Self GRASはいつ失効か?
Q:既に規則案が公表されたが、Self GRAS はすぐに使用できなくなるですか?
慌てる必要はありません。Self GRAS が実際に失効するまで、少なくとも3年以上の猶予期間が見込まれます。
全体のタイムラインは下記の通り:現在(8月11日より)120日間のパブリックコメント期間に入っており、12月9日に終了します。コメント受付終了後、FDAは寄せられた意見に対して個別に審査と回答を実施します。過去の複雑な規則制定事例を参考にすると、このプロセスには1~2年を要する見込みです。そのため最終規則の公表は 2028年末~2029年初めと予測されます。
最終規則公表後も2段階の猶予措置が設けられています。
- 60日間の発効待機期間:公表=発効ではなく、公表から60日後に正式発効
- 18ヶ月のコンプライアンス移行期間:発効後さらに1年半の移行期間が企業に付与される
つまり、最終規則の公表、発効、さらに移行期間が終了するまではSelf GRASは有効であり、企業は合法的に米国市場へ製品を投入することが可能です。
Q:それでは今からSelf GRASを実施する意味はあるのか、それとも直接FDA GRASを提出すべきか?
企業の市販スケジュールによります。
- 早期上市を希望する場合:Self GRASを実施(約6ヶ月、専門家3名の署名があれば販売可能)し、並行してFDA GRAS Noticeを提出する。両者は同一の申請資料を活用でき、規則案が確定する前にFDAのNo Question Letterを取得できれば、今回の規制改革の影響を受けません。
- 1年半程度の時間的余裕がある場合:Self GRASを省略し、資料を整えた上で直接FDA へ提出し、No Question Letterを待つことができます。
いずれの場合も基本的なアドバイスとして、簡易手続きの新設を待つのではなく、早めにFDA GRASの準備を進めることを推奨します。
Q:既にSelf GRASを取得済みの企業がFDA GRASへ切り替える場合、コストは高いですか?
既存資料の品質が十分であれば、追加コストは大幅に増加しません。基本的に同一の資料をFDAの要求に沿って提出するため、主にFDAとの調整に係る工数・コストが増加する程度です。スケジュールとしては、書類受付まで3‑6ヶ月、審査に6‑9ヶ月、合計約1年でNo Question Letter取得が見込まれます。
注意点として、古い資料で科学的エビデンスが不十分な場合、追加試験や資料の再作成が必要となり、別途コストが発生します。専門機関であるCIRSに依頼し、事前に既存Self GRAS資料の品質評価を実施することを推奨します。
GRASとNDI、どちらを選択すべきか?
Q:一般食品原料と栄養補助食品原料では、申請ルートの選び方にどのような違いがありますか?
原料の使用目的と適用範囲が判断の鍵となります。
ルート | 適用場面 | 所要期間 | 今回の規制改革の影響 |
Self GRAS | 一般食品、迅速な上市を希望 | 約6ヶ月(毒性試験不要の場合) | 将来廃止予定 |
FDA GRAS Notice | 一般食品、FDAの公式裏付けを取得 | 約18ヶ月 | 改革後、唯一のGRASルートとなる |
NDI | 栄養補助食品、機能性が高く、栄養成分の定義に合致 | FDA標準75日間 | 影響なし |
簡易提出 | Self GRAS取得済みで州間販売実績のある既存物質 | 最終規則発効後1年間の受付期間が設置 | 新規則に伴う特別ルート |
基本アドバイス
- 栄養補助食品への使用が明確な場合:NDIを優先的に検討。FDA審査は標準75日、今回のGRAS改革の影響を受けません。ただしNDIの合格率は高くなく、栄養成分の定義を満たさない理由で不受理となるケースが多いため、事前に実現可能性評価を実施してください。
- 一般食品原料の場合:Self GRASとFDA GRAS Noticeを並行で準備。Self GRAS完了後に販売を開始し、同時にFDA GRAS Noticeを提出、No Question Letter取得後は新規則の適用除外となります。
Q:GRASを取得済みであれば、栄養補助食品に使用するため別途NDI申請は必要ですか?
必須とは限りません。NDIには適用除外規定が存在します。物質の化学的形態に変更がなく、既に食品サプライチェーンで流通(GRAS取得済み、かつ一般食品で上市販売実績あり)している場合、NDI申請を免除され、栄養補助食品に直接使用可能です。
ただし2つの重要な条件があります。
- GRAS申請資料の使用目的(intended use)に栄養補助食品と記載してはならない。GRASは一般食品のみに適用されます。
- 一般食品での販売実績が必須。栄養補助食品のみの販売実績では免除条件を満たさず、製品が「不良品(adulterated)」と判断されるリスクが生じます。
Q:GRAS申請が拒否された、または取り下げた場合、Self GRASは有効なままですか?
現行法令上直ちに無効となる規定はありませんが、取引先は拒否履歴のある原料に対して懸念を抱きます。最終規則が発効した後、猶予期間内に適合手続きを完了していない場合、Self GRASは無効となります。
FDAが最終審査結果を発出する前であれば企業はいつでも申請を自主取り下げ可能で、「安全性エビデンス不十分」という公開されるネガティブ記録を回避できます。多くの企業が資料を補完し再提出し、最終的に承認を得ています。
飼料向けGRASは影響を受けるか?
Q:動物用食品(飼料・ペットフード)のGRASも今回の規制改革の対象となりますか?
対象となり、人用食品と全く同じ規制が適用されます。
米国法令における「食品」の定義には人用食品と動物用食品が含まれ、今回の改革は Animal Food GRASにも適用されます。Self GRASが廃止され、企業にFDA GRAS Noticeの提出が義務付けられます。
Q:動物用食品向けの特別な免除ルートは存在しますか?
存在します。人用食品と共通の免除条件に加え、動物用食品には2つの特別免除ルートが設けられています。
- AFIC(Animal Food Ingredient Consultation、動物食品成分コンサルテーション手続き):AFIC手続きを完了し、FDAより安全性に疑義なしとする回答書を取得した場合、GRAS Noticeの提出が免除されます。AFICは2024年、FDAとAAFCOの覚書期限切れ後にFDAが新たに設置した制度で、飼料原料の迅速な米国市場参入を支援します。
- AAFCOリスト:米国飼料管理協会(AAFCO)2024年版Official Publication(OP)第6章に定義された原料で、FDAが公的に安全性懸念を表明していない場合、申請が免除されます。規則案には2024年版OPのみ記載され、公表済みの2026年版については言及されていません。これは2024年10月にFDAとAAFCOの協定が終了したため、FDAは協定期間内に審査実施されたバージョンのみを認めていると考えられます。
Q:SRIS(飼料協会科学審査プログラム)については、新規則の影響を受けますか?
規則案本文にSRISに関する記載はありません。SRISはAAFCOが大学と連携し運用する科学審査プログラムであり、連邦法上の裏付けが無く、FDA がその結果をどの程度認めるかは不明瞭です。今後のFDAの公式見解を注視する必要があります。
企業向け対応提言
- 慌てる必要はないものの、速やかなアクションが重要です。Self GRASにはまだ3年以上の猶予期間が残っており、現在はFDA GRAS体制を整備する絶好のタイミングです。
- 既存資料の評価を優先:Self GRAS取得済み企業は速やかに資料品質を評価し、条件が整えば早期にFDA GRASを提出する。
- 使用用途に応じて適切なルートを選択:一般食品はGRASルート、栄養補助食品はNDIの実現性を優先評価、飼料原料はAFICとAAFCOリストを確認。
- 販売実績の証拠を保管:簡易提出ルートの活用を検討する企業は、一般食品における州間販売記録をしっかり蓄積してください。
CIRS米国支社には20年以上GRAS・NDI業務経験を持つ専門家が常駐し、中日米チームが連携し、資料品質評価、科学的エビデンス補完、当局への提出及び調整までワンストップでサポートします。政策猶予期間を活用したコンプライアンス体制構築を支援し、新規原料の海外参入課題を解決いたします。
お問い合わせ:service@cirs-group.com
