2026年上半期EU食品添加物半年報:植物・微生物由来の申請が継続、複数物質の安全性再評価を実施
Source:

EU情報検索プラットフォーム「Open EFSA」の公開データ及び欧州委員会発行の規則文書をもとに、CIRSが2026年上半期のEU食品添加物(Food additive、以下FA)申請状況を集計・分析し、企業の規制対応参考資料としてまとめております。

2026年6月30日時点のEU FA全体審査状況概要は図1の通りです。

EU食品添加物,Food additive申請,EC承認,EFSA科学意見,レバウジオシド,アセスルファム

一、欧州委員会(EC)承認済み食品添加物

2026年6月30日までに、欧州委員会(EC)は計8件の食品添加物を承認し、いずれも既承認物質の修正申請となります。

規則(EC) No 1331/2008第3条(1)の規定により、食品添加物リストはECが自発的に更新するほか、企業または加盟国からの申請による更新も可能です。申請区分は下記2種類に分かれます。

1)新規食品添加物申請

2)既承認添加物の修正申請(規格更新・安全性再評価申請)

表1 2026年上半期EC承認済み食品添加物一覧

NO.

規則番号

承認日

物質名

申請区分

1

(EU) 2026/189

2026.01.28

シェラック(E 904)

修正申請

(規格更新)

2

(EU) 2026/196

2026.01.28

カラギーナン(E 407)

修正申請

(安全性再評価)

3

ローカストビーンガム(E 410)

4

グアーガム(E 412)

5

キサンタンガム(E 415)

6

アラビアガム

7

ペクチン(E 440)

8

オクテニルコハク酸デンプンナトリウム(E 1450)

二、EFSAへ申請ファイル受領・正式受理済み食品添加物

2026年上半期、欧州食品安全機関(EFSA)は計6件のファイルを受領(新規FA申請3件、既承認FA修正申請3件)、それに、5件を正式受理(新規FA申請1件、既承認FA修正申請4件)しました。ファイル受領と正式受理の両方に該当する物質は計4件、詳細は表2をご確認ください。

「ファイル受領=正式受理ではない」という点にご留意ください。EFSAはファイル受領後、資料の完全性・規制適合性事前審査を実施し、審査合格のみ正式受理となります。審査期間中、申請企業はEFSAからの質問回答・追加資料提出を求められる場合があります。

CIRSより企業へ提言:海外当局へ申請ファイルを提出する際は、科学的根拠の整備・資料の完全性を事前に厳格に確認する必要があります。資料不備による複数回の補正は審査官の評価低下につながり、審査全体の遅延を引き起こす要因となります。

表2 2026年上半期ファイル受領・正式受理済み食品添加物一覧

NO.

物質名

申請区分

申請機能

ファイル受領日

正式受理日

申請企業

1

キシリトール (E 967) 

修正申請

甘味料

2025.09.15

2026.04.02

Cargill R&D Centre Europe BVBA

2

ビーツレッド(E 162)

修正申請

着色料

2026.01.05

2026.05.22

Phytolon

3

木ロジングリセリド(E 445)

修正申請

乳化剤

2026.01.29

2026.05.22

Les Derives Resiniques et Terpeniques (DRT)

4

糖脂類(E 246)

修正申請

保存料

2026.02.10

2026.06.05

LANXESS Deutschland GmbH

5

バクテリオファージ Listex P100

新規FA申請

保存料

2026.03.22

2026.04.28

Micreos Food Safety B.V. / Phageguard

6

水溶性ローズマリー抽出物

新規FA申請

酸化防止剤

2026.06.15

未受理

Kalsec, Inc.

7

酵素転換法により生産されたレバウジオシドM

新規FA申請

甘味料

2026.6.26

未受理

Adorvia Biotechnology (Group) Co., Ltd.

三、EFSAが科学的評価意見書を公開した食品添加物

2026年上半期、EFSAは計9件の食品添加物に対し科学的評価意見書を発行しました。内訳は、新規FA申請が2件、既承認FA規格更新申請が1件、既承認FA安全性再評価が6件となります。

表3 2026年上半期EFSA科学的意見書公開済み食品添加物一覧

申請区分

物質名

評価結果・規格

公開日

修正申請

(規格更新)

酵素製造ステビオール配糖体(E 960c)

ADI:4 mg/kg 体重/日

申請された使用条件下で安全性上の問題なし

2026.01.09

修正申請

(安全性再評価)

アセスルファムK(E 950)

ADI:15 mg/kg 体重/日(従来の9 mg/kg 体重/日から改定)

報告された使用量範囲で安全性上の懸念なし

2026.02.26

酸素(E 948)

食品添加物としての使用に安全上の問題なし。既存規格にCAS番号を追加するよう規格改定を推奨

2026.03.05

水素(E 949)

アルゴン(E 938)

ヘリウム(E 939)

スクラロース(E 955)

ADI:15 mg/kg 体重/日(従来値据え置き)

既存用途では安全。新規用途「細かい焼成食品(FC 7.2)」への拡大については、焼成工程で塩素系化合物生成の不確実性が存在するため安全性結論を出せず

2026.03.09

新規FA申請

ブルーガルディエラ抽出物(着色料)

ADI:7 mg/kg 体重/日(C-フィコシアニン換算)

定められた使用量制限下で安全。必要量適宜使用方式での実曝露量データ不足のため、自由使用時の安全性について結論不可

2026.03.16

コーヒー果実由来ペクチン高含有抽出物(乳化・安定・増粘剤)

ADI設定不要

申請使用条件下で安全上の問題なし

2026.04.28

略語解説

ADI:許容一日摂取量(Acceptable Daily Intake)

BW:体重(Body weight)

FC:食品区分(Food categories)

CIRSまとめ

2026年上半期のEU食品添加物申請は活発な状況が継続しています。物質由来では、植物抽出物・微生物発酵由来素材の新規申請、生産菌株変更に伴う規格修正申請が急増しています。機能区分では、着色料・保存料・酸化防止剤・甘味料・乳化剤・増粘安定剤など多機能素材が申請対象となり、市場ニーズに対応しています。申請種別では、新規添加物の申請熱が高まる一方、既存汎用添加物の修正・再評価申請が中心です。アセスルファムK、スクラロース、水素など長年使用される物質に対し、最新科学データに基づく安全性再評価が相次ぎ、食品安全レベルの動的維持が図られています。

2026年1月、EFSAは食品添加物申請に関する新版科学ガイドライン(7月20日施行)と行政手続きガイドライン(1月27日施行)を発行しました。これにより申請の科学的評価基準が厳格化され、行政審査手続きも強化されました。CIRSは申請企業に対し、EU申請準備段階で新版ガイドラインを精査し、試験計画からファイル作成まで全工程で新規制要件へ適合させ、円滑かつ短期間でEU市場参入許可を取得することを推奨いたします。

※データ集計には漏れ・誤記が生じる可能性があるため、本文の情報は参考とし、最終的な基準は EU 当局の公式公開情報を優先してください。記載内容に不備があればご指摘を歓迎いたします。