CIRS要約:先日、米国FDAはBemotrizinolを正式にOTCモノグラフM020に収載した。これは1990年代末以来、初めて追加された日焼け止め有効成分(Sunscreen Active Ingredient)である。今回の改正について、化粧品企業はどのような点に注目すべきか。CIRSが主な内容を整理した。
2026年6月9日、米国食品医薬品局(FDA)は最終行政命令(OTC000039)を公布し、Bemotrizinol(ベモトリジノール)を正式に「一般用日焼け止め医薬品モノグラフM020(OTCモノグラフM020)」に収載し、日焼け止め有効成分としての使用を承認した。本最終命令は2026年8月9日に正式に発効する。
Bemotrizinolの概要
Bemotrizinolは、UVAおよびUVB両波長域をカバーする広域紫外線吸収剤であり、経皮吸収率が低いという特徴を持つ。同成分は欧州、中国、韓国など国際市場において長年にわたり安全に使用されてきた実績がある。FDAの評価によれば、Bemotrizinolは「一般に安全かつ有効であると認められる成分」(GRASE, Generally Recognized as Safe and Effective)と認定されており、生後6か月以上の子供児および成人向けの日焼け止め製品に使用することができる。
規制の経緯
今回の承認に至る規制上の経緯は以下のとおり。
- 2024年9月23日:DSM Nutritional Products LLCがFDAに対し、Bemotrizinol(最高濃度6%)を新たな有効成分として「一般用日焼け止め医薬品モノグラフM020(OTCモノグラフM020)」に追加するよう、OTC改正請求(OMOR)を提出。
- 2025年12月12日:FDAが暫定行政命令を公布し、パブリックコメントを募集(意見募集期間:2025年12月12日~2026年1月26日)。
- 2026年6月9日:FDAが寄せられた意見を審査した上で、最終行政命令OTC000039を公布し、Bemotrizinolの日焼け止めOTCモノグラフへの収載を正式に承認。暫定命令から最終命令まで約7か月で完了。
- 2026年8月9日:最終命令が正式に発効。
Bemotrizinolの使用条件および制限
GRASE認定:FDAはBemotrizinolをGRASE成分として認定しており、生後6か月以上の子供および成人向けの日焼け止め製品に使用できる。
最大使用濃度:日焼け止め処方におけるBemotrizinolの最大許容濃度は6%である。
適用剤形:オイル、ローション、クリーム、ジェル、バター、ペースト、軟膏、スティックおよびスプレーなどの剤形に使用できる。スプレー剤形については、噴射剤を用いずに製造・包装するか、または噴射剤と内容物を隔離した包装形式を採用する必要がある。
配合使用:Bemotrizinolは一部の皮膚保護剤有効成分と組み合わせた複合製品にも使用できるが、当該製品もOTCモノグラフに定める表示および処方要件を満たす必要がある。
表示要件:Bemotrizinolを含有する日焼け止め製品についても、SPF値の表示、広域スペクトル(ブロードスペクトラム)日焼け止め効果の有無、耐水性の有無、使用方法、警告表示、および「お子様の手の届かない場所に保管」などOTC医薬品に義務付けられている表示事項を含め、米国の現行OTC日焼け止め表示要件を遵守する必要がある。
Bemotrizinolの世界各国における規制状況
CIRSグループが独自に開発した世界の化粧品原料規制データベース「Global CosIng」で検索すると、以下のことが分かる。
- EUでは、Bemotrizinolは規則(EC) No 1223/2009附属書VIの承認済み紫外線吸収剤リストに収載されており、化粧品への配合上限濃度は10%。
- 中国では、《化粧品安全技術規範》の承認済み紫外線吸収剤(表5)に収載されており、化粧品への配合上限濃度も同じく10%。
- 日本では、Bemotrizinolは承認済み紫外線吸収剤リストに収載されており、配合上限濃度は3%。
Global CosIngは、中国、EU、米国、カナダ、ASEAN、韓国、日本など、複数の国・地域における化粧品原料の規制情報を統合したデータベースである。企業は、各原料の市場ごとの適合状況を迅速に確認でき、グローバル市場を見据えた原料コンプライアンス戦略の策定に役立てることができる。
詳細はこちら:https://globalcosing.chemradar.com/en

意義
マイルストーンとしての意義:Bemotrizinolは、1990年代末以来、米国のOTC日焼け止めモノグラフに新たに追加された初めての有効成分である。
規制の効率化:本件は、CARES法により導入された迅速なOTCモノグラフ行政命令手続きの下で、新たに承認された初の日焼け止め有効成分である。暫定命令から最終命令まで約7か月で完了しており、CARES法に基づくOTCモノグラフ改正手続きの効率性を示す事例となった。
MAHA戦略との整合性:今回の承認は、米国政府の「Make America Healthy Again(MAHA)」戦略報告書で掲げられた、日焼け止め市場におけるイノベーションの促進およびOTC日焼け止めの規制手続きの改善という政策方針と軌を一にするものである。
CIRSからのヒント
今回のFDAによるBemotrizinol承認は、日焼け止め製品を扱う企業に新たな市場機会をもたらすものであり、関連企業は以下の点に留意する必要がある。
- 法規発効時期:最終命令は2026年8月9日に正式に発効するため、企業はこれを踏まえて製品開発および上市のスケジュールを策定すべき。
- 規制適合:OTC日焼け止め製品は個別の医薬品申請・承認を必要としないものの、用途、剤形、表示などモノグラフM020に定める各種条件を満たす必要がある。
- 今後の規制動向:FDAは今後もOTCモノグラフ行政命令手続きを通じて、新たな日焼け止め有効成分を承認していく可能性があるため、企業は関連法規の更新状況を注視する必要がある。
CIRSグループは、引き続き米国の化粧品規制の動向に注目し、随時最新情報を発信してまいります。関連する業務についてご要望がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。
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