三新食品」の形式で3件の公告(2022年第1号、2022年第2号、2022年第5号)を公布し、新食品原料、新規食品添加物、新規食品接触物質を含む総計75件の新規物質を認可しました。中に、新食品原料は5件あります。
また、中国国家衛生健康委員会(NHC)の審査終止目録によりますと、2022年全年に新規収載する審査終止の食品原料は3件あります。
あと、中国国家衛生健康委員会(NHC)および中国国家食品安全リスク評価センター(CFSA)の公開情報によりますと、2022年全年、中国NHCは総計14件の新食品原料登録申請を受理し、総計3件の新食品原料社会意見募集稿(パブリックコメント)を発表しました。その同時、以前に受理した3件の新食品原料に対し、「不認可」の決定を発行します。
CIRSは2022年全年中国新食品原料の受理状況および審査認可状況を紹介します。
1. 2022年全年に登録申請を受理した新食品原料(14件)
2022年全年、中国NHCは輸入原料3件、国産原料11件を含む総計14件の新食品原料登録申請を受理しました。それぞれの技術審査状態および一部の審査結果は以下の通りです。
NO. | 受理時間 | 受理番号 | 名称 | 技術審査状態(2022年年末まで) |
1 | 2022.01.17 | 卫食新申字(2022)第0001号 | 瀘州古藺赶黄草 | 既に審査終止目録に収載した |
2 | 2022.03.17 | 卫食新申字(2022)第0002号 | (3R,3’S)-ジヒドロキシ-β-カロテン | まだ社会意見募集を開始しない |
3 | 2022.03.29 | 卫食新进申字(2022)第0001号 | マキベリーエキス | まだ社会意見募集を開始しない |
4 | 2022.04.24 | 卫食新申字(2022)第0003号 | 瓜蒌仁 | 既に審査終止目録に収載した |
5 | 2022.05.07 | 卫食新申字(2022)第0004号 | 桃膠 | まだ社会意見募集を開始しない |
6 | 2022.05.23 | 卫食新申字(2022)第0005号 | 馬尾松松針 | まだ社会意見募集を開始しない |
7 | 2022.06.06 | 卫食新申字(2022)第0006号 | 文冠果葉 | まだ社会意見募集を開始しない |
8 | 2022.06.09 | 卫食新申字(2022)第0007号 | 赤糖フラクトオリゴ糖 | まだ社会意見募集を開始しない |
9 | 2022.07.26 | 卫食新申字(2022)第0008号 | 酵母プロテイン | まだ社会意見募集を開始しない |
10 | 2022.08.11 | 卫食新申字(2022)第0009号 | ペリプロカ葉 | まだ社会意見募集を開始しない |
11 | 2022.08.12 | 卫食新进申字(2022)第0002号 | D-プシコース | まだ社会意見募集を開始しない |
12 | 2022.09.05 | 卫食新申字(2022)第0010号 | ショクヨウガヤツリ/タイガーナッツ | まだ社会意見募集を開始しない |
13 | 2022.09.14 | 卫食新进申字(2022)第0003号 | 桜花エキス | まだ社会意見募集を開始しない |
14 | 2022.09.19 | 卫食新申字(2022)第0011号 | ビフィドバクテリウム・ラクティスBLa80 | まだ社会意見募集を開始しない |
2. 2022年に社会意見募集(パブリックコメント)を開始した新食品原料(3件)
2022年、総計3件の新食品原料はCFSAの技術審査を通過し、社会意見募集を開始しました。2022年年末まで、この3件の新食品原料は何れもまだ正式に認可していません。詳細は以下の通りです。
(1) アラビノキシラン(公告草案)
名称 | アラビノキシラン |
英語名称 | Arabinoxylan |
基本情報 | 構造式(断片): CAS NO.:9040-27-1 |
製造工程 | サトウキビバガス、小麦麸皮、トウモロコシ皮などのグラミナス植物を原材料として、前処理、食用アルカリ抽出、脱アルカリ化、濃縮、中和、沈殿、洗浄、浄化、乾燥などの工程で製造される。 |
摂取推奨量 | ≤15g/日(「85g/100g」のアラビノキシラン含有量で計算し、この含有量に超える場合は実際含有量に従って換算する) |
説明 | 1. 乳幼児、妊婦、乳母は不適用となり、ラベル及び説明書に不適用対象者を記載しなければならない。 2. 品質規格及び食品安全指標は公告草案にてご確認。 |
社会意見募集期日 |
(2) ロイコノストック・シュードメセンテロイデス(公告草案)
名称 | ロイコノストック・シュードメセンテロイデス |
ラテン名称 | Leuconostoc pseudomesenteroides |
説明 | 1. 使用範囲:発酵乳、チーズ、発酵型含乳飲料、乳酸菌飲料。 2. 使用可能な菌種として認可し、乳幼児食品に使用不可となる。 3. 食品安全指標は中国相関標準に合致しなければならない。 |
受理期日 | 2021年4月19日に受理し、受理番号は「卫食新进申字(2021)第0002号」となる。 |
社会意見募集期日 |
(3)β-ヒドロキシ-β-酪酸メチルカルシウム(公告草案)
名称 | β-ヒドロキシ-β-酪酸メチルカルシウム |
英語名称 | Calcium β-hydroxy -β-methyl butyrate(CaHMB) |
基本情報 | 構造式: 化学式:C10H18O6Ca•H2O 分子量:292 |
製造工程 | 次亜塩素酸ナトリウム、ジアセトンアルコール、塩酸、酢酸エチル、アルコール、水酸化カルシウムを主要原料として、酸化合成、酸性化、抽出、中和反応、遠心分離、乾燥などの工程で製造される。 |
摂取推奨量 | ≤6 g/日 |
説明 | 1)使用範囲:飲料、乳及び乳製品、カカオ製品、チョコレート及びチョコレート製品、キャンデー、ベーカリー製品、運動栄養食品、特殊医学用途調整食品。 2) 乳幼児、児童、妊婦及び授乳婦は不適用となり、ラベル及び説明書に不適用対象者及び摂取制限量を記載しなければならない。 3) 品質規格および食品安全指標は公告草案にてご確認。 |
受理期日 | 2020年6月15日に受理し、受理番号は「卫食新申字(2020)第0003号」となる。 |
社会意見募集期日 |
3. 2022年に正式認可した新食品原料(5件)
2022年全年、正式認可した新食品原料は総計5件あります。詳細は以下の通りです。
(1)カンザン桜花
名称 | カンザン桜花 |
英語名称 | Kanzan flower |
基本情報 | 由来:タデ科、サクラ亜科、サクラ属、カンザン桜(Cerasus serrulate ‘Sekiyama’)の花 食用部位:花 採集時期は蕾3/4以上から満開まで。 |
説明 | 1. 乳幼児、妊婦及び乳母は不適用となり、ラベル及び説明書に適用除外者を記載しなければならない。 2. 食品安全指標は中国現行食品安全国家標準中の「他の野菜製品」の規定に基づいて執行する。 |
受理期日 | 2021年1月25日に受理し、受理番号は「卫食新申字(2021)第0001号」となる。 |
社会意見募集期日 | |
正式認可期日 | 2022年3月1日に正式に認可され、認可公告は「2022年第1号」となる。 |
(2)ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩
名称 | ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩 |
英語名称 | Pyrroloquinoline quinone disodium(PQQ)salt |
基本情報 | CAS NO.:122628-50-6 分子式:C14H4N2Na2O8 分子量:374.17 構造式: |
製造工程 | 6-アミノ-5-メトキシインドール-1H-2-カルボン酸エチルエステル、ジメチル2-オキソグルタレートを原材料として、カップリング反応、ピリジン環形成、酸化反応、エステルの加水分解及び精製などの工程で製造される。 |
摂取推奨量 | ≤20 mg/日 |
品質要求 | 性状:赤色茶褐色粉末 ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩含有量(ドライベースの量で計算)/(g/100g):≥98.0 水分/(g/100g):≤12.0 |
説明 | 1. 使用範囲及び最大使用量:飲料(40 mg/kg、固体飲料は溶けた後の液体重量で換算) 2. 乳幼児、妊婦及び乳母は不適用となり、ラベル及び説明書に適用除外者を記載しなければならない。 3. ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩含有量、及び2種の不純物の試験方法は公告にてご確認。 4. 食品安全指標は以下の要求に合致しなければならない。 鉛Pb/(mg/kg):≤0.5 ヒ素As/(mg/kg):≤1.0 カドミウムCd/(mg/kg):≤0.1 水銀Hg/(mg/kg):≤0.1 不純物A(3-クロロ-4,5-ジオキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピロール[2,3-f] キノリン-2,7,9-トリカルボン酸/(g/100g):≤0.8 不純物B(4-ニトロ-5-メトキシ-1H -ピロール[2,3-f] キノリン-2,7, 9-トリカルボン酸)/(g/100g):≤0.5 |
受理期日 | 2021年3月8日に受理し、受理番号は「卫食新申字(2021)第0004号」となる。 |
社会意見募集期日 | |
正式認可期日 | 2022年3月1日に正式に認可され、認可公告は「2022年第1号」となる。 |
(3)コナミドリムシ
名称 | コナミドリムシ |
英語名称 | Chlamydomonas reinhardtii |
基本情報 | 種属:クラミドモナス科、クラミドモナス属 |
製造工程 | 藻種培養、発酵缶で培養拡大、スプレードライなどの工程で製造される。 |
品質要求 | 性状:緑色粉末 蛋白質含有量:≥30.0% 粗多糖含有量:≥10.0% |
説明 | 1. 乳幼児食品に使用不可となる。 2. 食品安全指標は中国現行食品安全国家標準中の「藻類及びその製品」の規定に基づいて執行する。 |
受理期日 | 2021年9月13日に受理し、受理番号は「卫食新申字(2021)第0011号」となる。 |
社会意見募集期日 | |
正式認可期日 |
(4)ビフィドバクテリウムロンガム亜種ロンガムBB536
名称 | ビフィドバクテリウムロンガム亜種ロンガムBB536 |
英語名称 | Bifidobacterium longum subsp.longum BB536 |
説明 | 1. 乳幼児食品に使用可能な菌種として認可する。 2. 食品安全指標は中国相関標準の要求に合致しなければならない。 |
受理期日 | 2021年5月18日に受理し、受理番号は「卫食新进申字(2021)第0003号」となる。 |
社会意見募集期日 | |
正式認可期日 | 2022年5月11日に正式に認可され、認可公告は「2022年第2号」となる。 |
(5) サトウキビポリフェノール
名称 | サトウキビポリフェノール |
英語名称 | Sugarcane Polyphenols |
製造工程 | サトウキビを原材料として、圧搾、濾過、抽出、余分な糖分と塩分の除去などの工程でサトウキビ糖蜜を取得し、水、アルコールを抽出溶剤として、濾過、真空濃縮、イオン交換、スプレードライなどの工程でサトウキビポリフェノール粉末を製造する。 または、濾過、真空蒸留などの工程でサトウキビポリフェノール液体を製造する。 |
摂取推奨量 | ≤1g/日(粉末)、≤10g/日(液体) (総ポリフェノール含有量が「200 g/kg」である粉末の摂取推奨量は「1g/日」となり、総ポリフェノール含有量が「14.8 g/kg」である液体の摂取推奨量は「10g/日」となり、上述含有量に超える場合は実際含有量に基づいて換算) |
説明 | 1. 乳幼児、妊婦及び乳母は不適用となり、ラベル及び説明書に適用除外者を記載しなければならない。 2. 品質規格及び食品安全指標は公告にてご確認。 |
受理期日 | 2021年5月18日に受理し、受理番号は「卫食新申字(2021)第0008号」となる。 |
社会意見募集期日 | |
正式認可期日 | 2022年5月11日に正式に認可され、認可公告は「2022年第2号」となる。 |
4. 2022年に審査終止した食品原料(3件)
2022年全年、審査終止目録に新規収載した原料は3件あり、関連した審査終止意見は以下の通りです。
現時点、審査終止目録に収載した原料は総計68件あります。新食品原料登録の申請企業にとって、「審査終止」中の「普通食品として管理」、「実質同等」及び「地方伝統食用習慣」という結果を取得したら、「認可取得」と同様です。
NO. | 原料名称 | 審査意見 | 受理期日および受理番号 |
1 | 瀘州古藺赶黄草 (後に「赶黄草」に名変えされた) | 国家衛生健康委員会2020年第4号公告に基づき、赶黄草は新食品原料として認可し、食用方式は「沖泡」となり、今回は飲料製品に拡大と申請する。提供の安全性評価資料に基づき、使用範囲を飲料に拡大と同意し、審査終止と提案する。赶黄草原料は、食用方式以外、他の指標は2020年第4号公告に従って執行する。 | 2022年1月17日に受理し、受理番号は「卫食新申字(2022)第0001号」となる |
2 | 瓜蒌仁 | 瓜蒌仁は既に「GB 19300 食品安全国家標準 ナッツ及び種子類食品」に収載した。食品原料として使用する時に「ナッツ及び種子類食品」に従って管理し、審査終止と提案する。 | 2022年4月24日に受理し、受理番号は「卫食新申字(2022)第0003号」となる |
3 | N-アセチルノイラミン酸(シアル酸) (後に「N-アセチルノイラミン酸」に名変えされた) | 本製品は、大腸菌(菌株番号はCASOV-09)を発酵菌種として、食品級ブドウ糖、とうもろこしのパルプなどの栄養物質を発酵原料として、菌体発酵、ろ過、滅菌、加水分解、超ろ過、脱色、除雑、納ろ過、濃縮、純化、乾燥、粉砕、篩い分けなどの工程で製造される。既に認可したN-アセチルノイラミン酸(元国家衛生与計画生育委員会2017年第7号公告)の製造工程とほぼ一致し、実質同等性がある。他の要求は既に公告認可したN-アセチルノイラミン酸の相関内容に従って執行し、食品安全指標は以下の内容に従って執行する。 アフラトキシンB1:≤5 μg/kg 鉛(Pb):≤0.8 mg/kg 水銀(Hg):≤0.2 mg/kg ヒ素(As):≤0.4 mg/kg 一般生菌数:≤1000 CFU/g 大腸菌群:≤0.6 MPN/g カビ:≤100 CFU/g 酵母:≤100 CFU/g サルモネラ菌:0/25g 黄色ブドウ球菌:0/25g | 2021年4月6日に受理し、受理番号は「卫食新申字(2021)第0007号」となる |
5. 2022年に「不認可」した食品原料(3件)
中国国家衛生健康委員会(NHC)の公開情報によりますと、2022年全年、中国NHCは総計3回の「不認可」決定を出します。詳細は以下の通りです。
NO. | 原料名称 | 受理時間 | 受理番号 | 審査過程および結論 |
1 | 牛樟芝菌糸体パウダー | 受理時間は遡られない | 卫食新进申字(2019) 第0002号 | 2022.02.18 行政許可不認可決定書 |
2 | イソマルトデキストリン | 2021.4.12 | 卫食新进申字(2021) 第0001号 | 2021.06.01 新食品原料審査意見告知書発出 2022.04.22 行政許可不認可決定書 |
3 | とうもろこし発酵物 | 2021.7.19 | 卫食新进申字(2021) 第0004号 | 2021.07.30 新食品原料延期通知書発出 2021.10.08 新食品原料延期通知書発出 2021.12.02 新食品原料延期通知書発出 2022.02.17 新食品原料審査意見告知書発出 2022.04.26 行政許可不認可決定書 |
まとめ
コロナの影響で、中国NHCおよび中国CFSAの公開情報は2022年9月以降にずっと更新無しの状況です。また、CIRSの統計結果から見ると、2022年全年に新食品原料社会意見募集の回数は総計3回あり、認可した新食品原料は総計5件あり、数量から見ると2021年全年(2021年全年に新食品原料社会意見募集の回数は総計6回あり、認可した新食品原料は総計8件ある)より少し減少します。コロナは申請企業の申請積極性、資料提出、及び中国当局の行政受理、審査認可などに影響あると見られます。
2022年新食品原料の全体状況から見ると、新食品原料分野に機能性原料の「姿」は目立つです。例えば、2022年に認可したPQQ二ナトリウム塩もサトウキビポリフェノールも、その申請提出から正式認可までの時間は何れも1年弱だけです。国民健康業界に対して国家政策の支持が見られます。「機能性食品」業界の発展勢いは凄まじくて、その市場規模の発展も迅速的です。これらの一定的な生理活性を有する食品原料、或は健康に有益的な食品原料は、新食品原料として認可すれば、普通食品市場への活用もでき、食品製品の創新にも推し進められます。詳しくについてはCIRSの分析文章「新食品原料は機能性食品業界に新チャンスを与える」にてご確認ください。
また、2022年8月25日に、中国国家衛生健康委員会は2022年第4号公告を公布し、「食品に使用可能な菌種リスト」および「乳幼児食品に使用可能な菌種リスト」を更新しました。リスト更新に関わる菌種分類および命名調整に対し、2年間の移行期間を設置します。移行期間以内に、新旧菌種名称は何れも使用できます。移行期間満了後、新しい菌種名称を使用しなければなりません。
新食品原料(新資源食品)は「三新食品」(新食品原料、新規食品添加物、新規食品接触物質)の一員として、その登録申請要求は最も複雑的であり、中国当局の審査も最も厳しいと言えます。最近数年の審査認可状況から見ると、機能性原料のような全新的な原料以外、使用範囲または製造工程などを拡大する為に、「既に認可した新食品原料」の「再申請」もよくあります。例えば、赶黄草使用範囲の飲料への拡大、新しい製造工程のN-アセチルノイラミン酸の認可、など。以上から見ると、これらの原料に対して中国当局の受け入れと承認も見られます。従いまして、原料が市場にての開発応用を加速実現する為に、申請意向有りの企業は十分的な研究開発資料および安全性評価資料を準備する同時に、速めに登録申請の準備を開始すべきだと考えております。
注:中国国家行政機構改革で各政府機関のウェブサイドはデータ移行中のため、データ統計する時は漏れる可能性があります。当文章の統計件数は参考までです。詳細は政府機関のウェブサイド情報をご確認ください。