CIRS要約:2026年7月、米国イリノイ州はHB 3409法案に署名し、2028年7月1日から化粧品への意図的な添加が禁止される有害成分24種(PFAS 13種を含む)を規定した。なお、微量残留は適用除外となる。現在、米国では複数の州で化粧品中のPFASを規制する新たな規則が相次いで施行されており、化粧品メーカーに求められるコンプライアンス対応は一段と厳格化している。企業は、移行期間を有効に活用し、複数州にまたがるコンプライアンス対応を一元的に管理することが求められる。
2026年7月10日、イリノイ州知事は「Chemicals in Cosmetic Products Act」(HB 3409)に署名した。同法は、州内で特定の「意図的に添加された(intentionally added)」成分24種を含む化粧品の製造、販売、引渡し、保有または販売のための提供を禁止するものであり、2028年7月1日から施行される。
背景
近年、米国連邦レベルの「化粧品規制近代化法」(MoCRA、2022年)に加え、多くの州が相次いで化粧品成分の禁止・制限措置を打ち出している。イリノイ州の今回の法案は第104回議会で審議・可決されたもの(HB 3409)であり、がんや生殖障害等に関連する有害化学物質を化粧品から減らすことを目的としている。
主な内容
1. 「意図的添加」成分24種の禁止
以下の24物質(PFAS13種及びその塩を含む)は、化粧品に「意図的添加」成分として使用された場合、禁止対象となる。リストとCAS番号は以下の通り。
物質名(英語) | 物質名(日本語) | CAS番号 |
|---|---|---|
Dibutyl phthalate (DBP) | フタル酸ジブチル | 84-74-2 |
Diethylhexyl phthalate (DEHP) | フタル酸ビス(2-エチルヘキシル) | 117-81-7 |
Formaldehyde | ホルムアルデヒド | 50-00-0 |
Paraformaldehyde | パラホルムアルデヒド | 30525-89-4 |
Methylene glycol | メチレングリコール | 463-57-0 |
Quaternium-15 | クオタニウム-15 | 51229-78-8 |
Mercury | 水銀 | 7439-97-6 |
Isobutylparaben | イソブチルパラベン | 4247-02-3 |
Isopropylparaben | イソプロピルパラベン | 4191-73-5 |
m-Phenylenediamine and its salts | m-フェニレンジアミン及びその塩 | 108-45-2 |
o-Phenylenediamine and its salts | o-フェニレンジアミン及びその塩 | 95-54-5 |
Perfluorooctane sulfonate (PFOS) | ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS) | 1763-23-1 |
Potassium perfluorooctanesulfonate | ペルフルオロオクタンスルホン酸カリウム | 2795-39-3 |
Diethanolamine perfluorooctane sulfonate | ペルフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミン塩 | 70225-14-8 |
Ammonium perfluorooctane sulfonate | ペルフルオロオクタンスルホン酸アンモニウム | 29081-56-9 |
Lithium perfluorooctane sulfonate | ペルフルオロオクタンスルホン酸リチウム | 29457-72-5 |
Perfluorooctanoic acid (PFOA) | ペルフルオロオクタン酸(PFOA) | 335-67-1 |
Ammonium pentadecafluorooctanoate | ペンタデカフルオロオクタン酸アンモニウム | 3825-26-1 |
Nonadecafluorodecanoic acid | ノナデカフルオロデカン酸 | 335-76-2 |
Ammonium nonadecafluorodecanoate | ノナデカフルオロデカン酸アンモニウム | 3108-42-7 |
Sodium nonadecafluorodecanoate | ノナデカフルオロデカン酸ナトリウム | 3830-45-3 |
Perfluorononanoic acid (PFNA) | ペルフルオロノナン酸(PFNA) | 375-95-1 |
Sodium heptadecafluorononanoate | ヘプタデカフルオロノナン酸ナトリウム | 21049-39-8 |
Ammonium perfluorononanoate | ペルフルオロノナン酸アンモニウム | 4149-60-4 |
2. 適用範囲と微量残留
化粧品:メイクアップ、ヘアケア、ネイルケア、石鹸、乳液、日焼け(タンニング)、香水およびオーデコロンなど、化粧品の定義に該当する製品を対象とする。
また、本法の製造工程要件に適合する製品において、原料の不純物、製造工程、保管または包装に起因して微量の残留(technically unavoidable trace quantity、技術的に不可避な微量)が含まれる場合は、違反とはみなされない。
3. 施行日
本法は2028年7月1日から施行され、業界には約2年間の処方調整およびコンプライアンス移行期間が設けられる。
米国各州における化粧品中PFAS禁止に関する立法動向一覧
- カリフォルニア州は化粧品への全PFASの使用を全面的に禁止した最初の主要な法域として、2022年9月に関連法案を可決し、2025年1月1日から化粧品への意図的なPFAS添加を明確に禁止。
- ミネソタ州、コロラド州は2025年1月1日から、PFASを意図的に添加した化粧品の販売、または販売・流通のための提供を禁止。
- メイン州は2026年1月1日から、PFASを含む化粧品の販売を禁止。
- ワシントン州は2026年1月1日から、意図的に添加されたPFASを含む8種類/カテゴリーの禁止成分を含有する化粧品の販売を禁止。
- ニューハンプシャー州は2027年から、PFASを含む化粧品の販売、販売のための提供、または販売・販促目的での流通を禁止。
- コネチカット州は2028年1月1日から、意図的に添加されたPFASを含む化粧品の製造、販売および流通を禁止。
- ニュージャージー州は2028年1月12日から、意図的に添加されたPFASを含む化粧品の販売を禁止。
- ニューメキシコ州は2028年から、PFASを含む化粧品の販売を禁止し、2032年にはPFASを含有する製品を全面禁止。
- イリノイ州は2028年7月1日から、PFASを含む24種の「意図的添加」成分を含む化粧品について、州内での製造、販売、引渡し、保有または販売のための提供を禁止。
CIRSからのヒント
イリノイ州が24種の成分(PFAS13種及びその塩を含む)を禁止対象に加えたことを受け、CIRSより以下をご提案いたします。
- 禁止範囲を正確に把握:上記法案は「意図的添加」成分を対象としており、適正な製造工程下で原料の不純物、製造、保管または包装に起因する不可避な微量残留については適用除外を主張できる。企業はこれらの規定を踏まえ、自社に求められるコンプライアンス対応の範囲を明確にする必要がある。
- 移行期間を活用:法施行前に、関連企業は処方の調整、代替原料の検討、ラベルの更新を早期に完了し、施行後に州内での販売を継続できなくなる事態を回避する必要がある。
- 複数州にまたがる規制対応の統括:米国各州における化粧品成分の禁止規則は、施行時期や対象範囲が州ごとに異なる。そのため、関連企業は各州の施行日および規制内容を横断的に確認・管理し、対応漏れを防ぐ必要がある。
CIRSは今後も米国化粧品規制の最新動向を継続的に注視し、専門的な法規解説とコンプライアンスソリューションをご提供してまいります。関連するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
弊社の米国コンプライアンスサービス
- 米国代理人(U.S. Agent)
- 米国FDA化粧品企業登録
- 米国FDA化粧品製品登録
- 米国FDA一般用医薬品(OTC)登録
- 米国着色剤バッチ認証
- 米国化粧品/OTCラベル審査
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